【感想】光に向かって這っていけ 核なき世界を追い求めて

サーロー節子, 金崎由美 / 岩波書店
(4件のレビュー)

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  • ina-lib

    ina-lib

    2017年、核兵器の廃絶を目指して活動している国際組織ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)にノーベル平和賞が授与されました。その授賞式で、ICANのメンバーで被爆者でもあるサーロー節子さんがスピーチを行いました。彼女は13歳の時に、爆心地から1.8キロの場所で被爆しました。奇跡的に生き延びた彼女は、9年後勉強するためにアメリカに渡ります。アメリカでは、原爆についてほとんどの人は関心がないか、原爆が戦争を早く終わらせる方法だったと思っていました。また、原爆のことを批判すると、殺害予告をされるほどバッシングされることもありました。しかし、彼女は核兵器の恐ろしさを世界に発信しなくてはならないと思い、核兵器廃絶へ活動を行っていくことにします…。被爆した時、建物の下敷きになった彼女は、がれきの中で受けた言葉を胸に、世界から核兵器をなくす運動を現在でも続けています。続きを読む

    投稿日:2022.07.18

  • 1682271番目の読書家

    1682271番目の読書家

    ☆原爆、台風…なぜこんな目に遭うの、と号泣すると、父は烈火の如く怒った。「節子は生きている。親もいる。家に屋根もある。何を贅沢言うのか。」
    ☆詩人 栗原貞子 「ヒロシマというとき」

    投稿日:2022.03.05

  • DRM

    DRM

    サーローさんの信念、行動力に強く胸を打たれる。
    本当は、日本が国家として行わなければならないアクションをサーローさんをはじめ被爆者の方々が個人個人で行っている。そこにはきっと想像を絶する苦労があるだろう。
    被爆者としての立場だけでなく、日本の戦争加害者としての立場も考えなければならない。今を生きるすべての日本人が当然ながら考え、持っていなければいけない知識や考えが、いまわれわれにあるだろうか。
    もっと勉強しなければならない。

    また、多様性が生む力、サーローさんのプレゼンテーション力にも驚かされる。ビジネスにも大いに参考になる。得るものが多い一冊であった。
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    投稿日:2019.12.08

  • yoshinar

    yoshinar

    1945年8月6日、原爆が落ちた広島で瓦礫の下敷きになったサーローさんがそばにいた兵士にかけられた言葉が書題になっている。そしてそれが、なんと彼女が人生を賭して行動する反核・非核・無核兵器活動の歩みと沿うことか。
    といいながらも、ICANのノーベル平和賞受賞が機になるまで、サーローさんを知らなかった。その意味ではどういう人物なのかも知らなかったので、本書で生い立ちからずっと活動を知ることができたのはよかった。終戦直後に大学に進み、1950年代に留学するのだからちょっと特殊な、言い換えれば恵まれた環境だった人なのだろうけど、確かに書中でも親戚のあの人が……という感じで身の回りに一門の人、著名な人が多い感じ。その一方で、両親は一時期アメリカに移民していたとのことで、海外に出るなど進取を妨げない育て方をされたのだろうとも思う。
    反核の活動にどっぷりつかってきたというよりは、子育てしたりソーシャルワーカーとして働く一方で、ライフワークとしてずっと切れ目なく取り組んできた人という感じ。その原動力は、そもそもが被爆者ということなのだろうけど、別の観点による原動力は「怒り」なのだろう。私は義憤を除けば、あまり怒らず(怒ろうとせず)生きているのだけど、サーローさんにせよ、真摯に活動している人の底に怒りがあることはわりと多い気がする。立派な志や崇高な利他心でなく、あるいは共存しながら「怒り」って重要な要素ということか。
    怒りの矛先は日本にも向かう。特に「世界で唯一の被爆国」であり、それを宣伝文句のようにしながらも、核兵器禁止条約に否定的な政府をかなり非難している。日本人がノーベル賞を取るたび大騒ぎのこの国が、サーローさんのときはそれほどでもなかった気がしたのだが、それは日本の立場に否定的なところが影響しているかもと勘ぐってしまう。
    米大統領として初めて広島を訪れたオバマ氏に対しても、それ自体は評価しながらもメッセージの内容や核ボタンを広島に持ち込んだことは徹底的に批判する。
    サーローさんが目指すのは、減核ではなく核兵器廃絶だ。戦略的であるべきだけど妥協してはいけない。強烈な体験を背景に、人生のなかで積み重ねてきた行動に裏打ちされた強い信念が伝わってくる本だった。
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    投稿日:2019.11.16

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