【感想】常人仮面(2)

一路一, 鶴吉繪理 / 裏少年サンデー
(1件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 『黒犬』の優樹(2)

    『黒犬』の優樹(2)

    このレビューはネタバレを含みます

    私だけかも知れないし、漫画読み全員に言える事かもしれないが、(1)でその面白さにKOされた漫画の(2)が、(1)よりも面白い、と歓喜で震えてきてしまうな、身体が。
    きっと、(1)より面白くなるだろう、と期待していたが、それを圧倒的に凌駕していた(2)だった。ありがとうございます、一路先生、鶴吉先生。
    (1)の時点で、双子の姉・克己への愛が、尋常ではないレベルに達し、その愛を貫くための行動を実行に移す事に何ら躊躇わない、既に、線の向こう側に立っていた克人。
    この(2)では、そんな克人の姉愛ゆえの怖さが、より際立っている訳だが、克己はその克人の姉なんだよな、と実感もさせられた。
    双子だから、って理由じゃ納得できないレベルの、似た者同士だ。そりゃ、他の生徒らも、二人のズレっぷりにドン引きしちゃうわ。
    でも、その人並みの幸せを掴むために必要な「普通の感覚」からズレている所が、この『常人仮面』の面白さを強め、作品としての質を上げている訳だから、私としちゃ、何の文句もない。
    聴覚が特化している兎と蝙蝠のごちゃ混ぜ怪人との戦いは、一時こそ、克人が心臓の発作を起こし、また、相手のえげつない怪音波で窮地に陥りかけたが、腐り果てた体で迫田君が助太刀に入ってくれたおかげで助かった。
    そんな迫田くんのために、まぁ、克己を必要以上に怯えさせたくない、嫌われたくないってのが第一にしろ、克人は女怪人を殺さず、瀕死の迫田くんを救うために生け捕りにする。そして、迫田くんの姿を変貌させるために、その手で殺させる・・・・・・うーん、怖い。
    しかし、怪人はまだ蔓延っており、残酷な事に、既に身内の血が流れてしまっていた。克人にとって、一番に大事なのは克己だが、ポンコツである自分を受け入れてくれた祖父に対しては、ちゃんと恩義を感じていた。そんな祖父を殺した相手を、彼は許さない。外見は人から遠ざかり、中身は外見が変わる前から常人のそれから逸脱していて、変貌してから、克己愛がより増してるが、まだ、克人の中にも人間らしい部分は残っていたようだ。
    自分の身が一番に可愛いからこそ、文字通り、人並み外れた戦闘力を持っている克人の側が最も安全だ、と合理的な判断を下し、大高家を訪れた吉家さん。別に、彼女の考え方を罵る気はないが、この環境は、ちょっと狡猾なくらいじゃ生きていけんのだろうな・・・さて、命に届きかねないダメージを負わされた彼女は、生きるために、どんな判断を下し、実行に移せるのかな?

    この台詞を引用に選んだのは、ゾッとさせられながらも、自分の信念が宿る言葉を裏切っていない人間は、やはり、圧が違うぜ、と感じたので。
    人間、越えちゃいけない一線は、確かにある。
    ただ、一番、大切な誰かを守るために、その一線を越えられる人間が、越えられない人間以上に強いのは事実じゃないだろうか。
    愛を貫くってのは、実は結構、茨の道なんだぜ。
    さすがに、私も、誰かを守るために他人を殺せ、とまでは言わないにしろ、死んでも守りたい相手がいるなら、死なずに生きろ、とは言いたい。
    (ひとごろしはいやだ)
    「何、寝ぼけたことを言ってるんだ?」
    「変身の時点で既に殺してるし、何より、俺たち、かなりまずい状況にいる」
    「ツミ、スマホで・・・」
    「あ、あたしがする!」
    「田中君は殺された。化け物だって、もっと襲ってくるだろうし、この先、何が起きるか、わからない。大麻さんを放り出すのか?一人でさっさと死んでいく気か?愛してるなら、限界までやれよ」(by迫田、克人、克己、大麻)

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    投稿日:2023.10.01

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