【感想】オーグメンテッド・スカイ

藤井太洋 / 文春e-book
(2件のレビュー)

総合評価:

平均 2.0
0
0
0
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • 主婦ねこ

    主婦ねこ

    このレビューはネタバレを含みます

    デジ庁のWeb3勉強会でご活躍されていた藤井太洋先生の新作ということで、Web3の新しい未来が垣間見れるかと思って読みましたが…今回の主役はVRでしたね。それはそれで良いのですが…なんかモヤモヤする作品だったので、以下、ネタバレありでモヤモヤを言語化していきます。


    まずは、あらすじ。本作はVRの世界大会「ビヨンド」の出場を目指す理数系高校生たちの青春小説。寮住まいの男子高校生たちと、カトリック系の女子校の女の子たちが共同で「ビヨンド」に参加するためのVR作品を作りあげていきます。「ビヨンド」は「SDGs」をテーマとしたメッセージ性の強いVR作品を募集している、という設定なので、VR技術に興味のない読者も、はたして主人公たちがどんなメッセージを作品に込めるのか、楽しみに読み進めることができます。


    # 以下、ネタバレありです #



    …が、結果、主人公たちの作品は世界5000チームの作品の中で上位20に入るのですが…とても上位20に入るような作品とは思えないのが残念なところ。自分の意見を表に出すなんて、欧米では子供の頃から当たり前なはず。

    ジェンダー平等にあれほど拘っていた雪田さんが(そしてそれがきっかけで主人公たちと出会うことになるのに)、最後「やっぱり、私、とくに言いたいことありませんでした!」って言い出すのには仰天!ジェンダーギャップ指数125位の日本の、しかも九州という一等地の、人生の岐路に立った高校生の作品なのだから、世界に伍する作品を作るなら、このテーマがベストだと思うんですけどね…。主人公はあくまでも、男の子たち、女の子は彩り、だから仕方ないのかも…。とはいえ、男性作者が女性キャラに「ジェンダー不平等なんて気のせいでした!」的なことを言わせてしまうのは、読んでいてモヤモヤしました。(藤井先生は、もしかしたらとてもフェアな感性の方で、あまりピンと来なかっただけかもしれませんが。)

    第2のモヤモヤポイントは、ブロックチェーンまわり。主人公たちは資金集めに〈スカイコイン〉という新しいトークンを作るのですが…新規トークンの価値を上げるのは(投機家に注目されない限り)かなり大変なことではないと思うのですが、引き換え券程度の用途しかない〈スカイコイン〉の価値が上がるのも不思議だし、それを海外の学生ベンチャーに盗まれる(?)のも不思議。おまけにそのベンチャーの「二酸化炭素取引トークン」という、どこかで聞いた事があるようなアイデアも…現実は死屍累々ぞ。あと、細かいですが「スマートコントラクトをミントする」とはいいませんね。(デプロイする、が一般的ですかね。)

    総じて、『ハロー・ワールド』もそうでしたが、主人公たちの動きに、世界が過剰に反応しすぎだと感じました。技術はたしかに世界を変えるけど…それは、本当に奇跡みたいなものだと思う。夢のある話といえばそうなのですが。


    あと、志布井先輩のシナリオが結局どうなったのか、めっちゃ気になります(笑)。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.07.09

  • 文藝春秋公式

    文藝春秋公式

    【SF小説の旗手が挑む、最旬青春小説】2024年、鹿児島。寮で高校生活を送る僕たちは、インターネットの向こう側の世界に「ゲリラ戦」を挑むことにした。

    投稿日:2023.05.30

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。