【感想】ごまかさない仏教―仏・法・僧から問い直す―(新潮選書)

佐々木閑, 宮崎哲弥 / 新潮選書
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
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4
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ブクログレビュー

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  • えのき

    えのき

    対談形式で初期仏教の基礎を学んだ。
    初期仏教が一番偉いとは限らないかもしれないが、やはり日本の仏教はだいぶ違うのだと思った。

    投稿日:2023.10.09

  • midoridensya

    midoridensya

    対談本なので話が飛んでごちゃごちゃするかと思いきや、ものすごく構成が明確で、あまり仏教学に縁のなかった身でも良い感じで理解することができた。
    特に「法」に関するテーマの対話が圧巻。
    仏教が、「私」は仮の存在に過ぎないのにそれを実体を伴う本来的に不変で安定したものである錯覚してしまうことからあらゆる苦が生じることを理解し、全てが流転していく世界の縁起をただしく見ることで苦を回避するための教えであることが良くわかったし、長年の疑問であった、それなのになぜ輪廻や霊魂や他力本願が同じ仏教から出てくるのかという問いに対して、大乗仏教がブッダの説いた初期仏教を反転させてむしろキリスト教に近いほどの超越者であり絶対的な実体である存在(阿弥陀如来)を生み出したものであることが明示されていて、非常に勉強になった。続きを読む

    投稿日:2021.12.03

  • yoichiokayama

    yoichiokayama

    碩学佐々木閑と宮崎哲弥両氏の対談本です。
    仏教学者の佐々木氏はもちろんですが、宮崎氏の知見も、ものすごいです。
    あらゆる文献を縦横無尽に引用しながら、仏教の真実に迫ります。
    どのお経が「正典」なのか、「梵天勧請」はなぜ決定的瞬間なのか、釈迦が悟ったのは本当に「十二支縁起」なのか、日本仏教にはなぜ「サンガ」がないのか、などなど。
    「最強の仏教入門」とありますが、これは入門書以上のものです。
    よりいっそう仏教への理解が深まりました。

    これは仏教に限った話ではありませんが、組織はその維持や発展が自己目的と化したとき、思想を変質させ、人を堕落させます。内部に官僚制度ができあがってしまう。カトリックや共産党なんかが典型的ですが、残念ながら仏教も例外ではない。日本の宗門はいうに及ばず、スリランカやミャンマーのテーラワーダ教団ですら、本来のサンガの形態はフラットなネットワーク型の組織だったはずなのに、いつの間にかヒエラルキーができてしまった。 ー 245ページ
    続きを読む

    投稿日:2020.10.21

  • reso100

    reso100

    冒頭にハリラの仏教についての記述を紹介しているが、的確な指摘の連続で、イスラエルの歴史学者がここまで仏教を理解していることに宮崎は驚いているが、私もハリラの分析力に感心した.本論に入ると、宮崎と佐々木の討論が始まるが、宮崎が次々と繰り出す論点に佐々木は冷静に対応しているが、読者からすると、宮崎の知識の開陳の連続という感じがした.釈迦が実際に述べたことを忠実に伝えているとされる文書はほぼ確定されたようだが、研究は緒に就いたばかりという感じだ.「仏」、「法」まで読んだが、難しい!日本にはびこっている鎌倉仏教との相違点だけを重点的取り上げて欲しい.日本の仏教と釈迦の原点はかなり異なっている感じがする.続きを読む

    投稿日:2019.02.28

  • freeedooo

    freeedooo

    釈迦の本来の教えである上座部仏教と大乗仏教との違いを三宝(仏・法・僧)の観点で対談形式で説明している。大乗仏教の中でも日本の仏教が特異であることがわかった。

    投稿日:2018.09.02

  • ヤマスカ

    ヤマスカ

    年始くらいに本屋で見掛けて、前書きを読んでその場はそのまま戻したんだけど、どうにも後を引いたんで5月頃にまた手に取って、読了。面白かった!!!!!!!

    科学の端くれをやっているもの的には、創作やらテレビでの取り上げなんかから漏れ伝えてくるエッセンスだけ推測して勝手に科学に親和性があるのかなぁ、特に量子論は、等と思っていたが、ちゃんとした整理はしたことなかったので、かなりの鱗が目から落ちた。

    実家は浄土真宗のお寺の真横にあり、夏休みのラジオ体操会場になっていたから、その後にお堂で開かれる正信偈の読経とかにも何の違和感もなく参加していて、暗唱くらいできるのだが、浄土真宗どころか、大乗仏教ではなく、釈迦がおこした原初仏教(と推定されるもの)をきちんと、仏教の基本である「仏・法・僧」(仏法僧のちゃんとした意味を初めて知った!!)から仏教を取り巻くキーワード、世界観、信念を丁寧に解説してもらった。たった300ページなのに!!!

    そのうえで、この本で佐々木さんが指摘しているように、仏教は科学とはまた違った世界観だし、「日本の仏教」というのはほぼ原始仏教とはまったく異なるもの、と言うのも整理できた。
    仏法僧のうちの僧をきちんと取り入れられている日本の仏教というのが存在しないし、あやうくオウム真理教(これもタイムリーだった)が一番「仏教らしい日本仏教」になってしまうところだったのか、というか、それが日本での宗教嫌いを加速してしまったのが、何とも皮肉、と言うか、因果なんだろうか。

    僕は仏教者として生きて行く気は無いし、実践できるとまったく思わないが、この「思想」が人を救い、生き方に出来るのは理解出来た、つもり。
    また読もう。
    続きを読む

    投稿日:2018.08.31

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