【感想】イーロン・マスク 上

ウォルター・アイザックソン, 井口耕二 / 文春e-book
(45件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
16
21
6
0
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ブクログレビュー

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  • 犬墨(イヌズミ)

    犬墨(イヌズミ)

    テスラ・スペースX、そして私生活。
    それぞれのエピソードに既視感を覚える。
    そうだ、アイアンマンと宇宙兄弟だ!
    (アイアンマンに関しては実際に本文中に記載がありました)
    この世界は高位存在のシミュレーションだという考え方、私も面白い発想だと思います♪続きを読む

    投稿日:2024.05.01

  • bqdqp016

    bqdqp016

    ジャーナリストである伝記作家により書かれたイーロン・マスクの伝記。テスラの創業者であり成功後にスペースXの CEOとして宇宙事業にも取り組んだと思っていたが、テスラよりも先に宇宙事業をしていたことはこの本で知った。アスペルガー症候群であり感情の起伏が激しい中、大きな成功と気分の落ち込みを繰り返しながらも常に前へ前へとチャレンジを続ける熱意がすごい。大きな成功も多いが、倒産ぎりぎりの苦境もあり、その人生はとても興味深い。まわりとうまくやっていけない性格であるため、人がまわりから次々と去っていくが、それでも新たな支援者が生まれ、人との繋がりが生まれ、複雑な人間関係ができては壊れていく。強烈に印象深い人物であることがわかった。面白い。

    「自分が世界を変えられると本気で信じるクレイジーな人こそが、本当に世界を変えるのだ(スティーブ・ジョブズ)」p11
    「(イーロンの専門は物理学)エンジニアの真髄は、物理学の基本原則まで問題を深く理解することにあるとマスクは考えていた。並行してビジネスの学位も狙う(ビジネスを勉強しないと、その勉強をした人の下で働くことになりそうだと思ったから)」p81
    「CEOになんてなりたいと思ったことはありません。ですが、CEOでなければ、本当の意味で最高技術責任者とか最高品質責任者とかになることもできないと学びました(Zip2での経験)」p99
    「マスクは最初から過酷な仕事人だった。ワークライフバランスなどははなも引っ掛けない。Zip2でもその後の会社でも、昼間はもちろん夜もほとんど仕事ばかりしているし休みは取らない。周囲にも同じことを期待する」p100
    「チームメンバーに愛してもらうことなど仕事ではない。そんなの百害あって一利なしだ」p100
    「YMCAでシャワーを使い、事務所の床で寝る生活からわずか3年で、100万ドルの車を買うことができました」p103
    「マスクはまた、会社から追い出された。3年で2回。ビジョナリーだが、周囲とうまく折り合えないからだ」p130
    「「CEOのアントレプレナーは、実のところ、リスクを取るタイプではありません」とロエロフ・ボサは言う。「リスクを小さくしようとする人々ですから。リスクで育つタイプではなく、リスクを大きくしようとか絶対にしません。調整可能な変数を見つけ、リスクを最小化しようとするんです」だがマスクは違う。「彼はリスクを大きくしようとします。船に火をかけて、ほかの人々の逃げ道をなくすんです」マクラーレンの事故も、いかにもマスクらしいとボサは言う。どれほど走るのかを知りたくて、アクセルを床まで踏み込んでしまうわけだ」p130
    「(カードゲーム)ほかはみんな慣れているし、カードを記憶したりオッズを計算したりが得意なわけですよ。イーロンは毎回必ずオールインして負けていました。で、負けるとチップを買って、倍賭けするんですよ。何回負けたかわからないくらい負けたあと、オールインで勝ことができました。そうしたら「うん、これでよし。ここまでにする」って言うんです。これが彼の生き方なんですね。チップをテーブルに載せ続ける。賭け続ける」p131
    「彼が作った2社、スペースXとテスラを見ればわかります。シリコンバレーの常識としては、どちらもクレイジーな賭けです。ですが、うまくいくはずがないとみんなが思った会社がふたつともうまくいったわけで、であれば、「イーロンは、ほかの人にはわからないなにかをリスクについてわかっているのだろう」と思わざるをえません」p131
    「(南アフリカでマラリア発症)マスクは10日間も集中治療室にとどまったし、完全回復には5ヶ月もかかってしまう。危うく死にかけた体験からふたつのことが学べたとマスクは言う。休むと死ぬ。もうひとつ、南アフリカはいまだ私を破滅させようとしている」p135
    「技術は必ず進歩すると限ったものではない。進歩は止まるかもしれない。後退することさえあり得る。月には行けた。でも、スペースシャトル計画は中止となり、進歩は止まった」p140
    「後ろ向きなやつや、そんなこと無理だと思うやつは、次の打ち合わせに来なくていい。なにかをなし遂げる人しかいらない」p164
    「(できる限り内製する)バルブ1基に25万ドルと言われたことがある。そんなばか高いものが買えるか、自分たちで作れとマスクは指示。数ヶ月かかったが、コストはごくわずかなものになった。上段エンジンのノズルを制御するアクチュエーター1基に12万ドルと言われた時も、マスクは、そんなに難しいもんじゃない、せいぜいガレージのドアオープナー並みだ、5000ドルで作れと命じた。結局、洗車機で液体の混合に使われているバルブを改良すればロケット燃料にも使えることが判明する。燃料タンクにかぶせるアルミニウム製ドームは、2回目の注文で値段が大きく下がった。結局、ほんの数年で、スペースXは、ロケット用部品の70%を内製するようになる。原因のひとつは、軍やNASAが仕様や要件を山ほど定めていることにある。大手の航空宇宙企業は、この仕様や要件をきっちり守る。マスクは逆で、要件はすべて疑えと指示する。これは「要件」だからしなければならないと口にした技術者は、マスクにとことんやり込められる。その要件は誰が作ったのか、と」p168
    「エンジンを試験するとか燃料タンクの認証を取るという話になると、マスクに「なぜやらなければならないんだ」と尋ねられる。「それが要件だと軍の仕様で決まってるんです」って答えると「それは誰が書いたんだ? どういう理屈でそうなってるんだ?」って突っ込まれます。要件はすべて、勧告として扱え。それがマスクのやり方だ。疑う余地のない要件は、物理学の法則に規定されるものだけだ、と」p168
    「「気が狂いそうな切迫感をもって仕事をしろ」とマスクはよく言う」p170
    「マスクは公私いずれも他人とうまく付き合えるタイプではない。相手と対等な関係を結ぶスキルは持ち合わせていないし、まして誰かに敬服することなどありえない。自分以外に力を持たせるのが嫌いなのだ」p177
    「(大衆車を最初に作ることに反対)最初の電気自動車はなにをどうしても高くなる。みすぼらしい車にそこまで払ってくれる人なんていない。自動車会社を立ち上げるなら、まず高級車を作り、そこから大衆車へ広げていくべきだ」p189
    「自閉スペクトラム症であることはまちがいなくて、ほかの人々とつながることが本当にできないのだろうと思います」p244
    「マスクの資産はもうほとんど残っていない。テスラではキャッシュの流出が続いている。スペースXは3機連続で打ち上げに失敗した。それでもマスクはあきらめない。文字どおり全財産を賭けるのだ。打ち上げ失敗のわずか1、2時間後、マスクは声明を出した。「スペースXはあわてることなく前に進み続けます。スペースXは軌道に到達するという目標を達成します。そこに疑問が入り込む余地はありません。私はあきらめません。絶対に」p260
    「2回目の打ち上げ失敗をマスクの脇で見ていたワイアード誌のカール・ホフマン記者は、どうしてそんなに楽観的になれるのか尋ねてみたという。「楽観的? 悲観的? そんなことは知らん。やる。やり遂げる。地獄なんぞものともせず必ずやり遂げると神に誓うんだ」それがマスクの答えだった」p261
    「(タルラ)心臓発作でも起こすんじゃないかと心配で心配で。夜驚症と言うんでしょうか、寝ているのに突然叫び出し、私にしがみついてきたりするんです。恐怖ですよ。彼は追いつめられていて、私はびくびくでした」p265
    「実費生産契約のぬるま湯に何十年もどっぷり浸かってきた結果、航空宇宙業界は締まりがまるでなくなっていた。たとえばロケット用のバルブは似たような自動車用バルブの30倍もする。だから、部品はなるべく航空宇宙以外の企業から買えとマスクは指示した。NASAが国際宇宙ステーションで使っている留め金は1個1500ドルもする。スペースXは、トイレの個室に使われている留め金を改造し、わずか30ドルでロック機構を作ってしまった。ファルコン9のペイロードに使う空冷システムが300万ドル以上かかると言われたときも、マスクは、住宅用エアコンはいくらかと大声で尋ね、6000ドルぐらいでしょうかと答えさせている。当然、民生用エアコンを購入し、ロケットに積んでも大丈夫なようにポンプを改造することになった」p299
    「今回のファルコン9用施設の改修は費用が1/10しかかからなかった。スペースXは宇宙を民営化するとともに、そのコスト構造も根本的に変えてしまった」p299
    「リスクを報告し、エンジニアリングデータを見せれば、本人がさっと判断して、責任を我々から自分の肩に移してくれる。イーロンはそういう人なんです」p306
    「イーロンにはいろんな側面があって、一瞬あとに何を言い出すか、何をやらかすか全くわかりません。なんですが、それがすっとひとつにまとまることがあるんです」p323
    「これを不可能とする第一原理はないんだ。ものすごく難しいのはわかっている。なんとかしろ」p337
    「オープンAIもイーロンの投資によって成功した」p350
    「(テスラの自動運転)オートパイロットで人がひとり死ぬと、人間のミスで100人が死ぬ以上の騒ぎになるのが現実である」p358
    「(マスクは作業員に厳しい)そこの作業員に優しくするのは、自分の仕事をきちんとこなしている何十人もの作業員に対して優しくないことに等しいんですよ。問題箇所を修正しなければ、ちゃんとしている人々を傷つけることになるんです」p394
    「(2018年スペースXの業績)56回の打ち上げに成功し、失敗はわずかに1回。着陸も問題がなくなり、ブースターは再利用できる。スペースXが軌道に届けたペイロードの合計は、すでに中国や米国さえも抜いて世界一だ」p415
    「(グライムス)晩ご飯を食べに行った先でマスクが突然だまり、じっとなにかを考えはじめたことがあった。1分か2分もそうしていただろうか。そして、ペンはないかと問われた。ハンドバッグからアイライナーを渡したところ、エンジンの熱シールドを改良するアイデアをナプキンに書き留めた。「私といても心がどこかほかに行ってしまうことがあるのだと悟りました。たいがいは仕事上の問題ですね」」p445
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    投稿日:2024.04.28

  • まる

    まる

    めちゃくちゃ面白かった。
    スティーブ・ジョブズを読んだときにも思ったのだが、ウォルター・アイザックソンの書く自伝は気持ちよく読める。
    本人や周辺への取材で、できるだけ素のままかつ、多面的に知ることができる。

    特に心に残った部分を挙げる。

    ▼リスクテイカーであるとこ
    遺伝子と家庭環境によって、超リスクテイカーになった。
    他の人が取れないリスクを取れることが、スペースXとテスラの成功の一つの要素だろう。
    単にリスクを取るだけなら失敗して終わるのだろうが。
    マスクの場合、すごい集中力と超ハードワーク、物理法則を原点にすえた判断で乗り切る。
    やる側には大変だろうが、見てる分にはすごく魅力的に見える。

    ▼スティーブ・ジョブズと同じタイプ?
    クソなやつですごい成果をあげるのは似ている
    『もしかして、あの性格と成果はセットなのか?
    これほどの業績に対して世界が払わなければならない対価が、くそ野郎でなければ達成できないなのであれば、それだけの価値はあると言える』
    この一節は笑った。
    ジョブズは製品のデザインに強迫的な接し方をしていたが。
    マスクは、加えて、科学や工学、生産にまで強迫的。

    ▼崖っぷちぶりのすごさ
    スペースxの3回の打ち上げ失敗
    テスラの運転資金枯渇、顧客の予約金にまで手を付ける
    リーマン・ショックまで重なる
    この三重苦を切り抜けて見せるのだからシビレます。

    ▼アルゴリズム 5戒律が秀逸
    ①要件はすべて疑え。
    ②部品や工程はできる限り減らせ。
    ③シンプルに、最適化しろ。
    ④サイクルタイムを短くしろ。
    ⑤自動化しろ。
    テスラ、スペースXの経緯を読んでから、5戒律が出てきてとても腑に落ちる。

    さらに以下の結論
    『気が狂いそうな切迫感をもって仕事しろ。
     規則と言えるのは物理法則に規定されるものだけだ。
     それ以外はすべて勧告である。』
    いやーこんな仕事の仕方が実際にできるんですから、感服です。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.26

  • baen2

    baen2

    イーロン・マスク氏の現在進行形を
    過去から振り返って読んでみると
    これからどう未来に変わっていくかが
    待ちどうしくなる。

    グライムスに旧ツイッターでイーロンが
    付き合おう と告白していたことを思い出して笑ってしまった。

    ステンレスでできたサイバートラックのお披露目会のときに防弾ガラスが割れた時なんかもね。
    又 不具合がでていることや、今回は日本でも販売され初めたこと含め 良い時期にこの本読めて良かったよ。

    現在生きている人の経過を振り返ることがあの時そうだったのね、と精神や心理面を垣間見ることで
    未来を更に応援できる、というか目の離せない世界になる。

    続きを読む

    投稿日:2024.04.24

  • pnictide

    pnictide

    まず、イーロンの父、エロールのヤバさが怖かった。他人事として聞くにはオモロ話だが家族だと結構地獄だろうなと思った。
    そしてご本人。育った環境や生まれ持った特性も多分にありそうだが、狂気的な意思とエネルギーと知性で絵空事を実現していく様子が印象的だった。絶対映画化決定する。続きを読む

    投稿日:2024.04.24

  • mayuharu21

    mayuharu21

    読みやすい!
    何が読みやすいかといえば、1章が短いことだ。
    上巻だけで51章。462ページで。つまり平均すれば1章10ページない。
    これだけ毀誉褒貶の激しいイーロン・マスク。
    激しく生きた人間を語るには、これくらい切り分けてもらうとちょうどいい。

    本の内容は、南アで生まれたイーロン・マスクの生い立ちから、
    ペイパル、スペースX、テスラと次々に開発し会社を興して行く様を描いている。
    アスペルガーらしい行動を織り交ぜながら。

    なにかをしでかすには普通じゃダメなんだなあ、と改めて思う。
    日本はみな普通になってしまった。偏差値エリート養成。
    地頭のいい地方のばか、はいなくなってしまった。
    アメリカは、、といってもマスクはアメリカ人じゃない。
    GAFAMの創設者で純粋なアメリカ人、っているのかな。
    というかそもそもアメリカ人、って何だ、ということか。
    ダイバーシティだ。

    天才のそばにいる人たちが偉いんだな。
    彼の考えを活かして形にするからきちんと物が出来上がった。
    そうじゃなきゃただのほら吹きだ。

    しかし、、、テスラも完成したというのにまだ半分残っている。
    twitterにも踏み込むのかな?

    楽しみだ。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.19

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