【感想】亡霊の地

陳思宏, 三須祐介 / 早川書房
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • yoshi1004

    yoshi1004

    台湾の青年がドイツで殺人の刑期を終えて、故郷の村に帰ってくる所から物語は始まる。折しも中元節で死者の霊が帰ってくる、そこから生者や死者の語りが始まる。それぞれの語りの中から貧困、DV、あらゆる差別等が浮き彫りになる。超自然の手法で、青年の家族の歴史、日本統治やドイツの非人間的な歴史が明るみにでる。凄い作品だが、台湾名前の読み難さで疲れた。続きを読む

    投稿日:2023.10.28

  • Verfassungslehre

    Verfassungslehre

    2023年10月22日日経朝刊で四元康祐氏のコラムで紹介されていた本。すぐに図書館に予約を入れたら翌日の2023年10月23日手元に届いた。書店で取り寄せるよりも遥かに早い。
    読み始めたが、あまりに技巧的な構成で、ちょっと嫌気がさして放棄。続きを読む

    投稿日:2023.10.23

  • ボマルツォ

    ボマルツォ

    ちょっとこれはヤバいやつを読んでしまったのかもしれない。台湾出身の作者の描く、日本で言えば恐らく昭和後半から現代に至る(と思われる)台湾のとある地方における五女二男の子供とその父親、母親の“家族”とその周囲の人々による数十頁のモノローグが積み重なっていく形式で物語は進んでいく。
    まずとにかく誰一人として幸せな人間がいない。そして、家族というどうにもならない存在がそれぞれに秘密を抱えて、積み重なり、次第にその重みに底が抜けて、様々な真実が明らかになっていく。
    その余りの重苦しさに、最初の50ページでもう読むのやめようと思ったが、いつの間にかやめられなくなってしまっていた。濃厚すぎる台湾の情景描写と、執拗なまでのディティール描写で当時の時代感が鮮明に浮かび上がり、正直、田舎から出てきて、残してきた家族の重みを知る人々ほど読むのが辛くなるかもしれない。しかし、そこは徐々に物語をシラケさせない絶妙な塩梅の謎解きの面白さをちりばめることで、読み進めやすくなってくる。
    個人的にはラストが狙いすぎた感があったので星4つとしたが、小説として体内に残るヤバさとしては文句なしに5つ星だ。
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    投稿日:2023.06.28

  • ken7ynwa

    ken7ynwa

    陳家七姉弟の今。
    それぞれにそれぞれの問題を抱え、そこに至る過去は腹をわって語りきれず、互いを羨み、妬み、それでいて実は相手への責任を感じながら、言葉にできない幸せを望む。

    家族って切っても切れず、嫌い!と言いながらも手をさしのべあってしまうよな。

    ピーピー口喧嘩を始めた姉妹をみて、
    「泣かないで」
    って言われたって泣いてしまうわこんなの。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.26

  • 雨空

    雨空

    作家である天宏は故郷を離れベルリンに。そこで出逢った青年と恋人になるも殺してしまい牢獄へ。釈放されたあと、もう帰ってはこないと思っていた故郷へ帰る。

    弟である天宏と兄、5人の姉妹、母親、父親の視点が交互に描かれ、若かりし頃から今に至るまでを物語る。最後、家族全員が抱えてきた秘密が明かされるとき、これまでそれぞれが背負ってきた重みを思って泣きそうになって、「泣かないで」の一言でより泣きたくなった。
    長女、次女、三女、四女、五女はまったく違う人生を辿る。長女は台北で出て工場で働くも妊娠し田舎へ出戻り。次女は勉強し台北で役所の仕事に就き平凡な生活を送る。三女は有名なキャスターの妻となり優雅な生活を送り、四女は貿易やクッキーで成り上がった富豪の家へ嫁いだ。が、それぞれが様々な過去の重みや今の生活の苦しい状況があり、お金があるからといって精神が健やかかといったらまったくそうではない現実があって。外からは見えない一つ一つの家の内情が、全てとは言わないけれど小さな部分で身につまされるといったことが多くて胸が痛くなる。

    時代や風習で縛られてしまう理不尽さ。そこからなかなか抜け出せないやるせなさ。どうしようもなさ。自分の胸のうちを話せない閉塞空間。過去に縛られ、身動きのとれない、気力がでないような気持ちが、雨がまったく降らず茹だるような暑さに停滞している田舎の風景とだぶる。

    言いたいこと、感じたことが多すぎてまったく整理できない。天宏とTのこと、四女と五女のこと、長男のこと、母親のこと、父親のこと。

    すごく良い本を読んだという気持ちでいっぱい。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.21

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