【感想】あのSFはどこまで実現できるのか テクノロジー名作劇場(インターナショナル新書)

米持幸寿 / 集英社インターナショナル
(6件のレビュー)

総合評価:

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  • わっさん

    わっさん

    ●=引用

    ●さまざまなテクノロジーは既に人間の能力を大幅に超えており、人間の社会は自身の能力を超えた科学の力を使うことで発展し、地球に君臨していることを忘れてはならない。人間は1トンもある物を持ち上げることはできないが、重機は軽々と持ち上げる。(略)人間が全力で走ったとしてウサイン・ボルトの時速45キロ弱が限界だが、新幹線に乗れば平気で時速250キロで移動できる。ましてや人は空を飛ぶことはできないが、現代の地球では常に数十万という航空機が空を飛び、宇宙にさえ行けるようになった。これらは人の能力を超えたものであり、しかも「人間を超えることで仕事が奪われる」と危惧するよりも、なくてはならない存在となっているのだ。コンピューターが生まれてからおよそ100年。計算能力は最初から人の能力を超えていたし、超えていたからこそ価値のある存在なのだ。AIが知能を超えることで、「人間の仕事を取られるのではないか」と心配する論調をよく聞く。知能を、機械にはできない最後の砦のように考える人が多いのかもしれないが、それを超えてこそ、新しい文明社会があるのではないだろうか。
    ●今日存在する大きな勘違いがAI(人工知能)だ。「AIはヒトより賢い人工人格」と思っている人は世の中に多いと思う。本書で繰り返し語っているが、残念ながら現代のAIはそのようなものではない。現代のAIのほとんどは「分類器(classifier)」と呼ばれるものだ。例を挙げて説明しよう。自動販売機に硬貨を入れる穴が空いているが、あそこに入れられる硬貨の種類は決まっている。受け付けるものは、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉だとする。そこに1円玉、5円玉、偽の硬貨などを入れると返却口に落ちてしまうが、それらは「その他」に分類される。この場合、5種類に分類している分類器である。現代のAIの多くがやっていることは、これと大きく違わない。「猫の写真を多くの写真から認識できるAI」というのが、今日のAIブームの火付け役になった1つである。これは「二値分類」というもので、恐れずに言えば、自動販売機のコイン分類器より単純である。「猫か、そうでないか」なので2値である。ところが、テクノロジーとしては最先端である。なぜか。硬貨の分類には「重さ」「直径」「厚み」が重要な情報である。(略)ところが猫を識別するための入力となる画像は精密ではない。(略)それを「これは猫」と分類しなくてはならないのだから、「厚みは1.8mm±0.05mm」みたいに決められないのだ。ところが現代の「深層学習AI]と呼ばれるテクノロジーは、そのような「あいまいな」特徴を持つものを分類できるようになった。これが、今日のAIブームの火付け役になった「深層学習」テクノロジーだ。
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    投稿日:2024.02.17

  • izumowol

    izumowol

    昭和・平成のアニメや映画に登場するコンピューター技術が2023年の現代、どこまで実現できるかを真面目に考察した本。この「真面目に」がポイントで、そのひたすらな真面目さに好感を持つ人と面白くないと思う人に別れると思う。私は何となくどちらの気持ちも分かる(笑)。続きを読む

    投稿日:2023.08.09

  • Dr.(読多ー)あんころ猫

    Dr.(読多ー)あんころ猫

    AIとの会話についてもかかれているが、ChatGPTが出てきた今は大分印象が変わったのではないだろうか。

    投稿日:2023.04.17

  • 魚雷屋阿須倫

    魚雷屋阿須倫

     ここに登場するSFは、少々古いものが多い。40年、50年前のマンガやドラマに登場したSFガジェット。その当時はオーバーテクノロジーだったが、現在のテクノロジーではどこまで実現されているのか、それをまとめているのが本書である。
     
     取り上げられているのは、バべルの塔のコンピューター(バビル二世)、KITT(ナイトライダー)といったコンピューターやAIの類が多い。ハード的にはそれなりにいいところまで行っている。ソフトの部分は、これからというところか。

     話変わって、バビル二世の主題歌(EDも)は、故水木一郎氏が歌っていて好きでした。
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    投稿日:2023.03.04

  • vivahorn

    vivahorn

    題名にSFが含まれていたので書店で衝動買いした。よくある内容で、SFと現実(現在の技術)とを比較したもの。ウルトラマンや怪獣が実在したら自重を保つことができないと予想するなど、SFや漫画を超真面目に解説した本の類い。下手すると、SFへの冒涜だとか大人げない解説だとか騒ぐ人もいるかもしれないが、まあ今回はそこら辺を大割引して読んでみた。内容の一部に懐かしい話題もあったので、感想というよりも自分の思い出を中心に章ごとにコメントしてみた。

    第1章「バビル二世」
    主題歌を空でも歌えるくらい毎週見ていたと思うのだが、残念ながらアニメの内容は殆ど覚えていない。今ふと思ったのだが、バビルとバベルとの差は何なのか。どうでも良い事だが。
    話に出てくるNASAのコンピュータはIBM System/360という超有名システムで、その後はSystem/370, /4300, /3080, /3090, /9370と後継が続いた。所謂、メインフレームコンピュータと呼ばれるもので、昔のSF映画に良く出ていた。私が初めて見たメインフレームはNHKのSFドラマ「タイムトンネル」の設備、アリゾナの砂漠の地下深くに建設された。おっちょこちょいのトニーとしっかり者のダグの時間旅行。個人的にはアンという女性博士が好みだった。アメリカ人の女性ってみんなあんな感じなのかと朧気に覚えている。話をコンピュータに戻すと、ここのコンピュータは何か事件がある度に火を噴いていた。時には消火器で鎮火していた。甘利にもアナログな対応なのだが、この時はコンピュータって危険だと思った。オープンリールテープみたいな記憶装置がゆっくり動いていたのも印象的。とにかく様々な色のランプが点灯・点滅していたのがとても格好良かった。
    文中にFORTRANの紙カードの写真が出てきた。大学時代にコンピュータの演習があり、FORTRANのプログラムを紙カードのマークシートで入力するのだが、固い鉛筆(HB)で塗り潰すと読み取りミスが頻発して何回も何回も読み込ませなければならなかった。きちんと読み込んだか確認するのに約1時間かかるので、プログラムが正しくても読み取り確認作業は深夜にまで及んだ。カードリーダーにはそんな辛い思い出しかない。

    第4章「火の鳥 未来編・復活編」
    未来編は読んだことがある。レオナから見た人間の姿は非常にインパクトがあり、これに似た夢を見たりして、当時はこの画像が私の深層に刻まれていたことは確か。この頃のカメラがアナログで走査方式であることが原因であることが解り、ちょっと感動した。

    第5章「2001年宇宙の旅」
    この映画は地元の映画館で封切りしてすぐに見たのだが、宇宙船だけ覚えているものの内容は全く覚えていなかった。その後、テレビでも再放送で何度も見たが、これでも内容を覚えていない。シュールな映画なのだ、昔から。早川書房から続編(2010, 2061, 3001)が出たものの読んでいない。映画はこの他に2010年版があるとのことだが全く知らなかった。
    この作品に出てくるコンピュータの名前はHAL9000なのだが、これはIBMのコンピュータのパロディであるのは有名な話。Iの前はH、Bの前はA、Mの前はLということ。
    2001年のテーマ音楽でもある、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」も定期演奏会で実際に演奏した。昔の夢が叶って本当に嬉しい。
    メインフレームコンピュータに触る機会は無かったが、会社ではDECのVAXで統計解析ソフトSAS、IRISのワークステーション(RISCプロセッサー)でダイキン工業の分子設計プログラムMOL-GRAGHを使っていた。これで材料設計を試みたが、真空状態で1分子を再現する分子軌道法だったので、全く役に立たなかった苦い記憶がある(実際の材料は液体なら隣に溶媒分子があり、結晶なら同じ分子が連続して並んでいる)。当時のOSはUNIXで、解説書は赤い表紙の本3種類しかなかったので、システムを管理するのにかなり苦労した。

    第6章「ブレードランナー」
    私が尊敬するフィリップ・K・ディックの作品。ディックの作品は殆ど所有している。神田の古本屋街に何度も何度も通って揃えたが、最近はあまり読んでいない。他に読みたいSF作品が甘利にも多すぎるのだ。
    AIについては、つい最近まで研究していた。画像認識(機械学習、教師あり)が中心で、プログラムは最近はやりのPythonを用いた。教師データを大量に入手し、プログラムの動作を確認し、本部長の覚えめでたしで、あとは年度予算で複数の高速FPU付きコンピュータを買うだけだったのだが、買う寸前に銀座でお仕事をすることになった。

    第7章「新造人間キャシャーン」
    主題歌は「ささきいさお」だったのを覚えている。

    第8章「ターミネーター」
    アッセンブラ、マシン語、インタープリター、久々に聞いた、懐かしい!最近はいろいろなプログラム言語が乱立している。基本的な考え方はあまり差がなく、文法も共通部分が多い。言語と言っても英語、フランス語、ドイツ語程度の差しかないので、何か一つ覚えれば他のプログラム言語にはスッと入っていけるものと思う。シュワちゃんの視野にプログラム言語が流れるのはカッコイイが、プログラムを視野に出す意味はあるのだろうか。そんな暇があったらプログラムを早く実行すれば良いのにと思うのは私だけ?

    「おわりに」
    文中にPC-8801mkⅡが出てきて、とても懐かしかった。私が入社して数年が経って、隣の研究室の先輩からこのNEC PC-8801mkⅡを騙されて買った。会社で活用しようと思って自分の机に置いたのだが、机の大半を占めてしまったので机の上では事務作業が全くできなかったし、業務には全く使えず、社員寮に持ち帰り、程なくして廃棄した。
    その後、留学先でMacintosh Ⅱsiを苦労して(注文してから手元に届くまで3か月かかって)購入したが、当然のことながら日本語変換機能はついておらず、日本からわざわざ変換ソフトを取り寄せた記憶がある。化学構造式を作成するソフトも入れたが、プリンターでの出力時に画像が歪んでいた。
    帰国してからも、Appleにドはまりし、Macのコンピュータを買い続けたが、会社でwindowsが幅を利かし始めた頃にはビルゲイツの軍門に下ってしまって現在に至る。
    若い頃からのコンピュータ遍歴を思い返すと、楽しい思い出が殆ど。コンピュータの自作も面白いし勉強になった。しかし最近は、mouseのノートパソコンを購入して文章を打ち込むだけの生活なので、コンピュータに関してワクワク感は殆どない。逆に、コンピュータウィルスやセキュリティ等を気にすることが多く、ちょっとつまらないコンピュータライフに落ち着いちゃってしまっている。
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    投稿日:2023.02.22

  • tagutti

    tagutti

    <目次>
    第1章  『バビル2世』
    第2章  『ナイトライダー』
    第3章  『わたしは真悟』
    第4章  『火の鳥 未来編・復活編』
    第5章  『2001年宇宙の旅』
    第6章  『ブレードランナー』
    7章  『新造人間キャシャーン』
    第8章  『ターミネーター』
    第9章  『攻殻機動隊』

    <内容>
    やや専門的な部分もあるが、現在のIT系の技術者が、こうしたSFの作品(映画もあれば、小説もマンガもアニメもある)を真剣に、丁寧に分析し、現時点でかのうなのか、そもそも可能な技術なのかを解説する。半分くらいは可能、残り半分は、研究中もしくは無理(透明な服など)。当寺の作家たちの想像力のたくましさにも驚いた。  
    続きを読む

    投稿日:2023.02.12

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