【感想】マイ遍路―札所住職が歩いた四国八十八ヶ所―(新潮新書)

白川密成 / 新潮新書
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • YAJ

    YAJ

    このレビューはネタバレを含みます

     著者の本は10年ほど前に『ボクは坊さん』を読んでいる。
     その本は、あまりに軽い内容に、刺さらなかった印象がある。その著者と気づいていれば読んでなかったかも。近所の旅の書店の店主のススメで(「愛媛に行くにあたって、四国巡礼に関するおススメは何か?」と訊いた)、読んでみたもの。

     前著は2010年頃の本。それから十数年を経て、著者も成長したか。本書は、比較的、ひっかかることなくすんなり読めた。ま、紀行文は、誰が書いてもそれなりに面白いもの。

     前著同様、弘法大師の言葉を時に引用し、現生での行い、心情に照らし、教えを理解し、感じていこうというもの。今を生きることの苦しみや焦りといったものが、歩くという単調な行為のみならず、大師の教えとともに昇華されている感がある。

     一般のお遍路ガイドブックのほうが、おそらく最短距離で目的には達するだろうが ― モデルコース、名刹の縁起、旅館情報 etc.の情報のこと ― 今回の読書の目的は、遍路に出かけるための準備ではなかったので、本書くらい、ゆるっと体感的に語られたものが、マッチした。

     2019年4月から、2020年12月までの期間、8回に分けて行脚した記録。折しも、コロナ禍が世界的に蔓延していく時期に重なってはいるが、そのことに関して、仏教的な視点での考察が少なかったのは(ないわけではない)、残念な気がする、というか惜しい。
     まぁ、お手軽さが著者の持ち味か。

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    投稿日:2024.05.02

  • 限界派遣僧侶

    限界派遣僧侶

    数々のお遍路体験記が出版されているが、札所の現住職が実際に歩き遍路をした本は少ないと思う。

    これまでに何冊も本を出版されている住職なので、期待通り本書は非常に親しみやすい内容で読み手を選ばない。
    所に空海の文言を引用し、現代語訳、著者の解説が散りばめられているが、難解なものではない。

    一度でも歩き遍路をしたことがある人ならば、本書を読むことで追体験ができるだろう。
    各札所の縁起、概要を簡潔にまとめてくれていたのは、読みやすく有り難かった。札所の解説はこちらが求める以上に長文となりやすいので…

    また、各宿泊施設での印象、料金を明記してくれていたのが、これまでの遍路体験本には無い面白い着眼点だと感じた。


    欲を言えば、通しで歩き遍路をして頂きたかったと思う。
    連日の長距離移動で疲労困憊の中、逃げずに歩き続ける苦行を乗り越えた先に、著者がどんな境地に到達するのか、出来ればそこを知りたかった。
    ただ本書を拝読するに、著者も本心では通しを望んでおられたのではないかと推察する。


    最後になったが、区切り打ちとはいえ、多忙を極める四国霊場の住職という身でありながら、歩き遍路を全うされたのは本当に素晴らしいことだと思う。
    お疲れ様でした。






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    投稿日:2023.03.28

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