【感想】北関東の異界 エスニック国道354号線―絶品メシとリアル日本―

室橋裕和 / 新潮社
(15件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • mothervets

    mothervets

    日本の中にいる外国人労働者が、なぜか関東のある国道沿いに集まっている…パキスタン人の中古車ビジネスや、在日タイ人がお寺を建てていることは他の本で読んで知っていたが、この本はそれをどんどん深掘りする。
    茨城の農業が技能実習生の存在なしにはもうたち行かないほどであること、入国管理の基準がコロナ禍の中で状況に合わせて労働力を確保するために調整されたようであること、パワフルな若いベトナム人は労働力として頼もしい一面、トラブルもよく起こること、日本人農家側にも人を雇うためのルールがよくわかっていないところもあるなど、双方の状況をものすごく考察されている。
    どれが正解で間違いで、どれが良いもんで悪もんで、というのは単純にはつけられないけれど、
    茨城に住むタイの人々が自分達のお寺でお祭りを行うに当たって、回りの家に1軒1軒挨拶に回って、地域の人もお祭りに来てください、少し人が集まってうるさくなるけどすみません、と言って回っているのは穏便に付き合っていくためのひとつの解決策ではないかと思う。
    すぐにそれで打ち解けるわけではないけれど、少なくとも相手が普通の人だと思うのと、訳のわからない奴らがわらわら集まって騒いでる、と思うのでは全く気持ちが違うのだ。
    日本人が働かない仕事がそこにあるから、外国人労働者がそこに集まるのだ、と書いてあった。
    いま、外国人労働者は身の回りでも多く見るようになった。彼ら彼女らも、日本に夢を抱いて来ているはず。それを信じずに、人間として扱わなければ、彼らが非行に走るのも無理はないだろう。
    外国人からの日本的アプローチも地域社会に溶け込むために必要な一面で、日本人が外国人を人として受け入れることも必要なことだろう。
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    投稿日:2024.05.20

  • tosyokan175

    tosyokan175

    最近、友人に教えてもらった西川口のガチ中華って言うのかな?フツーの中華料理店では出会えないようなディープな料理にハマっています。ちょっと想像を超えたメニューとインパクトの強い美味しさ、クセになりそうです。味もそうですが、ほとんど日本語が通じない店員さんや、周りのテーブルで話されている中国語もトリップ感を誘ってくれるのです。そしてなんでこの街にこんなお店が集結している不思議にもくらくら来ます。この本を読みながら、その店のこと思い出しました。北関東に南米から来た人やアジアからの技能実習生が多いことは、なんとなく知っていました。しかし、国道354線ってすごいことになっているのですね。東京にいるだけではわからない現在の日本の実像が354という補助線でCTスキャン映像のように浮かび上がりました。もう一本の線は、バブルから始まる外国人受け入れの政策の歴史のタイムラインです。場当たり的な海外からの労働力確保の施策が結果的に人種のパッチワークをつくっています。今回も外国人技能実習制度が廃止され、育成就労制度が創設されることは、どんな社会へ繋がるのでしょうか?労働力ってまとめられちゃうけど、そこには生きる、話す、繋がるって人間の暮らしを持ち込むことであり、その基本の基本は、食べるってことになると思います。そういう人とのコミュニケーションは、この本に登場する絶品メシを楽しむことから始まるのかもしれませんね。それにしても大好きなパクチーの生産の現場のことなんて考えたこともなかった…食べることは生きること、食べることは繋がること、そんなことを思いました。国道354線、すごいです。続きを読む

    投稿日:2024.03.19

  • mihokoupitani

    mihokoupitani

    読んでるあいだずっとお腹が空く〜。
    南アジア、ブラジル、東南アジア料理のオンパレード。
    群馬、栃木、茨城を貫く国道354号線を舞台に、異国からやってきた人たちがどのように根を張っていったのか。
    コロナ禍を経て、技能実習生への受け入れがまた始まり、今どうなっているのかなど。
    とにかく初めて知ることばかりだけれど、とにかく読んでると面白い。
    異国の地で逞しく生きる人たちに元気をもらった気がして。
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    投稿日:2024.03.12

  • yoshi1004

    yoshi1004

    北関東国道354線を取り上げたルポ。群馬高崎から茨城鉾田までをインタビュー等で取り上げている。場所場所で住まってる出身国の人達の違いや形成してる町の様子、何より日本での3世の事とか。先ず日本に居る海外の人達に聞いて欲しい。続きを読む

    投稿日:2024.03.03

  • gomakniha

    gomakniha

    北関東の国道354号線を軸に、日本で暮らす外国人や外国にルーツのある人のリアルな生活の様子を取材した1冊。
    西から東へ向かっていく構成で、それぞれの土地で、そこに住む人たちに話を聞いてゆく。いわゆる「日本人」目線ではない、これまで、あまりスポットが当たってこなかった、その土地ごとの現代の1つの生活誌のよう。きれいごとではない、まさにその土地の現実の一端が取材されていて面白い。

    さまざまなルーツを持つコミュニティが集まっているからこそ、さまざまな料理店を含むお店がたくさんある。旅してみるのも楽しそうな地域だなと思う。それとともに、自分の住む地域も、こういった人たちに目に見えない形で支えられているので、ふだん意識していないところに目を向けていくと周囲の世界が変わってみえるかもしれないなと思いました。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.04

  • kanetaya

    kanetaya

    通りかかったことはあっても、全く意識していなかった地域も、掘り下げて知ることができれば、興味深く、味わい深い場所であることを教えてくれる。

    投稿日:2023.11.22

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