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ベルンハルト・シュリンク, 松永美穂 / 新潮クレスト・ブックス (9件のレビュー)
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こぼんこ
感想。ベルンハルト・シュリンクは「朗読者」の著者。そんな事忘れていたけれど。9つの短編集なんだけれどどの話も年老いた人々が何かしらの「別れ」に遭遇した時の話。亡くなった人に対するもの、随分昔に別れた恋…人にまた出会うもの、ご近所の幼い頃から見守り続けていた少女の死にで会うもの。そんな別れの時に脳裏に浮かぶのは思い出で、その思い出も明るさがあるだけではなく、後ろめたさや自己欺瞞、焦燥、そんな向き合いたくないものをちょっぴり混ぜ合わせながらつらつらと脳は過去を浮かび上がらせる。そんな別れの一つ一つが身に染みるのは私もそんな歳に近づいていっているのがわかっているからなのだろう。続きを読む
投稿日:2024.01.05
nobwow
年老いた男たちの振る舞いに、少しギョッとした話もあった。枯れきっていてもおかしくないような年齢の男たちの心を思いがけず覗いてしまったような、ヒヤリとするような気持ちに。 もう少し私自身が歳を重ねたら味…わいも変わるんだろうか。 難しいテーマも多いが、それぞれの別れの受け取り方や傷を、読者も受け取って自分なりに味わえる、短編ならではの余韻も読み心地も好きだった。 訳も素晴らしかった。続きを読む
投稿日:2023.11.11
reso100
別れの形態を様々な事例から検証している短編が9本.舞台はアメリカとドイツだが、普通の人たちの生活が事細かに描写されており、日本との違いを実感した.どの話も楽しめたが「愛娘」でLGBTQ+の実態をのぞき…見できた感じがした.女性同士の結婚を周囲が問題なく受け入れていること、当事者らが妊活に励むこと など日本の状況と大きく違った空気を感じた.義理の娘との行為の結果もある意味で起こりうるものだと思った.続きを読む
投稿日:2023.09.15
ろー
淡い印象の短編集。一人称でこそないが、各話とも多少読み進めないと主人公の年齢層がわからないのが気になった。映像でいえば、冒頭からしばらく主役の顔だけが映らない感じ。狙ってのことかもしれないが効果は薄い…気もする。 作品としては、兄夫婦に死なれた弟の話が一番じわりと浸みた。自分も一人の兄として、弟にどう思われているのか気になってくる。続きを読む
投稿日:2023.08.24
Mizuiro
このレビューはネタバレを含みます
主人公はほぼ全員男性だったが、読み進めるにつれて、それを意識させられる本だなと思った。もし女性目線の「別れの色彩」だったら、これほど昔の恋人や妻を振り返り、そこに湿っぽさを感じることはないように思ったけれど、どうなのだろう。 短編にも関わらず、どれも人生がきゅっと凝縮されているところはすごいと思った。 お気に入りは、自分のせいで障害者となった弟を持つ姉とその姉に恋をしていた主人公が再会する「姉弟の音楽」、夫婦で自殺した兄と兄ともてなかった繋がりに折り合いをつけようとする弟の心境を描いた「ダニエル・マイブラザー」。 (幼少期、病弱だったゆえに親戚の家に預けられていた兄。「クリスは別れを告げなければならないものをきっぱりと置いてくることによってのみ、それを克服できたのかもしれない」という弟の考察が興味深かった)。
投稿日:2023.07.24
アヴォカド
この作者の作品はなんだかんだで読んでいるのだけれど、いつもあまりピンと来ない。『朗読者』でさえもそうだった。合わないのかもな。 今回のこれは"老い"が時にコミカルで、なんかちょっと面白かった。 若干…ドタバタかなと思う『愛娘』がクスッと笑えてしまって、後味も悪くなく印象に残った。『島で過ごした夏』もありがちな”過ぎた青春の夏”もの?だけれど、最後の母のセリフに思わずジンとしてしまう。 年をとったからこそわかる、しみじみする話が多かった。続きを読む
投稿日:2023.04.30
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