【感想】白ゆき紅ばら

寺地はるな / 光文社
(95件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
6
39
41
5
0

ブクログレビュー

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  • komugi

    komugi

    もう何とも言えない気持ち悪さが終始ついて回る。慈善事業というものは決して『心の綺麗な強く優しい人』が、これまた『心の綺麗な困っている弱者』を救済し、感謝に涙を流すといった童話のようなものではない。それをまざまざと見せつけられたように思う。介護や福祉の体制が中々完全に整わないのは仕事の大変さや賃金の問題もあるが、この助ける側と助けられる側の意識の乖離が大きいような気がする。
    志道も実奈子も、『偽善者』というのがピッタリの人間だけど、この物語に出てくる全ての人が多かれ少なかれこれにあてはまる。祐希を助けてくれた人達も皆どこか完全ではない。
    読後は完全にスッキリとはしないが、少しの希望が救われる。
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    投稿日:2024.05.12

  • まろび

    まろび

    このレビューはネタバレを含みます

    行き場のない母子を保護する「のばらの家」
    かわいそうな子供を救いたいと運営する大人に逆らえない子供たちの不条理がテーマなのか 
    慈善事業をしている人の弱さや狡猾さや汚さを伝えたいのか。

    18歳でその家から逃げ出し、10年後一緒に育った友だちを連れ出して未来に向かって生きるという内容だが、全体的に深みが感じられなかった

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    投稿日:2024.05.03

  • りり

    りり

    初寺地はるな作品。想像以上に現実感があって、「弱い」子どもと大人が描かれていた。

    『ゆきばらとべにばら』は読んだことあった。色んな訳があるらしいが、私が幼い頃に読んだのはこれだ。
    私もこれを読んだ当時びっくりした記憶がある。物語の最後に急に王子の弟が出てきて、姉妹と結婚する。
    なぜ急に弟が出てきたのか。答えはもちろん姉妹がそれぞれ結婚して、両方とも幸せになるためだ。明らかな帳尻合わせで苦笑した。

    祐希と紘果も「幸せの条件」を勝手に決められて育てられた。
    でも2人は物語のお姫様とは違う。
    長い時間をかけてお姫様じゃなくなっていく。
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    投稿日:2024.04.23

  • せりぐまん

    せりぐまん

    良かった
    寺地さんの作品は人の弱い部分を上手に描く。

    対照的な二人の、それぞれの苦しみ、戦い方が印象的だ。
    子供の無力さ、子供を子供でいさせない大人、自分の出せない答えを子供に押し付ける大人、搾取する大人…
    春日先生のような大人が一人でもいてくれて良かった…
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    投稿日:2024.04.22

  • つくね

    つくね

    行き場のない母子を保護する目的で作られた「のばらのいえ」それは、大学のボランティアで知り合った志道と実奈子が運営する慈善施設なのですが、崇高な理想が現実の荒波に削られ少しずつ破綻していく。やがて実奈子は酒浸りの生活に堕ち、志道は見て見ぬふり。
    祐希が実質、家事全般を担当し母子たちの世話をする。幼いころに引取られた祐希はそれが当たり前の日常と思い、疑問を隠しつつ成長していく。もう一人の少女の紘果は志道に溺愛されて人形のように扱われる。
    ヤングケアラー&性的グルーミングのコンボで、ホラーハウスのようなキモさを感じてしまいました。
    弱者を無抵抗にさせるエぐさに思考停止してしまう悪環境。真綿で首を絞められるような薄気味悪さです。学力のある祐希は能力に応じた進学先に行かさせもらえず紘果と同じ高校に通うようにと強制されたり、
    自主性のない紘果に気を使いながらサポートする祐希。
    高校卒業と同時に一緒に逃げようとしたのに諦めてしまった紘果。
    10年後再び祐希は紘果のいる「のばらのいえ」で再会する。
    コンプレックスの玉手箱のような結希と人形のような紘果。この二人は一緒にいてもどちらのためにもならない先細りの未来しか想像できませんでした。どろどろした現状から抜け出した先でも再び沼に堕ちそうな因果を感じさせられました。
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    投稿日:2024.04.10

  • beni

    beni

    #読了 #白ゆき紅ばら #寺地はるな
    行き場の無い母子を守る「のばらのいえ」は志道と実奈子が「かわいそうな子どもを救いたい」と理想を掲げ立ち上げた。そこに暮らす祐希は、束縛され未来のない現実から逃げ出す…
    暮らしの中で搾取される事に慣れてしまった祐希がかわいそうで、読むのが苦しかった。
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    投稿日:2024.03.31

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