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飯村周平 / 岩波ブックレット (16件のレビュー)
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総合評価:
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かっきー
100ページに満たない薄さだったが、HSPの書籍の中では非常にまともな内容であった。ここでいう「まとも」は、自分がHSPに対して抱いていたモヤっとした感じが非常にクリアになったという意味であり、HSP…と自称する人たちの言う生きづらさが理解できて、そのことを全肯定するわけではない。 そうした特性を持つ人が一定数おり、HSPと自称することである種の安心感が得られることは認めるが、それを「繊細さん」と「非繊細さん」に分けることには意味がない。むしろ「繊細さん」が正規分布で見たときに端に偏っている人という考えは納得のいくものであった。 ビッグファイブが挙げられていたが、そうした特性の一つくらいに見ておいた方がよいだろう。それでも治療が必要というのであれば、悪徳な医療機関でなければ、HSPはまともに対応されないため、HSPカウンセラーでも何でも好きなところに行ったらいいのではないだろうか。続きを読む
投稿日:2024.03.06
年越しそば太郎
このレビューはネタバレを含みます
『ブーム』、第2章で取り上げられる『ラベリング』、第3章の主題『消費』という言葉にあるように、HSPもまた高度消費社会の産物なのかもしれない。この本はHSPの功罪に焦点を当てており、是非を問うものではないという点で中立的な解説がなされていると感じた。 おわりにの部分で『なぜHSPはブームにならざるをえなかったのか』という問題提起があるが、まさに問題の本質はここにあるのでは。日本社会が抱えてきた「生きづらさ」、2020年のコロナ、マスメディアの影響力。HSPを巡る問題は、単にひとつの流行として捉えるよりも多くのことを示唆していると思う。
投稿日:2024.03.02
fruhjahr
中立の立場で、優しい口調で、わかりやすい。 1つの心理学概念が、どのように社会に受け入れられ浸透していくのか、その時に注意することは何か。 といったことが書かれている本。 HSP自認の方も、そうであ…って欲しい方も、あまり良いイメージがない方も、どなたでも読めると思う。 それぞれの立場に示唆のある良書。 受け取り方は人それぞれだけれど、個人的には大いに賛同する。 知識と知恵って本当に大事だなと思わされる。続きを読む
投稿日:2023.10.25
はるパパ@ファミコンしようぜ
この本は、HSPを疑う方にぜひとも知ってほしい一冊。購入には踏み切らない方も、下記に筆者のサイトがあるので覗いてみてほしい。 https://www.japansensitivityresearch.…com/about-us 抑うつ初期に私も「HSPやん」となった1人。そのときは他人と違うことが分かっただけでも気持ちが助かった。後日めでたく双極と発達障害と診断。風邪かな?の疑いが肺炎だと分かったようなもの。 本書を読んで振り返ると、当時HSPに抱いたどことなくの違和感、でどうしたらいいの?というような心許なさが明快に説明されていて、すっきりした。 私の妻もHSP自認で、娘は自閉症スペクトラム(ASD)。妻はガチャン!というような衝撃音に過度にイライラしてしまう。娘は環境音を拒絶したくて癇癪を起こすのでイヤーマフがある。 生き物の面倒見がよい妻。絵が上手い娘。 筆者によると似たようでいて比較できないもので、感覚過敏でくくってしまうと解像度が荒くなる。前者は性格、一方は障害。障害には科学的エビデンスが豊富にある。注意すべきはHSPのどこまでがエビデンスがあり、どこからないのか境界があいまい。 たとえ性格とは言っても、そのせいで心を病んでしまったら治療は必要だし、治ってもまた落ちないようにHSPをコントロールする術はいる。 筆者が言うには、もし生きづらさを抱えていて、HSPの病院を探すのであれば「Google検索でHSPと検索してヒットしない心療内科へ行くこと」とのこと。これは分かりやすい。と同時に残念な現実だ。 ブームに乗っかる怪しい商法。その実例を提示して警鐘を鳴らす。 ここまで広がったHSPブームは、裏を返せば社会が必要としていたともいえる。「病院に行くほどではないが、人と違っていて疲れる」という多くの人にとっては、私HSPかも?と自己受容できる可能性のある、包容力をもった言葉でもある。だからこそ冷静に情報選択をしていきたい。 全体を通して私のような素人でも読みやすく、オープンソースを示して説明してくれる良著。もっとしっかり人にも説明できるよう二度読み中!(まず妻に)続きを読む
E
HSPが急速にブームになり、その後、炎上とまではいかないまでも「敬遠」の動きが見られ始めたことに疑問を感じ、この本を手に取りました。 ・HSP(繊細さん)の医学的定義と実際の広められ方の差による問題… ・HSPを呼び水にした詐欺や新しいビジネス ・教育現場にHSC(HSPの子ども版)が広まることで起こる弊害 ・HSPを定義したことによる分断 ・治療を謳うクリニックの危険性 など、「そういうことか」と腑に落ちる形で、客観的に記載されています。 HSPという場所に“所属”する一員になることで安心したり、メリットがデメリットを上回る人はいるのだろうと思いますが、ふわっとした定義で「血液型占いのよう」と言われるとなるほどそうだな、と思います。 本書では、いろいろな問題が挙げられているのですが、私が特に問題だなと思ったのが、HSPがいわゆる繊細な人を助けるだけで終われるならよいのに、それだけにとどまらず、「HSPが非HSPを見下したり、分断を生む」というところです。 以前読んだHSP関連本で私が感じていた違和感の正体はここにありました。 理解してもらおうとするその形が、「あなたたちとは違うから」という成分をふんだんに纏っていると、それは分断を生むしかなくなってくるし、それは間違った方法でしかありません。 これはHSPの診断基準とか悪質なクリニックが、という問題とは一味違ったものではありますが、どんな分断にも共通点がありそうで、個人的には一番気になりました。 岩波ブックレットというシリーズでページ数は少ないながら、コンパクトに分かりやすくまとめられているので、気になる方は読んでみてください。続きを読む
投稿日:2023.10.24
reso100
HSP(Highly Sensitive Person)気質のことを心理学概念としては感覚処理感受性と称するのだが、所謂「繊細さん」というような安易な言い換えで、妙に興味を持つ人が増えたことに対応して…、本書で専門家が正しい知識を教えてくれる.心理学では人の性格を理解するのに「ビッグファイブ」という枠組みを使用する由.これらは、外向性、神経症傾向(情緒不安定)、勤勉性、開放性、協調性の5つで、HSP気質はこれらには含まれない.HSP気質を診断する手立てはまだないにもかかわらず、それらしく診断して「何か説明した気になれる」ことで、暴利を貪っている輩もいる.心理カウンセラー資格は、臨床心理士と公認心理士の2つだけで簡単に取得できるものではないことも紹介されている.騙される人が多いのだと感じた.続きを読む
投稿日:2023.09.02
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