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岡部伸 / PHP文庫 (1件のレビュー)
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横
連合国がおそれた、インテリジェント・オフィサー 小野寺信を描いたドキュメンタリーです。 すさまじかった。読後、まず、思い浮かんできたのは、漢の軍師、張良でした。 まさに情報こそが国家の生死を決する…大事であることが、伝わってきます。 教科書では無味乾燥に、無関係に並ぶ、戦争や事件が裏で巧妙につながっていることが感じられました。 遠く離れた北欧・東欧の国々について、感謝の念が沸き上がるとともに、戦後日本が国土を保ちえた幸運を感じました。 気になったことは以下です。 ■インテリジェント・オフィサーの条件 ・人種、国籍、年齢、宗教を超えた、あらゆる人たちとの誠実な人間関係 ・祖国を失った人たちを友人としてサポートしたこと ・卓抜した言語力、ドイツ語、ロシア語 ・オシント 情報分析の天才 ・守秘義務を守ろうとした小野寺氏は本物のインテリジェント・オフィサーとして尊敬を集めた ■ソ連の脅威に対する周辺国の友情 ポーランド、そして、エストニア、フィンランド、ハンガリー、ドイツ ・満州でみたものは近代化したソ連軍であった。ソ連侮れず、ソ連とどう対峙するのかが、彼の脳裏へ組み込まれていく。 ・フィン族はアジアの血が含まれていること、ソ連の脅威下にあることが日本に共感を生む ・地下に潜ったポーランド情報将校を救った小野寺の男気が、欧州へのインテリジェント網へとつながっていく ・オシント:米核兵器の開発を予測、小野寺の先見が、東欧にインテリジェンスへ伝達されてる ■中国蒋介石と、ナチスドイツ、スターリンのソ連の脅威 ・同盟国をもかく乱するナチスドイツの情報戦 ・バルバロッサ、ナチスドイツのソ連侵攻を読む、対中国戦を終了させて、早期にソ連に向き合う工作は頓挫、中国での小野寺機関は解散へ ・蒋介石から小野寺へ送られた自筆の「和平信義」のカフスボタン ■小野寺をつないだ、ポーラントとの数奇な運命 ・日露戦争の明石機関がロシア革命の背後に ・ポーランド孤児の救出をポーランドはわすれていなかった。 ・「偉大なるサムライ」へ、連合国側となったポーランドから、敵味方を越えて、枢軸国である日本へインテリジェンスの親密な協力が ■杉原千畝は部下 ・リトアニアのカウナスは、独ソ最前線の情報基地 ・ポーランド将校を逃がすためのルートが、命のビザへ、6000人を超すユダヤ難民が日本経由でアメリカへ ・背後には、東欧にめぐらされた小野寺機関の支援があった ■日本の命運を決めたヤルタ会談 ・日本の運命がきめられたのは、45年5月の2週間のわずかな時期であった。 ・ポーランドの長年の厚意によってもたらされた、貴重な情報「ドイツ降伏後3カ月後にソ連参戦の報」は、大本営中枢部に伝わっていないかった ・だが、北海道を守ることができた。 ■バックチャネル、スウェーデン王室の配慮 ・スウェーデン国王の日本皇室への配慮、勝っているときにすでに和平工作の示唆が ・大戦中、中立国のスウェーデンは日本の情報活動を黙認してくれていた。 ・和平には陛下を動かす以外に道はない。小野寺は、独自にスウェーデン王室ルートへ接近。 ・小野寺の意をくんで、スウェーデン国王からアメリカ大統領トルーマンへ降伏、「国体護持」を伝えて頂いていた ・さらに、英国王室へも和平調停のきらいがあった 目次 文庫版まえがき 現代日本のインテリジェンス強化のために 序章 インテリジェンスの極意を探る 第1章 枢軸国と連合国の秘められた友情 第2章 インテリジェンス・マスターの誕生 第3章 リガ、上海、二都物語 第4章 大輪が開花したストックホルム時代 第5章 ドイツ、ハンガリーと枢軸諜報機関 第6章 知らぜざる日本とポーランド秘密諜報協力 第7章 オシントでも大きな成果 第8章 バックチャネルとしての和平工作 あとがき 主要な参考文献 ISBN:9784569902975 出版社:PHP研究所 判型:文庫 ページ数:432ページ 定価:1000円(本体) 発行年月日:2023年02月 発売日:2023年02月15日第1版第1刷続きを読む
投稿日:2023.05.11
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