【感想】ウィーン・フィルの哲学 至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか

渋谷ゆう子 / NHK出版新書
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • hei1989

    hei1989

    音楽関係者は是非。コロナ禍の総括から組織の構造、社会情勢に翻弄された歴史からテクノロジーの発展まで、構成も工夫された良著。

    投稿日:2023.12.27

  • gaaco

    gaaco

    ウィーンフィルの音楽的な志向性を解説するのではなく、組織としての特性を解説した本。
    ただ演奏を聴いているだけでは決して知ることはないことなので、興味深かった。

    クラシックは、ただ好きで聞いているだけだ。
    演奏だけを聞いて、これはどのオケの演奏で、誰の指揮かを聞き分けるなどという高等な芸当はできない。
    いたって庶民的な耳をしている。

    ウィーンフィルはすごいと子どもの時から刷り込まれてきて、どこがと言われると実はよくわかっていないのかもしれないのが実情。
    長じてからは、よく言えば伝統と格式を大切にするオケ、悪く言えば…(ファンの方々ごめんなさい)保守的で排他的、ちょっといけずで敷居の高いオケという印象だろうか。

    本書でも、ウィーンが、ある意味京都のような街で、コネクションを尊び、一見さんお断りに近い気風があることが書かれていた。
    が、それより鮮烈に印象に残ったのは、ウィーンフィルが自らの音楽の独立性を守るために常任指揮者を置かず、マネジメントや事務仕事も一切楽団員たちが取り仕切っているということだ。
    グローバル化の中で、どこも経済の効率性を求められ、同じような音楽になったり、そもそもオーケストラとして立ち行かなくなったりする。
    そうした趨勢の中で見れば、彼らの姿勢が、ただの偏屈から、俄然強い意志を持って戦う人という感じに見えてくる。
    その戦い方が時に武骨であったり、いささか生臭い政治的なものに見えたとしても。

    筆者は音楽プロデューサーとして、ウィーンフィルの演奏の放映などにも関わったりした経歴の人。
    本書ではウィーンフィルの歴史だけでなく、それこそ、楽団長や楽団員などとのコネクションを育てて得た情報もあって、面白い。

    例えば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート。
    ゲネプロからジルベスター、そして一日のマチネと3度同じプログラムを演奏する。
    1日の生放送は世界中に生中継されるが、実は万一のことがあったら、すぐに他日の演奏に差し換える準備がされているという話に驚いた。

    まあ、自分はニューイヤーコンサートよりプロムスに死ぬまでに行ってみたいと思うけれど。
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    投稿日:2023.09.10

  • りりーちゃん

    りりーちゃん

    ウィーン・フィルの歴史が長いのがよく分かったとともに、音楽の都といわれるウィーン市民のレベルの高さがガチで浮き彫りになった(自分の中で)。まず、「ポルカやワルツに日頃から慣れ親しんできたので」←は?????(目が点)となった。ワルツ…だ…と……???どれだけピアノでワルツのリズムを注意されてきたか…ワルツが当たり前ということに愕然とした。

    あとはベートーヴェンの唯一のオペラ「フィデリオ」。これが初演失敗したというのは私でも知ってるくらい有名な話。しかしそれは演者の技術が追いついてないからで、「もっと高いレベルの奴に演奏させろ」と聴衆が声を上げたという話は本気で音楽を感じ取ってるからこそだと震えた。

    コロナ禍(しかも2020年の1番ヤバい時)で団体自ら実験して問題ないこと証明してコンサート実現しちゃうのはすごい。ここでも音楽に対する本気度を感じる。この本を通して音楽は不滅だと思った。政治利用された背景もあるから、音楽と政治は関係ないと主張するのも深みがある。あらためてすごい。ウィーン・フィル。
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    投稿日:2023.05.10

  • ウクレレ1号

    ウクレレ1号

    創設から一貫して経営母体を持たず、演奏家たち自身が運営を行うウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。後ろ盾なしで存続してきた歴史を辿り、楽団員への取材を通して、壮麗な奏楽の背後に潜む組織原理をさぐる。

    ウィーフィルの内側を見られたような気がします。続きを読む

    投稿日:2023.04.07

  • vivahorn

    vivahorn

    「ウィーン・フィルの哲学」という題名から私の知らないウィーン・フィルのレア情報(裏情報)や楽団員の考え方に関する情報が満載なのかと思って読んだら、殆どが既知内容だった、残念!私がこの本で新たに得た情報は、

    〇 ロックダウン解除直後の運命の初練習で、アインザッツが揃わなかったこと。
    〇 過去の楽団長・事務局長の名前。
    〇 ブルックナー交響曲第2番の初演をウィーン・フィルが行ったこと。
    〇 最近、路線が変わった時期があったが、その原因が楽団長の暴走だったこと。現在は、楽団長が交代し、路線は元に戻っている。
    〇 現在、ロボコップがブルックナー交響曲全曲録音を進めていること。
    〇 ウィーン・フィルとは関係のない情報。ロイヤルコンセルトヘボウの常任がハイティンクからオランダ人でないシャイーに代わったら、ハイティンクが「コンセルトヘボウの響きが変わって、永遠にそれは失われて、もう元に戻らない」と言い放ったこと。ハイティンクさんよ、あんたは老害森喜朗やアホウ副総理や夫婦別姓・同性婚に後ろ向きのウソツキキシダみたいな奴だな。失望した!

    新刊書だからと言って、パッと衝動買いするのはいけないな。結果的に、時間とお金の無駄。せっかく本屋で買うのだから、一応パラパラと読まないとね。題名・副題・帯情報を過信しちゃいかんよ。反省!反省!
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    投稿日:2023.02.04

  • たかちん

    たかちん

    このレビューはネタバレを含みます

    ベルリンフィルと並び世界のトップオーケストラのひとつである、ウィーンフィルに関する歴史、独自の運営など知ることができる本。伝統と歴史を重んじている楽団の一つでもありあますが、ジョン・ウィリアムズとの共演があったように時代の先端、そして後進の育成にも力を入れ始めています。私のウィーンフィルベストアルバムは、ブーレーズ指揮のマーラー交響曲第6番。今、気になっているのは、ティーレマンとのブルックナー全集です。

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    投稿日:2023.01.26

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