【感想】聖女が「甘やかしてくれる優しい旦那様」を募集したら国王陛下が立候補してきた

このレビューはネタバレを含みます

悪人を魔法でぶっ飛ばす系聖女のステイシーと脳筋ムキムキ純情国王リュートのドタバタラブコメ……と思いきや、結構ピュアピュアなお話。
ステイシーが基本逞しく、ライバルキャラに対しても言葉で、最終的には腕力と魔力と無自覚の政治手腕で勝ってしまうが、リュートに対してはちゃんと恋する乙女である。
攻守は……ステイシーが攻めな気はするが。
何なら国王を自ら守ると言っちゃうヒロインですが。

一方でリュート。
脳筋らしく乙女心が分からないときもあるが（それが後々にあるキャラに致命的な引導を渡すことに）自分の能力を過小評価気味に見ていて、他人に頼ることを恥としない。
頼るべき人を無自覚に嗅ぎ分け重用し、人に慕われるいい国王様だ。
それに女性は控えめがいいという世間の常識をよしとせず、遠慮なく言い合える女性と温かい家庭を築きたいと思うある意味ステイシーより家庭的な人だ。
レンガを片手で粉砕しちゃう人ですけど。
まさか巻末に破壊したものリストが載るとは思わなかったよ。

前半はそんな二人が段階を踏みながらほのぼの過ごす感じ、後半は敵対者が分かって騒動になる感じ。
どちらにおいても、ステイシーの後ろ盾となる公爵家の長女ドロテア様がフォローしてくれて、その安心感と言ったら。
最初からライバルにならず、全面的に味方でしたから、頼もしいことこの上なし。
イラスト担当の方が推すのも分かる。
基本的にこの世界の女性陣、逞しいです。
ライバルキャラも含めて。
控えめな女性がよしの風習は何処に。

ライバルとのバチバチもありつつ、基本的にはステイシーの暴れっぷりにスカッとしたり、陛下の言動に微笑ましくなったりと肩肘張らずに楽しめるお話。
後半はバカップルかよな状態になりますし、主役二人。
安心して読めるお話でした。
きっと歴代最強夫婦になるのではないだろうか、ここのお二人。
二人がどんな国造りをするのか、それを妄想するのも楽しそうだ。

レビューの続きを読む