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まさきとしか / 光文社文庫 (26件のレビュー)
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ponponpoon
このレビューはネタバレを含みます
まさきとしか、すきやなあー。はー。このどっしり胸にくるこの読後感が…何がどっしりきてるのか、今の気持ちを上手く言語化できないんだけど。読み始めはサラサラ進んでたのに、途中からもう、どっしり。 幽霊の子、楠男…。 正直…楠男は悪くない!って思ってしまう。(いや、フィクションだからね、ひとごろしを擁護するつもりは微塵もない)でも、灰色の世界から救われていい人だよね。楠男にとって自分を救う方法が、約束果たすことだった。更生できるチャンスのない世の中が悪い…子どもは誰一人悪くない…いつも悪いのは大人と世の中…って思ってる私はある意味クズ女なのか?笑 いくら想像しても足らない痛みと一緒に生きてきたのに、やっと約束も果たしたのに、宍戸真美がもう生きていない世界をこれから楠男は生きていかないといけないのか…それって一体どんな…それが人を殺してしまった楠男への罪なのか… p.s.楠男のお父さんは事故よね、、
投稿日:2024.03.22
じん
女を2人殺したと話すクズ(小野宮楠生)を弁護する宮原貴子。 彼女が調べるうちに、全ての言動がただただ小野宮の宍戸に対する一途な愛を表していたのだと知ると切なくて苦しい。 守りたかった宍戸も、利用していただけの吉永に殺されて。彼女を守るために貯めたお金も、結局は宍戸を苦しめていた母の手に渡ってしまった。 世界に色を見せてくれた宍戸を失った彼の生きていく理由はあるのかな。彼女の罪を被って最後まで服役することが生きる理由になったとして、その後は?小野宮の気持ちだけが何年も宙ぶらりんで、このあともたった一人残されて。こう書いている私も、最初に宮原が警戒していたように、小野宮の虜になっているのかもしれない。 登場人物の視点で描かれるパートが所々挟まっているのが魅力的。それぞれの登場人物の心の動きがグサグサ刺さる。 出てくる人物が皆1人ぼっちなのが切ない。
投稿日:2024.01.30
サマー
このタイトル(屑の結晶)と、漫画風絵のニヤついたイケメンの表紙。外観だけでは絶対に手に取らない本なんだけど(一見すると極道もの、裏社会ものに見える)、まさきとしかさんの本だから手に取りました。 まさきとしかさんは、それくらい信頼できる作家さんだ。この人の書くものならきっとおもしろい!と思える。 これは…序盤では絶対に真実は分からない。 最初のくすおの人を馬鹿にした態度と「クズ女」と呼ばれるくすおの親衛隊女性達が嫌すぎたのと、主人公の女性弁護士に感情移入しすぎて、依頼者にこれ言われたら私なら夜も眠れないわ…と思うと、あーこれは無理かも、なんて思ったりもしました。 ただ、少しずつ時間の全貌が見えてくるころには、もう読むのを止められなかった! 少年と少女の、幼い頃の約束。本当は果たされてない約束を、果たされたものと信じてしまったら。 そして、やはり絡んできますね、母親が。 まみの母親が病院で泣き崩れたシーンは、妙味があるなぁと感心した。支配する母親にも、我が子への愛情はある…というか、自己愛と子への愛の区別が本当についてない、子を自分と同化してるから、失ったらどうしよう!という母親の悲しみは本心なんだと私は思ったよ。 かといって、本当は親に愛されていたのに!まみは親の愛に気づいてなかったのか!怒、という話では全然なくて、親の愛=支配だから、やはり子どもが苦しむのは当然なのだ。 こういうことが、ぶわーっと押し寄せるあの描写。 大きな事件なのに、動機がささいなことや思い込みだったというのも、親の支配から逃れられず、いつまでも心が大人になれないまみと、社会から隔離されすぎて常識が通用しないくすおらしさというか。 動機の奥にある、親という闇、心を解放できず目先の「怒られないこと」ばかり気にしているアダルトチルドレンの悲壮。 物語の構成も凝ってて、とてもおもしろかった。
投稿日:2024.01.11
kotamah
うーん。好きか嫌いかと言えば好きじゃない。でも最後まで一気に読まされる。うんうんわかるわという人物描写もある。人間の多面性をわかりやすく描いていてそうだよね、わかる、人間ってそういうものだと思うものの…共感したくないという自分もいたり。続きを読む
投稿日:2023.11.14
ニャーテン
イヤミスではないのに、読後はグッと重い感情が胸に沈む。勘違いからの一途な献身のやるせない結末、希望と絶望が背中合わせに感じるラストだからか。 女性二人を殺したとして逮捕された小野宮楠生、通称“クズ男”の弁護を引き受けた宮原貴子が関係者の接点を繋ぎながら事件の核心に迫っていく。 まさき作品は親に愛されなかったり、毒親に苦しめられる子どもたちの救いをいつも考えさせられるなぁ。 今までの作品は母親の狂気に震えることが多かったが、この作品では珍しく独身の“クズ女”吉永の狂気が光っていた。
投稿日:2023.10.29
なちゃ
メインになる登場人物みんなうまく掘り下げられているから語り出すと長くなってしまいそう。 貴子の弟が過去に自殺したという設定がより一層物語を切なくさせているように感じだ。 登場人物みんな、とても多面的で奥が深い。 普段テレビや新聞で報道されて適当に聞き流している事件にもこんなふうにさまざまな事情が絡み合っているのかもと思わされた。 楠生にとって真美は全てだったけど真美にとってはそうじゃなかったのが切ない。 でも楠生は見返りなど求めていなかったからそれで良かったのに、あまりにもやりきれない結末。 楠生も貴子も死ぬまでに少しでも笑える出来事があったらいいのにと願わずにいられなかった。
投稿日:2023.08.16
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