【感想】弥勒浄土論・極楽浄土論

松本文三郎, 前田耕作 / 東洋文庫
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    ■シルクロードから日本、広遠な視野がこの中に■2007.6

    ■浄土思想はどのようにして今日に至るか
     浄土とは何か、という本は数多有ります。色んな経典や歴史上の僧侶が極楽浄土をどう捉えているか、という本もあるでしょう。本書は、それらとは違い、浄土の思想が歴史上どのような変遷を経て今日に至っているかという本であり、しかも飽くまで著者自ら言っている様に、現代の問題を解決する為に書かれたものであります。

    ■阿弥陀浄土の前に弥勒浄土あり
     インド、中国、日本のいずれの地域でも、浄土の思想としてまず広まったのは弥勒浄土、即ち弥勒によってこの世が救われるという思想であって、時代を遡ると極楽浄土という記述は見つからないそうです。日本では丁度聖徳太子前後の時代のようでありますから、日本においてすら有史以降の事であります。

     一方時代を下ると、「浄土」と言えば極楽浄土であるのは現代に至っても同じであります。すると当然に極楽浄土を理解しようとする者は、何故に極楽浄土が弥勒浄土を押しやったのか理解する必要が生じる訳ですし、その前提として弥勒浄土の思想とは何か、或いは「浄土」とはそもそも何を指してゐたのか等をまず知らねばならんという事になります。

     この小冊子に雄大で連綿とした人々の営みが詰まっていると思うと心が躍る気が致します。

    ■編集方針もなかなか
     文語文で書かれた原稿を、旧字は新字に、カナは濁點つきの平仮名に改めての出版です。好い処を突いてくれるものです。お陰で格調を保ちつつ学の浅い私でもその内容に触れることができるのです。有り難い。

     また、収録順は敢えて発表順とは逆になっています。

    ■参考リンク
     wikipedia「浄土」の参考文献に挙げられています。
    ■著者:松本文三郎
     京都大学宗教学講座初代教授
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    投稿日:2010.06.07

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