【感想】くらやみの速さはどれくらい

エリザベス・ムーン, 小尾芙佐 / ハヤカワ文庫SF
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
22
10
7
0
1

ブクログレビュー

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  • sakibear

    sakibear

    自閉症の男性が主人公。自閉症とは言え、自分に合った職業があり、フェンシングの趣味ももち、それなりに満たされた暮らしをしている。
    彼の一人称で話が進む。彼が音楽を理解して感じるやり方や、他の内面世界は、私たちが自閉症者に持つイメージと違ってとても豊か。感情的には落ち着いていて、合理的で美学も感じるような世界観。それに加えて数学の才能も天才的。
    だが、新しい上司が彼ら自閉症の従業員を自閉症治療の治験者にしようと圧力をかけてくる。
    趣味のフェンシングサークルでの人間関係のいざこざもあり、その治験を受けることを決める。リスクを感じつつも決断する、その葛藤、筋道の付け方がしっかりしている。
    結果的に、治療は成功して、彼は元々持っていた宇宙工学への夢を叶える。失ってしまった元の自分と、新しく生まれた自分、それが統合されて、最後は感動的。
    自閉症だった彼も、そうではなくなった彼も魅力的で、その二つの立場から世界を見る面白さがある。変化に立ち向かう勇気と未来への希望に満ちている(作中には治療に失敗した同僚の存在も窺わせるものの、詳細はなく、勇気を出して治療してよかった、という印象)
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    投稿日:2023.10.19

  • ふき

    ふき

    随分前に時間を掛けて読んだ
    主人公の性格が好きだった
    ラストもかなり好みだった
    物凄く読むのに体力が必要だったがまた読み返したい

    投稿日:2023.06.18

  • sadgirl

    sadgirl

    自閉症者の「感覚」「知覚」の部分が丁寧に言語化・描写されていて、理解が深まり、ありがたかった。
    自分を構成する要素とはなんなのか?どこまで変わったら、それは自分でなくなるのか?未知の恐怖に正面から向き合い、決意した主人公が選び取った結末。100%ハッピーではないかもしれないけど、そのあとのことに光を感じられるような、絶妙なラストだった。続きを読む

    投稿日:2023.04.21

  • 主婦ねこ

    主婦ねこ

    このレビューはネタバレを含みます

    「21世紀版『アルジャーノンに花束を 』」と言われている作品ですが全然違います。アルジャーノン的な話だと思って読むと、1/3くらい読んだところで不安になってくるので、別物だと思って読みましょう(笑)


    ※ここからネタバレあり※※


    私が感じた大きな違いは主人公・ルゥは、ただ、マイノリティである、ということ。自閉症者であるルゥは、健常者(ノーマル)の感覚や価値観とただ異なっているだけでノーマルに比べて全く劣る存在ではないのです。ですが「障がい者」というレッテルを貼られ、ノーマルに合わせることを強要されます。私も、ある立場においてはマイノリティなので、ルゥの置かれた理不尽な状況に共感が止まりません!

    一方で私も(たぶん)ノーマルなので、ルゥの感じ方に「そういう考え方もあるか!」と驚き!…そうだよね、なんでいちいち挨拶とかしてんだろ…。

    そんな私のメンタリティはルゥの上司のオルドリンに一番近い(笑)。悪人にもなれず、かといって表立って声を上げることもできなくて、ルゥから「助けたい、と言うということは、なにもしてないということだ」みたいに思われてる、彼のたくらみが実を結んで本当に良かった!

    治験を受ける前の秋の公園のシーンは物悲しくて美しかったですね。マジョリティならば決して取る必要のないリスクを取って、結果として、失うものはあっても、たくさんの可能性を手に入れられたルゥ、本当に良かったなと思いました。傑作です!

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    投稿日:2023.03.13

  • 相沢雄二

    相沢雄二

    自閉症者の自我、というか、感性というか、自意識というか、とにかく彼らがどのように感じ、人と関わっているのか、それは知る由もないのだが、本書を読む限り、健常者になるよりも今のままでいても充分幸せだったんじゃないかと感じさせる。
    果たして、どちらのルウが本当に幸せなんだろう?
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    投稿日:2019.10.13

  • numagic07

    numagic07

    このレビューはネタバレを含みます

    アルジャーノンとはちょっと方向性が違うけど、自閉症の人々の感性とかものの見方とかへぇ…って感心した。

    どう頑張っても「自閉症の人」って扱いをされてしまうし、わたしだって「自閉症の人なんだな」って思ってしまうし、もう自閉症は自分のアイデンティティだよっていうキャラクターもいたけど「自閉症」から逃れられなくてどうしても「ノーマル」になりたいっていうのもなんかちょっと分かるしラスト付近すごい辛かった。

    最後、ルゥは同じ人じゃない…って思ってしまった。
    結局、光の速さとくらやみの速さは同じになったのだろうか

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    投稿日:2019.04.20

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