【感想】ぼくらに嘘がひとつだけ

才能は環境か、血統か。難題に若き二人が挑んでいく姿が魅力。将棋の奥深い世界と、出生時の取り違えの話しとがリンクしてミステリー要素もあったが、個人的にはどちらかに振れた方が良かった。

『盤上に君はもういない』に引き続き、綾崎隼氏の作品ということで購入。
時系列的には『盤上に君はもういない』の後になりますが、そちらを読んでいなくても問題なく楽しめる作品。

棋界における才能を決めるの…は、遺伝子なのか、それとも環境なのか。15年もの間、それぞれが家庭で培ってきた家族の愛は本物なのか。出生時の入れ替えは事故なのか。それとも故意に起きた事件だったのか。
勝負師たちの世界で起きた残酷な事件に対し、京介と千明が出した答えには思わず涙腺が緩み、しばらく目をしばたたかせてしまった。

最後の京介と千明の掛け合いも実に爽やかで良かった。二人にはぜひ、棋界を背負うプロ棋士になってほしい。
個人的には前作でも登場した竹森夫妻の絡みはもっと見てみたかった。ケンカップルは尊いものだ。続きを読む

棋士としての才能は「遺伝」か「環境」か、それとも。。。

一応『盤上に君はもういない』から数年後の話ってことだけど、完全に独立した話なので前作読んでなくても問題なし。

前作同様、奨励会を舞台にしたも…う一つの愛を確かめる物語。

読み始めれば真実にはすぐ気づくかもしれない。
ただこの作品を読んで、感じ取ってほしいのは、その裏にある家族を愛す、友がいるということがどれだけ素晴らしいことなのかということだと思う。

個人的に、長瀬厚仁の若かりし頃の話が好きだったかな。続きを読む

将棋に関するところは多少知っている部分があるので読みやすかった。
若い二人の物語のように見せつつ親世代の物語がメイン。特に長瀬父の奨励会時代の話が面白い。