【感想】太陽系の謎を解く―惑星たちの新しい履歴書―(新潮選書)

NHK「コズミックフロント」制作班, 緑慎也 / 新潮選書
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • rafmon

    rafmon

    地球以外の太陽系の惑星に声明は存在し得るのか。木星、土星、水星、火星・・・、それらの衛星も含めて、今分かっている事、近い未来に到着する惑星探査機の話などに触れながら、テレビのサイエンス番組を見るように分かりやすく、胸が熱くなるような内容。読んで良かった。

    塵は太陽の周りを回りながら衝突合体を繰り返し、小天体から惑星へと成長していた。この時、惑星が回る軌道が外側であるほどより大きな惑星ができる。なぜなら、移動する距離が長くより多くの塵や小天体を集めることができるからだ。つまり、本来は、地球より外側にある火星は理論上地球より大きくなるはずである。しかし火星は小さい。これを一つのミステリーとし、そこに「木星」が影響した事から謎解きが始まる。

    木星は太陽系の中で最初に生まれた惑星。46億年前、太陽系の誕生直後にはその中心に生まれたばかりの太陽が輝き、周りには水素とヘリウムのガスが円盤のように広がっていた。このガスの中に岩や氷の塵が漂い、それが次第にくっつき合って惑星が作られた。太陽系の中で、最初に生まれたこの木星が、他の惑星や天体に作用した影響は大きい。この謎解きは、私のレビューを読むと読書の楽しみが半減するので、本書を読んでのお楽しみとしたい。

    惑星ごとに語られる。土星のタイタンは、山、砂漠、川を持ち、生命が存在する可能性がある。川を流れるのは、液体のメタン。メタンは、水より粘り気が強く、タイタンの重力は地球より小さいので、直径1センチメートルほどの雨粒が、秒速1メートルほどで、綿雪のようにゆっくりと降る。どんな風景だろう。雨のような液体が、ゆっくり燦燦と降る幻想的な世界。

    火星と木星の間にある小惑星帯の中に隠れるように、金属を豊富に含んだある天体が浮かんでいる。「プシケ」というその小惑星は、望遠鏡の画像には明るい点としてしか写らず、本当の姿は誰も見たことがない。それは単なる岩石と金属の塊なのかもしれないし、あるいは凍りついた黄色い溶岩の川や、空に向かってくねくねと延びて冷え固まった鉄など、この世ならぬ風変わりな地形に彩られた場所なのかもしれない。メタルプラネットだ。銀河鉄道999のような世界観に胸が高まる。

    金星に昔、海があったのではないかといういくつかの証拠。火星にも。火星に存在したヘマタイトと言う鉄を含んだ鉱物は、地球上では水につかった岩の中で形成されることが知られている。また堆積岩も発見。堆積岩は水の底で形成されやすいタイプの岩石。これらから火星に液体の水が存在した可能性が高い。

    宇宙旅行ができぬ限り、映像や画像、文章でその世界を空想する事しか今は叶わない。しかし、そうした想像の源泉がこの本にはぎっしり詰まっている。
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    投稿日:2024.03.18

  • onog

    onog

    めちゃくちゃ面白い。最新の天体の状況がよくわかる。自分の知っている知識をアップデートするにはちょうど良かった。
    本という形式にもかかわらず、わくわくドキドキをとても感じた。

    投稿日:2024.03.02

  • Y.K

    Y.K

    私が小学生だったころ、NASAが打ち上げたボイジャー2号が木星、土星の観測を実施し、送信されてきた美しい鮮明な映像(静止画)に「凄い!」とときめいた事は今でも印象に残っています。NASAは1990年代以降も木星にはガリレオ、ジュノー、土星にはカッシーニという大型の探査機を送り込みました。カッシーニは最大の衛星タイタンに着陸機も送り込み、タイタンの地表の撮影にも成功しています。
    これらの外惑星の領域では当初は生命の存在する可能性はほとんどないと思われていたのですが、実は地熱や潮汐力による摩擦熱などにより、衛星の地表面から深い領域では生命の存在の可能性まで十分考えられる環境であることが判明しています。
    本書は上記のような成果について、NHKがBSで放映している「コズミックフロント」の制作班が分かりやすく紹介しています。本書では木星、土星だけではなく、水星、火星、金星や天王星、そして数年前に観測が実現した冥王星にまで言及しています。
    ボイジャーが映像を送ってきた時には、ほぼリアルタイムでNHKが特集番組を放映していて、それを食い入るように見ていた記憶があります。ボイジャーよりも精細な画像や、より科学的に深い事実が発見されているのに、それを紹介するマスメディアが少ないのが残念です。「有人」の宇宙活動は、まだまだ月でも精いっぱいというのが現状ですが、無人探査となれば、人類は太陽系のかなり外縁まで探査の目と腕を伸ばしつつあることが実感できる1冊です。欲を言えば、本の値段が高くなってもカラーの画像などももう少し掲載してもらえれば良かったのに、と思いました。
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    投稿日:2022.07.20

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