【感想】孤蝶の城

桜木紫乃 / 新潮社
(28件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
8
13
5
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ブクログレビュー

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  • 屋根裏のリリー

    屋根裏のリリー

    『緋の河』の続編。カーニバル真子がモロッコで受けた女性の身体を手に入れる最後の仕上げの手術は生命を落としていてもおかしくないほどの経過の悪さ。高熱と壮絶な痛みの描写にこちらまで痛みが伝染してくるようでした。

    どこまでがカルーセル麻紀さんの実話と同じなのかはわからないけれど、対談相手は美輪明宏さん?同じ事務所の演歌歌手は藤圭子さんかな?轟みたいなマネージャーから坊っちゃんマネージャーに交代して良かったけど、芸能界で生き残る為にずっと話題を提供し続けるのは限界がありますよ。

    大麻の事件も小説の通りなら罠だったのでしょうか?目立てば足を引っ張る人もいて、そんな芸能界で生き抜くのは並大抵の事ではありませんね。どんな時もいつも助けてくれる姉章子さんの存在が真子にとってはとても大きいですね。
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    投稿日:2024.03.02

  • ハルめめ

    ハルめめ

    「緋の河」の続編。秀男は、初めて「女性の体」を手に入れたゲイボーイとして時代の先駆者となる。自分らしくあるための自己表現を、世間や世論と闘いながらその道を突き進む。時に乱暴で鋭利な刃は秀男やその周りをも傷つけ、プロとしての栄枯盛衰が始まっていく。パリジャンの彼はかわいそうな気がした。続きを読む

    投稿日:2024.01.10

  • shinpapa

    shinpapa

    緋の河の続編。前作は内面との戦いを描き本作は世間との闘いが本流となっている。後29年時代が違っていたらもっと違う人生があったのか。壮絶で爽快な作品でした。読んでよかった。

    投稿日:2023.10.13

  • カレン

    カレン

    緋の河が青春篇なら、本作はその後のカルーセル麻紀を綴った、躍動編とでもいおうか。
    其の手のジャンルをほぼ確立し、第一人者として君臨するも、やはり完璧な女の体を手に入れたいと、外国での手術に臨む。
    術後の容体の悪化や、勝手の違う外国でのストレスや、思い通りにならない自分の体に苛立ち、時には絶望感に襲われながらも帰国。
    好奇の目にさらされながらも、注目を集めてこそと逞しく業界を生き抜く姿。
    作者はどんな綿密な取材をされたのかと思いきや、以外にも本人には一切取材をしていないという。
    当時の資料や、記事を参考にされたと。
    では創作も入っているのか?と思うが、全くそうは思わない。
    秀男(カルーセル麻紀)の啖呵、悔し涙、恐怖と戦う姿、何としてもこの業界で生きてやる、生き抜いてやるという迫力が胸を打つ。
    まったく桜木紫乃という作家はすごい。(緋の河でも思った)本人を目の前にしてここまで描くか・・・
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    投稿日:2023.08.22

  • ゆうゆ

    ゆうゆ

    緋の河からの続編。とても待ち遠しかったし、秀男の生き様にハラハラドキドキしながら寄り添う時間がとても貴重なものに思えた。最初は度肝を抜くモロッコでの日々に背筋が凍るようであったけれども、越えていく上で逞しさや度胸だけでなく、迷いや葛藤もあったとは。自分を貫くための武装をする上での人とのふれ合いには考えるものがあった。異性とのやり取りは理解できない部分もあったし家族愛に満ち溢れた部分、芸能の世界でのもがきなどなど、まるごとカーニバル真子を知ることができて感動だった。ところどころに出てくる有名人とのくだりも興味深かった。
    桜木紫乃さんの筆力は素晴らしかった。脱帽でした。
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    投稿日:2023.07.20

  • violinprince

    violinprince

    今現在、社会に認知されてきたLGBT。そのような概念、言葉がない時代、自らの内面と身体の性が一致せず、その中で自分らしさを失わず、たくましく生き抜いた主人公秀男の半生を描く。昭和の時代において、秀男は“ゲイボーイ”として一世を風靡する。ただしそれは単純に「女性になる」のではなく、自分の生き方を追求して「自分になる」ことを実現させていったことに他ならなかった。

    この作者は生や性についての、少し離れた視点から、しかし相当にえぐっていく感じの叙述を持ち味にしているといってよく、そこに魅力を感じるか否かは人によると思うが、自分は大きく惹きつけられており、これまでもいくつかの作品を堪能してきた。本作ではゲイボーイという、自分とはあまり重ならないだろう領域にある主人公のわけだが、その心情の変化にここまで気持ちをゆさぶられるのはどうしてだろう?

    ここには性の枠を超えた主人公の、精一杯人生に向き合う姿があり(そのあり方は決して道徳的、社会的に褒められたものでないにも関わらず)、「生きる」ことについての根源的な力、といったものを感じさせてくれる何かがある。

    なおはっきり銘打ってないものの、『孤蝶の城』は『緋の河』の続編であり、この2作は続けて読むことを勧める。小説とはいえ、この連作の世界に入り込むことで、主人公秀男の壮絶ともいえる生きざまを追体験することができ、そのことによって自分は人生に何か新たな視点を持てたような気がしている。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.04

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