【感想】家族終了

酒井順子 / 集英社文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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8
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ブクログレビュー

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  • Akiko

    Akiko

    このレビューはネタバレを含みます

    上野千鶴子さんの「女ぎらい ニッポンのミソジニー」を読んでいて、たくさん引用が出てくくる中に酒井順子さんが出てきたので読んでみました。「家族終了」というけっこうインパクト強いタイトルに惹かれて、小説かと思って買ったのですが、エッセイだった…エッセイって好んで読まないので「しまった」と思ったのですが、まぁ、とても面白く、色々と心に刺さりました。
    文体が独特で、語尾が短く簡潔で私は好きです。他の方のレビューを読んだら文体が嫌いっていう人もいるみたいですけど。
    著者は私の10歳年上。ご自分の両親のことも赤裸々に(というほどでもないか?)つづられているが、私自身のことや、私の両親と重ね合わせて読んでも世代的にそんなに離れていないので、共感することが多々あった。
    私や著者の母親世代は、女性が仕事をして社会で能力を発揮することができず、家族のために無償労働をして当たり前だった。だから娘にも同じことをさせようとする母、娘が男性と対等に働いてキラキラ輝くのを嫉妬する毒親もいるらしいが、著者の母は「結婚したら家事をしなくちゃいけなくなるから今はしなくていい、好きなことをしておけ」と、家事を教えてくれなかったそうだ。私の母も全く同じことを言っていた。そして私が男性と対等に働いて、30になっても結婚せずに好きなことをしているのを羨ましがって「私もあなたのように生きたかった」と言っていた。そのまま結婚しなくても本当に良かったのかどうかはわからない(今度聞いてみよう)。
    家族にまつわるあれこれを、完全に部外者として、しかし「家族のいる人は大変ね、私なんて独り身だからラクチン」と見下すわけではなく、かと言って必要以上に自分を卑下もしすぎず、部外者だからこその鋭い視点でつづっている。
    私がすごく共感したのは、家族でディズニーランドにいかねばならぬ(子供を連れて行かねばならぬ)と、出かけて行って、廃人のようにくたびれて帰途につく人々を観察したくだり。私も絶対に家族でディズニーランドに行ったりはしたくないので(笑)。夫が行こうと言い出したらこの章を読ませようと思った!
    40になっても親に心配されてうれしかった思い出や、皇后雅子さまに関することなど、うんうん、とうなづきながら読みました。
    最後の方は、事実婚やLGBTのことなど、現代は様々な家族の形があって良い…という流れになっていき、私もその通りだと思う。しかし実際は日本の政治家が保守的すぎて選択的夫婦別姓でさえも認められず、法でしばられた同姓を名乗る夫婦だけが正しい家族!とされている。はっきり書かなくてもそれが少子化につながっているのだな、と腑に落ちる書き方で、すごく納得させられた。
    酒井順子さんの他の著書も読んでみたくなったが、最初に書いたように上野千鶴子さんがいろんな方のいろんな著書を引用しているので、あれやらこれやら、読みたい本がたまってきました。どれから読もうかな。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.12.10

  • arasanta

    arasanta

    家族に関するエッセイ集のような感じ。
    自分とは年代も生まれも違うので、合っているところ違っているところがはっきりしていて面白い。

    投稿日:2023.07.11

  • nami

    nami

    エッセイはあまり読まないけれどエッセイこそ同年代で感覚が似ている著者であれば面白いと思えた。独身の同年代の著者が家族についてどう考えているのか、彼女自身の家族についてを語りながら、またいろんな統計や小説を持ち出して意見を述べている。
    日本の将来は、家族の在り方はどう変遷しているのか私の存命中は大きく変わらないで欲しいと思う。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.11

  • 湖永

    湖永

    自分が生まれ育った家族のことを「生育家族」、結婚などによってつくった家族を「創設家族」というそうである。
    著者は、両親と兄を亡くし、同居人はいるが婚姻関係は結んでいないので「家族終了」となるらしい。

    確かに遠くにいても家族はあって、今はいても当たり前だと感じるが、そうでない人も多くなっているのだろう。

    今の時代も家の存続を意識している人はどのくらいいるのだろうか?とふと感じてしまった。

    長男が家を継ぐのが当たり前だと言っていた時代。
    早く身を固めろと言われた息子。
    娘は、まだ片付かなくて困っている。などと普通に言ってた時代に育った私。
    これが現代では考えられない死語となっているのでは…。

    家族は確かに素晴らしいものではあるが、それが唯一無二の幸せの形だとした時には、息苦しさが付きまとうと言った著者の気持ちに同感なのである。

    続きを読む

    投稿日:2023.03.04

  • かずみ

    かずみ

    「生育家族は」やがて年老い亡くなっていく。結婚して「創設家族」をつくらなければそこで家族は終了してしまう。子供がいない人が増えている現代、確かにそういう家が多くなっていることでしょう。 事実婚などの様々な形を認めていくしかないと思います。学校教育での「家庭科」のあり方の提言も良かったです。 家事能力はだれもが身につけておくべきだと思います。続きを読む

    投稿日:2023.02.05

  • taka_2

    taka_2

    両親と兄を亡くして一人になったから家族終了。そんな50代女性の著者による、家族をテーマとした生々しいエピソードを交えたエッセイ集。
    フラリーマン、家庭科の授業、嫁の役割、毒親、事実婚など、面白く読めた
    フラリーマン、コロナ禍前は結構やってたけど、今は出社が無くなったからしなくなったな。子供がそこそこ大きくなって、育児から逃げ回る必要がなくなったという理由もある。最近そのことに気づいて、この本を読んで改めて再認識した。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.06

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