【感想】隠し女小春

辻原登 / 文春e-book
(9件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • misachi68

    misachi68

    初読みの作家さん。
    芥川賞、谷崎潤一郎賞など受賞されてる方。
    何かで紹介されてるのを見て購入。

    聡は出版社で校閲の仕事をする独身男性。
    彼は密かにハンガリー製のラブドールを購入し、小春と名付けて毎夜弄び、話しかけ、これが精神衛生上とても良いと考える。
    バーを営む千賀子とは定期的に会う。

    千賀子はバーに現れた男が過去の秘密をネタに脅されている。

    恭子は、一度見かけただけの聡に執着して彼を眺めることのできるマンションに引っ越し、双眼鏡で半年以上も観察し続ける。

    正直言ってちょっとずつ変な人ばかりの物語で、文学や映画の蘊蓄もいっぱい出てくるけれど、どういうストーリーなんだろう...と思いながら読んでいた。
    が、後半、急激におかしなことになっていく。
    終盤、怖いけれどページを捲るスピードが上がります。

    淡々とした文章で読みやすかった。
    予想以上の怖さで楽しめました。
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    投稿日:2023.07.11

  • jyunko6822

    jyunko6822

    このレビューはネタバレを含みます

    アカデミックに知識人達を配し都会的に男女の交際を絡めてゆきながら、変態なのか狂人なのか手探りしながら読み進めてゆく。
    で、結局はファンタジーと思わせておいてのホラー小説…?
    分からないけれど何故か心に残る一冊。

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    投稿日:2022.11.02

  • コルベット

    コルベット

    他の方も書かれてますが、街並やカルチャーのリアリティが荒唐無稽な設定に自然な粧いを施しています。流石の文筆力

    投稿日:2022.10.15

  • todo23

    todo23

    辻原さんは芥川賞を初め文学賞総なめと言ってよい重鎮なのですが、やはり合わないようです。
    主人公・矢野聡によって小春と名付けられたラブドールが心を持って行動し始める設定です。そういえば是枝監督作品に“心をもつことは、切ないことでした”というキャッチフレーズの「空気人形」という映画が有りましたね。
    場所や食べ物、映画etcが出てくる度にその解説がストーリーに割り込んできます。情景とか心象表現は少なく”解説”と言うかほとんど蘊蓄です。教養小説と捉えることも出来ますが、ここまで来るとスノッブと感じてしまいます。
    ストーリー的には気づけば既成事実のように小春が動き始めています。理由の説明も無く、主人公は何の戸惑いも見せません。まあ、下手な説明をするよりその方が良いのかもしれません。ただ最終盤に向けて、男の行動がなんとも情けない。会社でも一定の責任ある立場の人間とも思えない思慮の無さと責任逃れ。さらに廃棄されるのは明らかなのに素直について行く人形の心の動きもなんだか良く判らず、なんで?と思う様なサスペンス?でした。
    ラブドールに付けられた小春という名前は近松の『心中天網島』から来たもの。他にも近松の話題は良く出てくるので、最後の流れも
    何か近松の浄瑠璃を踏んだものかと思いますが、知識が無くて判りません。
    と、ここまでは素直な感想なのですが。。。。
    Amazonのでの評価に、ある人が
    「"文学"が齎す怒涛のサスペンス小説と言っていいでしょう。」と絶賛した上で
    「より洗練されたペダントリーの横溢を生み出し、東京・首都圏、大阪の土地のトリヴィアルを追い求めながら、」
     ペダントリー=学問や知識をひけらかすこと。衒学な態度。
     トリヴィアル=瑣末なさま。つまらないものにこだわるさま。
    と有り、私がスノッブと感じたのは、むしろ文学性の為に敢えて取った手法という解釈のようです。確かにそうなのかもしれません。
    辻原さんはこれまで5冊
    改めてレビューを読むと『遊動亭円木』と『円朝芝居噺』という落語を題材にした作品は高評価なのですが、後の三作品はさほどでも無く。面白いのは、評価の低い三作品は何れも「玄人受け」とか「文学の匂い」と言った表現でフォローしています。
    多分、私が読み手として教養不足なのでしょうね。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.03

  • tosyokan175

    tosyokan175

    出版社の知り合いが薦めてくれた本です。タウン情報や本、映画が満載なので、神保町とか好きなら、この本も好きかも、と教えてくれました。確かに街のディテール、サブカルチャーの破片があふれんばかりに埋め込まれていて、そのリアリティがラブドールが意志を持つ、という荒唐無稽な設定を現実に定着させている、と思いました。1980年の「なんとなく、クリスタル」が当時、知らない固有名詞で構築された時代気分のシンボル小説であったことから42年、今は日常に散りばめられた固有名詞で時代気分ファンタジーを成立させています。なにしろレオパレスなんて単語、小説で出会ったのは初めてです。没後30年、松本清張のような暗い昭和の情念も令和の今に召喚されているし、もっとストレートに業田良家の空気人形の純愛も参照されている、と思いました。著者の作品は朝日新聞に連載されていた「花はさくら木」ぐらいしか読んだことがなく、最初、こういう小説書くんだ、という戸惑いもあったのですが、しかし、特異な趣味で物語を煌びやかに紡ぐ、というのは一貫しているのかな、と感じました。続きを読む

    投稿日:2022.07.22

  • おとん

    おとん

    久しぶりの大家作品に気負ってページ開くと主人公はラブドール…。SFホラー、それとも穴場紹介?あまりに突飛な設定に最初は戸惑うも、豊富に繰り出される蘊蓄マッタリ楽しんでいるうちに怒涛のラスト。辻原さん、551のブタまんまでカバーしているとは。この春、大津SAで食べたシューマイ懐かしい。続きを読む

    投稿日:2022.07.12

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