【感想】恋せぬふたり

吉田恵里香 / NHK出版
(40件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • momo

    momo

    一行目からさくさく読める、押し付けがましくなくて優しい小説!

    なにも知らずに読んだけど、作者さんが数々のヒットドラマの脚本家だと最後に知ってすごい納得(てか、NHKで実際ドラマになってたんだ)

    投稿日:2024.05.03

  • advicekiyomidosu

    advicekiyomidosu

    まだ少数派でも、無視できない現代人の心のウチを描く達人と言える作者。
    読むうちに、共感を生む展開はその脚本作品のほかからも窺える。注目されるべき作者。

    この作品、NHKの夜ドラで初めて出会う。
    今回は本で再会!
    またあの二人が目の前で生き生きと悩み幸せになりたいと。
    愛おしい二人だ。
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    投稿日:2024.04.27

  • ぱぱいや33

    ぱぱいや33

    このレビューはネタバレを含みます

    図書館で偶然見つけて借りた。NHKでドラマをやっていたそうで、それで何となくタイトルに見覚えがあったのか。まぁ見てないけど。初読みの作家さんだけど、読みやすかった。作家さんというか、脚本家さんだそうだ。アロマンティックもアセクシュアルも初めて知ったわ。自分も恋愛に興味がない方なので、寄りではあると思うけど、でもやっぱ違うわ。高橋羽には共感するけど、咲子は開けっぴろげすぎるというか、天真爛漫過ぎて全然好きになれないわ。でもこういう子がモテるというのは何となくわかる。高橋羽も見た目がよさそうだし、それでアロマアセクなのは本当に大変だろう。私がそうなら、そんなに問題を感じずに過ごせそうだ。まぁそれでも若い頃はいろいろあったからな。最後、高橋の元カノや転職は展開が急で何かいまいちだった。高橋の家族の問題も明かされないままだったし。

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    投稿日:2024.04.09

  • ak

    ak

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かったけど、展開が少し早い。
    高橋さんの父母と縁を切るほどの理由も気になるし、みのりの離婚も唐突だったし、保守派の高橋さんが本当にキャベツ畑に行っちゃったのにも驚いたし、遥と咲子の出会いも強引だし、不完全燃焼なところはたくさんある。。
    咲子のお母さんは、あー、こういう母いるよねー、うちのもこれよりは弱めだけどこんな感じ!と思った。
    母親って重いよな。

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    投稿日:2024.03.11

  • yonogrit

    yonogrit

    1584

    高橋一生と岸井ゆきののアセクシャルのドラマの小説が読み放題来てたんだけど、アセクシャルの事を知れたわ。私はレズビアンというマイノリティだけど、セクシャルマイノリティとしての感情は似た部分があって面白かった。思ったんだけど、100年前とかはほぼ見合い婚だったわけじゃん。でもそれが無くなってこういうセクシャルマイノリティ問題が出てきたのは自然な流れだよね。恋愛をスタートラインにしなきゃいけないってなったらそりぁ同性を好きになる人とか、好きという感情が分からない人とかいろいろ出てくるよね。

    吉田恵里香
    脚本家・作家。1987年生まれ。代表作にTVドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『花のち晴れ~花男 Next Season~』、映画「ヒロイン失格」、「センセイ君主」などがある。小説『脳漿炸裂ガール』シリーズは累計発行部数60万部を突破するなど、映画、テレビドラマ、アニメ、舞台、小説等、ジャンルを問わず多岐にわたる執筆活動を展開している。


    「へぇ、そうなんですか。先輩って割とお洒落 ですよね、地味ですけど」

    丸山くんは細かいことに気がつく。今着ているベージュの丸首セーターを初めて着てきた時も、髪を切った時も一番に反応してくれた。きりっとした目鼻立ちと人懐っこい感じがたまらない、と同期の子たちが話していたっけ。そういうところも含めて、彼は営業戦略課で一目置かれた新人だった。

    「何よりさ、ターゲットも広いよね! だって恋しない人間なんていないもん。なぁ兒玉」  同意を求められたが、私は否定も肯定もせず無言で微笑むことしかできなかった。 「兒玉も仕事一本じゃなく恋愛もな! そういう経験が商品開発に生きて、人を成長させんのよ!」  私は無言の微笑み返しを続ける。長年の経験で分かる。こういう話題は反応せず笑って流すのが一番なのだ。

    「名前があるならきちんと呼びたいだけです。僕も一緒くたに人類とか呼ばれたくないので」  面白くて素敵な考え方をする人だな。彼の胸についた名札を見ると、「 高橋」とある。 「あ、もしかして野菜売り場の配置とかしてるのって、高橋さんだったりします?」 「まぁ、はい」

     恋? どういう意味だろう? 本当に意味が分からない。私の話を聞いてなかったんだろうか。愛想笑いで流すこともできない私を置いてきぼりにして、田端さんが一人ニヤニヤと盛り上がっている。

    『アセクシュアルは性的指向のひとつで、他者に性的に惹かれない人のことをいいます』 『アロマンティックとは恋愛的指向のひとつで、他者に恋愛感情を抱かない人のことをいいます』 『恋愛と性的なものは別物と考え、どちらの面でも他者に惹かれない場合はアロマンティックでありアセクシュアルでもあります。そのような人を「アロマンティック・アセクシュアル」、略して「アロマアセク」と呼ぶ人もいます。定義や表記、当事者にも多様性があります』

    「私あんまり友だちが長続きしないっていうか、コイバナとかできないからかな……学校卒業したりすると他の子とは段々疎遠になっていって、でも千鶴は別で……

    「私それまで、ほんと馬鹿なんですけど、自分のこと駄目とかポンコツなのかなとか思ってて」  高橋さんは優しく首を振った。 「そんなこと絶対ないです」  高橋さんが力強く否定してくれて、また鼻の奥がツンとなった。静かな部屋の中心で、砂時計の砂がサラサラと落下していく。 「でも、ずっと言われてきたので……付き合ってみれば分かるよ、好きな人と出会えば分かるよ、大人になれば分かるよって。そう、みんなが言うけど、でも」  時々、私が言葉を詰まらせても、高橋さんは何も言わず待っていてくれた。 「結局……なんかうまくいかなくて……なんか欠けてるのかな、人としてって思ってて。だからその、アロマンティック・アセクシュアルという言葉に……いや高橋さんの言葉に 凄く救われたんです。ありがとうございます」

    「だって恋愛しないってことは、多分一人で生きていかなきゃいけないってことじゃないですか。高橋さんも書かれてましたよね。一人が好きなわけじゃないって」 「ええ」 「親と一緒にいられればいいけど、でも彼らの期待に応えられないのも理解されないのもつらくて」

    「……私と……恋愛感情抜きで家族になりませんか?」  一世一代の大提案だった。  お互い恋愛感情を誰にも抱かなくて、お互い寂しくて、一人を恐れている。なら、一緒に暮らしてみるのも悪くないと思ったのだ。  どんな反応が返ってくるか。全く予想がつかなかった。  高橋さんは私の提案を聞いてから固まったまま動かない。 瞬きを忘れて、私をじっと見つめている。時計が刻む秒針の音だけがやけに鮮明に聞こえた。  高橋さんは何度か瞬きをした後、不自然なくらい口角をあげて、作り笑いのお手本みたいな顔をした。その顔のまま、やっと口を開き、言った。 「えっと……僕のこと、舐めてます?」 「え?」

    「たしかに僕も寂しいと言いましたが、別にあなたにそれを埋めてもらおうという意図では」 「分かってます! 私はただ高橋さんとなら一人での寂しさとか色々解消できるんじゃないかなって!」 「同じセクシュアリティの人間、アロマンティックやアセクシュアルが珍しいから言ってます?」

     四六時中喋るタイプかと想像していたが、割とスマホをずっといじっている。僕が彼女に話しかけないことにも原因はあるかもしれないが、何を話せばいいのか分からないのだから仕方ない。  一生懸命家事をしてくれようとするのだが、色々と雑だ。共同生活二日目、彼女は早起きをして僕の分の洗濯と庭掃除をしてくれたのだけれど、シャツにはしわが寄り、洗濯物は片方に重さが集中して、不格好に傾いていた。僕がこっそりと干し方を直していると、落ち葉を 箒 で集めていた彼女は得意げに鼻を膨らませた。

    小学校でプロフィール帳の好きなタイプの欄が埋められなくて、友だちに言ったら「いつか分かるって」と笑われた。中学生の時、友だちに恋愛が分からないと言ったら「いつか分かるよ」とちょっと上からな感じで笑われた。高校時代、彼氏を作らない私を心配した友だちにも同じように相談すると、「大丈夫、いつか分かるから」と、どこか子供扱いされた。最後に浮かんだのはお母さんの顔だった。 二十歳 を過ぎたくらいからだろうか。事あるごとに恋人の存在を探られては言われてきた。「いつか分かる、そのうち分かる」と。

    「カズくんっていうんですけど。彼とは凄く気が合って、好きな推しも一緒。食の好みも映画や漫画の趣味も一緒。一緒にいるといつも笑ってました」

    「てか俺朝からカップ麺は……咲子なんか作ってよ。簡単なものでいいからさ」  料理を舐めていることが分かる発言に、苛立ちが溜まっていく。 「自分で作ればいいじゃないですか」 「いやいや俺料理とか無理なんで」  会話が通じない。今まで出会ったことのない未知の生物が目の前にいる。病院の待合室で、間が持たずに食べてしまったおにぎりを残しておけばよかったと後悔した。

    豊玉さんは咲子さんの頭からつま先まで眺めながら言った。口角はあがっているが、うっすらと怒りのようなものを身にまとっている。彼女がいるなんて聞いてない。そんな抗議を遠回しに受けている気がした。咲子さんは愛想よくニコニコして受け流そうとしていたが、松岡一はそれが気に入らないようだ。

    「ひとつお訊ねしますが、普通の恋愛とは?」 「だからお互い好きになって、告って~まぁ、キスしてその後も……ってそういうのしたカップルですよ。昔っから人類が行ってる行為ですよ」 「恋愛の価値観など、時代と場所によって変化するものです。そもそも、恋愛という言葉が我が国で生まれたのは明治時代。それまでは、その価値観さえ存在していなかったと言われています」 「え、マジすか」 「諸説ありますが。とにかく、このように元々流動的で常に変化し続けている事柄に、全ての人間を当てはめようとするほうが無理な話なんです。そもそも人のためにとか、普通になるためにとか、恋愛って義務的にするものなんですかね?」

     休日、私たちは小田原へと出発した。  現地に到着するまでの間、カズくんは終始浮かれていた。手に持った小田原のガイドブックには受験生の参考書のように沢山の付箋がついている。

    「家族……うちには正直分かんないです。一人が寂しいとかパートナー欲しいとか。誰かと話したいなら友だちに連絡するし。あと今タイドラマにハマってて、休みは一日ドラマ見てネットで感想漁って、それが幸せで」  ハマユカさんの話に周りで深く頷いている人たちが沢山いた。  恋愛感情を抱かない人がいるように、一人が好きでそれが幸せな人もいる。私のように誰かといたい人もいる。パートナーが同性だったり、異性だったりする。考えれば当たり前のことなのに、世間では珍しいものとして扱われがちだ。  でもここではどんな考えも、みんな当たり前として受け止めてくれる。そのことに私は感動していた。

    「ちゃんと話したほうがいいですよ。そのパートナーさんと。アセクシュアル同士で友情結婚してる人とかも実際いますし」 「一人で生きるか誰かと生きるかで、またかかるお金も変わってくるし」 「本当にそう、一人で生きていく人に厳しいから、この国は」

    「お母さんたちも、いい歳の娘二人に、こんなに頭悩まされると思ってなかったろうね」  お母さん、お父さんを悩ませたくはない。でも、私が私らしく生きることがなんで誰かを悩ませることになるんだろう。  私が落ち込んだのが分かったらしく、彼女は気まずそうにしている。みのりは私に輪をかけて大雑把だし言葉がきついところはあるけれど、悪い子じゃない。それを私はちゃんと分かっている。

     家に帰ると玄関の前に宅配便が届いていた。ほくほく顔で箱を抱えて「ただいまです」と家に入る。箱の中身はバスケットボール用のシューズだった。  この前メタさんとごっちんさんとその彼女の 美樹 さんと話していたら、ごっちんさんも元バスケ部であることが判明して盛り上がり、今度体育館で軽く運動をしようという話になったのだ。またコートに立てる日が来るなんて、思ってもみなかった。四人だから正式なバスケではないけれど、大学生以来手に取るバッシュに鼻の奥がツンと痛くなる。  バッシュが届いたことでテンションがあがった私は早々にお風呂を済ませて、ベッドに寝転がり練習着やボールをネットで物色しているうちに睡魔に優しく包み込まれ、手元のランプを消して眠りについた。  最近の私の生活はこんな感じで、控えめに言っても毎日最高だった。

    これが、大満足な毎日、大満足な私たちの形。  でも、この大満足に、それでも、何かを言ってくる人たちがいるかもしれない。傷ついて腹が立つこともあるかもしれない。時々怖くなる。  でも、絶対忘れちゃいけない。私の人生に何か言っていいのは私だけ。私の幸せを決めるのは、私だけ。  この勢いのまま、ペダルを 漕がずにどこまで行けるだろうか。  自転車はぐんぐんと駅前のスーパーに向かって進んでいく。私も進み続けたい。私たちのベストへ。私のベストへと、前へ前へ。
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    投稿日:2023.12.16

  • ウル

    ウル

    ドラマが大好きで絶対に読む!って決めてたのをやっと手に入れて嬉しくてどんどん読み進めて、逆に読み終わるのが勿体なくてゆっくり読んだりもしたけど、私の中ではめっちゃ早く読み終わった!!!!

    咲子と高橋さんの家族カッコ仮、素敵で大好きな関係性。自分のモヤモヤも高橋さんの言葉で晴れていく感覚があったドラマの台詞がそのまま本に文字に現れてくれて嬉しくて。何回も読み返そうと心に決めてる。続きを読む

    投稿日:2023.11.20

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