【感想】嘘の木

フランシス・ハーディング, 児玉敦子 / 創元推理文庫
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
10
6
6
2
0

ブクログレビュー

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  • おかゆ

    おかゆ

    フランシス・ハーディングの作品はカッコーの歌、影を呑んだ少女 ときて3番目に読んだのがこれ。中盤まで嫌〜な大人たちの描写が続き、それに比例するかのようにジワジワと主人公も陰湿な内面が出てくるあたりはいつも通り。周りの陰湿さで言うと上述の2つよりこの本のほうが陰湿で読んでいてゲンナリしてくる。ただ、中盤以降で話が大きく動いていくのは流石で作品のテーマもわかりやすく、『嘘』という事柄が最初から最後まで一貫していたしエンドも投げっぱなしではないところが良かった。残りのハーディング作品も早く読みたい。続きを読む

    投稿日:2024.05.13

  • whitehead0511

    whitehead0511

    もっと盛り上がるかと期待したのだが、カタルシスは弱かった。彼女が女であるだけで否定されて自信を叩き潰される様を見続けて、だからこそ大きなカタルシスを求めてしまうのだ。周りの女たちにもそれぞれの言い分があるような薄い描写もあったが、児童文学でこの雑な片付け方は、イギリスならではの皮肉なのか?これでいいのか?大きな賞を獲っているようだが、あまり納得はできなかった。続きを読む

    投稿日:2024.04.26

  • 土瓶

    土瓶

    うん。予想外におもしろかった。

    読み始めるまでは文学文学してるような難解な話なのかな~とか、思わせぶりな隠喩だらけの抹香臭いような話なのかな~とか、あんまり期待せずに読んだのがよかったのかな。

    純におもしろかった。

    冒険ヒロイックミステリー。
    封建的で男尊女卑な19世紀のイギリスが舞台で、「種の起源」が発表された九年後という設定もうまい。
    化石の捏造を指摘された高名な博物学者である父親の死の真相を調べます。
    主人公の14歳の少女フェイスが小気味いい。
    知恵も度胸も行動力もある。

    最初のうちは

    【十四年間かけて植えつけられてきた恐怖が頭の中を駆け巡る。見知らぬ男。わたしはもうすぐ大人の女になろうとしている娘。保護者やお目付けなしで、見知らぬ男の近くにいてはならない。そんなことをしたら、恐ろしいことが数かぎりなく起きる谷に落ちるだけだ。】

    な~んてことを言ってたのに後半では

    【人は動物で、動物はただの歯だ。先にかみつき、食らいつけ。それが生き残る道なのだ。】

    と勇ましくなっていく。

    ジブリとかがアニメ化してくれないかなー。
    似合うと思うんだが。
    お仕着せのレディーの格好をさせられたフェイスが駆け回る姿を見てみたい。

    そういえば久し振りの★4評価です。
    去年の「百瀬、こっちを向いて。」以来。
    一年二か月振りでした。
    ちょっと点数甘いかなとも思いましたが、読み終わった後に拍手してしまいましたからね。
    ★4でいいです。

    惜しむらくは「嘘の木」ですね。
    これがなんだかわからない。
    京極夏彦さんの「塗仏の宴」に出てきた不死の生命体「くんほう様」みたいに、なんらかの解釈を与えて欲しかったな。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.26

  • ぼじょまる

    ぼじょまる

    このレビューはネタバレを含みます

    ・あらすじ
    19世紀英国舞台のフーダニットミステリーでもありファンタジーでもあり、ジュブナイルもの。

    19世紀英国、フェイスは高名な考古学者である父親の仕事の都合でとある島に移住。
    大人しく目立たない存在であろうとするフェイスは、尊敬する父親の秘密と嘘と罪が暴かれるごとにその殻を破って、父親を殺した犯人を突き止めていく。また父親が隠し殺される原因となった嘘を食べて育つ木の正体は…?

    ・感想
    殺人事件が起こるまでは19世紀の厳格な家父長制描写とか主人公が父親を神の如く盲信してたりちょっとイライラもどかしく思いながら読んでたけど、父親が死んでから父親の呪縛と呪いから開放され殻を脱ぎ捨てたフェイスと母親の描写がすごく良かった…。
    ①フーダニットミステリー②嘘の木をめぐるファンタジー③時代故の価値観に苦しめられるフェイスの成長譚という3つの属性がきれいに一つの作品を織り上げていて読み応え抜群

    とても面白かった 。

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    投稿日:2024.03.03

  • milo

    milo

    このレビューはネタバレを含みます

    19世紀英国。女性の立場は低く、学問を志すことも自立した生き方も許されず、ただ貞淑で家庭にいることを強いられていた時代。まさに子供から女になろうとする14歳のフェイスが、知恵と勇気をふるい多くの束縛や困難を乗り越えて真実を追い求めるミステリー。
    高名な学者であり畏れつつも敬愛していた父が殺され、その汚名をすすぎ犯人を見つけるために奮闘するのだが、高潔と信じていた父が実はそうではなかったという皮肉。
    それに対し、美しく着飾り男に媚を売ってばかりの母を軽蔑していたのに、それが家庭を守るための母なりの闘いだったのだと知り、終盤で母娘がお互いを認め合うシーンが良かった。
    自分の信念(faith)を持って闘う少女は、女が自由に生きられる新しい時代を切り拓いてゆくに違いない。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.01

  • あんこ

    あんこ

    父の死の真相と嘘の木の解明をめぐるミステリー。
    YA向きです。もっと若いとき、できれば主人公と同じ年頃で読みたかったと思います。歳をとって読んでもこれだけ面白いのですから。

    ダーウィンの『種の起源』が発表された頃、まだ女性が自由ではなかった時代の話。
    女性たちとひとくくりにされながらも、登場人物たちがそれぞれの個性を活かしてしたたかなところがグッときました。
    自分にもし娘がいたら、読んでみて、と薦めたくなる本でした。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.21

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