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グレイディ・ヘンドリクス, 原島文世 / 早川書房 (5件のレビュー)
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pomeranianz
このレビューはネタバレを含みます
元看護師の主婦パトリシアは隣の家のおばあさんが変になっちゃう姿や義母が大量のネズミに殺されたり明らかにおかしいことが起こっていることに気づく。ジェイムズハリスが男たちをお金で取り込み、おかしさに気づいて警察に連れて行こうとしたら男たちに反故にされたり途中わかっているのにムズムズしてモヤモヤした。何百年も生きてきた相手を倒す方法を色々なドラキュラ本から探してみんなで実行する姿は本当の姿だと思う。そうでもしないと倒せなかった。生半可な方法じゃないところに納得。実際におかしなことが起こっても、見つけた本人が病気かおかしな人と思われるのも本当だと思う。ミセスグリーンやシックスマイルとの生活、パトリシアたちの偏見なども南部の独特の雰囲気を感じた。ジェイムズが今までどんな人生だったのかも気になった。誰かに吸血鬼にされたならその前の人生とか。最後にパトリシアがカーターと離婚して終わったのもスッキリした。最後に題名をもう一度見てネタバレじゃんと思ったが、そこまでの道が長くてすっかり忘れていた。
投稿日:2022.09.06
hayasick0103
殺人ノンフィクション系の読書会に参加する主婦パトリシアはある晩、近所の老婆がアライグマを喰らう所を目撃し襲われる。それをキッカケに老婆の親戚ジェイムズと出会う。その彼に魅力を感じるが、徐々に不可解な出…来事が…。読書会仲間の主婦達と正体を暴こうとするが失敗、自身が孤立し悲惨な目に遭うあたりがなかなかリアル。ジェイムズに簡単に取り込まれる夫達。子供達を守るため奮闘するパトリシア。屋根裏のシーンが強烈で夢に見そうだった。適度にホラー、適度にエンタメで面白かった。続きを読む
投稿日:2022.08.30
ゆまち
主婦 Housewife(名詞)ー軽薄で役に立たない女性または少女ーオックスフォード英語辞典 小型版 一九七一年 この物語の舞台は、1988年〜1997年のアメリカ南部。主人公で主婦のパトリシアは、…格式ばった読書会の参加をやめ、数人ほどの主婦たちの、犯罪実録書やホラー小説などを読む読書会に参加していた。 ある日パトリシアは自宅の庭で、アライグマの死体を屠っていた隣人老婦に片耳を食いちぎられてしまう。 そして謝罪に来たその老婦の大甥であるという男ジェームズを快く家に招き入れてしまう。 しかしジェームズはなんと吸血鬼だったのだ! そしてそのことを知っているのは、パトリシアを始めとした読書会の主婦たちだけ… いやジェームズが吸血鬼って書いちゃうなんて重大なネタバレじゃないか!と思われそうだが(実際ジェームズが吸血鬼であると本文で断言されるまでかなりのページ数を要する)、これ本書のあらすじに書かれてるんですよ。 それに、本書を楽しく(?)読み進めるうえで、この程度のネタバレは全然問題ないのである。 (でも以下からはネタバレを多少含むのでご注意ください。) 展開として、気づいた時にはジェームズは3年の月日をかけて地域全体を巻き込んで完全に地域に溶け込み、主人公たちの夫である白人男性たちの信頼を勝ち取ってしまっていた…という状況から、いかにしてジェームズを排除するのかが本題である。 ジェームズは完全に地域に溶け込み切るまでに、既に黒人居住区の子どもたちを多く屠り死なせている。この居住区にはパトリシアの家の家事サポートや義母の介護サポートをしてくれているミセス・グリーンの家族もあり、ミセス・グリーンはパトリシアたちに助けを求めていた。 しかしその時点で、パトリシアたちは黒人の子どもたちを助けることができず、いや、自己保身のために助けることを諦め見捨ててしまった。 今度こそは自分たちの子どもたちを守りたい…! しかし状況はパトリシアの孤軍奮闘状態。 1人じゃどうしようもない… どうすれば子どもたちを守れるだろう…? 本書は手に汗握る、(そしてパトリシアの孤軍奮闘ぶりに冷や汗ダラダラ胃がキリキリする)ホラーエンターテイメントでありながら、主婦としての女性の立場、黒人の立場、白人男性の優位的な立場にスポットを当て、弱き者を弱き者として扱い続けてたまるかといった熱いメッセージを持っている。 感想冒頭に引用した「主婦」の言葉の意味は、本書冒頭に書かれているものだ。 また作者は、親たちの物語を書きたかった、自分の母親たちに吸血鬼と闘って欲しかった、と言っている。 そしてこの物語における戦いは、「公正なものではない」、とも。 直接的には吸血鬼と主婦たちの闘いであるが、実際的には優位にある白人男性たちと、地位の低い主婦や黒人たちとの闘いである、と感じた。 物語で、ジェームズの危険性を訴えたパトリシアに対する、夫カーター(職業精神科医)による妻の扱いは侮蔑的なものだった。子どもたちの目の前で母親としての権威を失墜させ、精神病院に入院させママは異常なのだと見せつけた。それでいて自分は理想的な良き父親像を演じ、実際そうなのだと思い込んでいる。 下手するとジェームズよりよっぽど「敵」ではないかと思ってしまった。鼻持ちならないキャラクターである(そしてそれらの行動は現在ではDVと認識されるものだろう)。この物語の時代柄、妻へのこういった扱いが認められていたのだろうが… またジェームズ自身も見た目は白人男性であり、自分の白人男性としての優位性と、世界で唯一存在する吸血鬼としての自尊心を過大に持ち備え、パトリシアたち主婦をかなり見下した暴言を吐いている。 ホラーエンターテイメントであるが、これらの要素も加わり、かなり読み応えのある作品となっている。 現在日本でも、主婦の立場は弱い。主婦の家の仕事の多さと忙しさを知りもしないで、主婦は気楽でいいなどと言われるのだから憤慨ものである。 本書でも、パトリシアの誰にも(夫にも)助けられず育児家事にと目の回るような忙しさに追われている描写が細かくされている。 それらの努力や愛情が、子どもになかなか伝わらないもどかしさも。 ジェームズと対する時の主婦たちの連帯感と奮闘ぶりも見どころである。彼女たちの誰1人が欠けてもこの展開にはならない。 ぜひたくさんの人に読んでほしい。 また本書にはたくさんの実在するホラー小説や犯罪実録本が登場し、すべてではないがほとんどの章題がそれらの作品のタイトルから付けられている(「マディソン郡の橋」「冷血」「テッド・バンディー「アメリカの模範青年」の血塗られた闇」など)。 参考文献もそれだけ膨大である。 残念ながら、章題に使われた書物は私はどれも読んだことがないので、なぜこの章にこのタイトルが選ばれたのか、といった理由は分からない。 面白そうなものがあれば、いくつか読んでみたいと思う。 最後に、作者の著作は、本作が初邦訳だそうだ。 面白い題材のホラー作品を書く方だと本作を読んで思ったので、ぜひ他の著作も邦訳・出版されてほしいものである。 続きを読む
投稿日:2022.07.03
好文
そこそこ裕福な家庭の主婦たちが、ワイン片手の読書会で語り合うのは犯罪実録…というトンチキな設定ながら、vs吸血鬼の戦いはハード。 有閑マダムの顔の裏で、彼女たちは様々な困難を抱え、互いに支え合っていた。シスターフッドを断ち切ろうとする敵の手口にはぞっとするが、何が脅威となるか、彼は正しく嗅ぎつけていたのだろう。
投稿日:2022.07.01
yoshi1004
思った以上に良かった。映像が目に浮かぶ様だ。 いつの時代でも男性は保守的だと、いつのまにかパトリシアの側にいる自分に気付いた。
投稿日:2022.06.08
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