【感想】社会を結びなおす 教育・仕事・家族の連携へ

本田由紀 / 岩波ブックレット
(17件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • a.k

    a.k

    わかりやすく読みやすかった。日本が好景気だった頃のモデルや価値観で今の時代を生きようとするのはもう難しい。自分もその価値感(結婚するのがあたり前・いい大学に入っていい会社に就職しないとだめ等)に囚われており苦しいと感じているが、自分と周りの状況をみて今に合った生き方をしていきたい。続きを読む

    投稿日:2023.10.30

  • UetakeHiroya

    UetakeHiroya

    このレビューはネタバレを含みます

     著者は、日本社会は、教育・仕事・家族の3領域が一方向的な矢印により結合された「循環モデル」であると指摘する。そして、政府は、主に産業政策を通して、仕事の領域を支える役割を果たしてきた。しかし、このモデルの成立を支えた環境要因が大きく変化しているため、モデルを維持することはできないと主張する。

     破綻する循環モデルの中で、個人が成功への椅子を競争し勝ち取ることは否定されるものではない。しかし、視野を広げたとき、その椅子を勝ち取れず支えのない人が現れるのが、今の日本社会である。教育・仕事・家族の意義を問い直し、それを政治を通して伝え、新しい日本社会を作ることが、市民一人ひとりの役割ではないか。

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    投稿日:2023.07.20

  • masaaki.oyabu

    masaaki.oyabu

    私も『マル激』を観て「では処方箋は?」と思って読んでみようと思った。問題提起に対して回答が薄かったので、★★★★。
    なかなか深刻なデータをここ数年多くの国民が目にするようになってきている。(ハズ)。なのに、なぜか多くの人はそのことに対する反応を自らで抑えているのか、あえてじっとしているような感じを受けてしまう。
     もしかしたら、それは選挙における自分の1票の価値のように映っているのかもしれない。「どうせ俺の1票なんて何にも変えられやないし、、、。」的に。 人間自分の行動の手応えの想像ができないと、達成できないことと思い込んでしまうようにできている。新しい世の中はこの思い込みの壁の向こう側にあるということは歴史が教えてくれているというのに。革命家と言われた人たちは、おそらくそんな思い込みの壁が見えない奴らだったにちがいない。(革命家だけではない、実業家も、政治家も、何かことをなす人たちはみなそうだ)
     戦後日本型循環モデル期に壮年時代を過ごした者たちはその運を自分の能力や実績と思い込まずに運だと認めて謙虚に残りの余生と資源を有効に引き継ぐことを考え、未来社会とそこに暮らす人たちを暖かく見つめる心を取り戻さなくては、如何なる政策も力を発揮し得ない。未来を生きる者たちだけでは背負うものが大きすぎる。どん底に落ちる前に目を覚まさなければ、、、。
     と本田由紀さんがこの思いを綴ってからもう9年も経っているのか。
     戦後減り続けてきた犯罪数が2022年からプラスに転じてきているという、社会のイタミの兆候が見え始めている。でも、私も含め周りの者はみなマクロな世界に目を瞑りミクロな世界の中を生きているように映る。
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    投稿日:2023.02.14

  • shou36

    shou36

    マル激トーク・オン・ディマンド(第1136回)
    『まず今の日本がどんな国になっているかを知るところから始めよう』
    に触発されて読ませていただきました。

    2014年6月に発行されていますが、今(2023年)読んでも古びるどころか身に迫ってくるようです。
    戦後の日本社会を1973年のオイルショックと1991年のバブル崩壊をターニングポイントとして「高度成長期」「安定成長期」「低成長期」に分けて分析。
    高度成長期〜安定成長期について仕事、家族、教育という三つの異なる社会領域の間が①きわめて太く堅牢で、②一方向的な矢印によって、結合されていること特徴とする「戦後日本型循環モデル」を提示。低成長期にこのモデルが破綻したと分析。
    さらに新たな社会モデルとしてこの三者を結ぶ矢印が双方向的な社会を提示している。
    日本の現状に危惧を感じている方、現状の打破を模索されている方に一読をおすすめします。
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    投稿日:2023.01.22

  • hasema

    hasema

    「教育は何を評価してきたか」や「『日本』ってどんな国?」の中で触れられてきた、戦後日本型循環モデルと、その破綻、それから、新たな社会モデルについて述べたブックレット。

    二つの循環モデルについて、よーくわかる。

    戦後の循環モデルは、教育と家族と仕事が強固な一方向の矢印で結ばれていたが、それは、人口要因や国際関係要因、エネルギー要因、自然要因がしっかりと支えてきたから。そのため、いい大学にはいっていい会社に勤める。そのために勉強する、ということが目的となり、本来あるべき根本的な意味が喪失されてしまうという、自壊的な性質を持つものであった。

    これが、バブルの崩壊により、一つの矢印が崩れてしまうと、次々にこの循環が成り立たなくなり、更に、少子高齢化やグローバル化、災害リスクなどにより、この循環を支える要因も無くなってきたのが1990年以降。

    ただ、循環している部分も残っているから、壊れ始めた部分の窮状をいっそう厳しいものにしている。

    今まさに、フタコブラクダ化している、格差の原因がここにある。辛い…。

    破綻したモデルにしがみつかないで、双方向に行き来できる新たな社会モデルにするには、メンバーシップ型の働き方から、ジョブ型正社員を増やすこと。

    わかってはいたが、手が出せなかったこの方向に行くしか生き残りはできない、とそろそろ、政府も企業も気づく頃だと信じたい。

    学者ってつらいね、と本田さんの本を読むと思う。すごく頑張ってくれてる。
    私は読むことで応援します。
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    投稿日:2022.07.29

  • 伝説の巨人

    伝説の巨人

    仕事・家族・教育の3つの社会領域が一方向的に太く・堅牢に結合した「戦後日本型循環モデル」とする日本社会の捉え方には非常に腑に落ちた。
    高度成長期・安定成長期でこのモデルが形成・成熟していったが、バブル経済崩壊の端を発する低成長期になるとこのモデルは劣化が進み、モデルに内在する様々な問題が生じているのが現状。まず、バブル経済崩壊等で仕事の領域が劣化。非正規社員の増加で非婚化・少子化が進み家族領域が劣化。家族の劣化で十分な教育を受けた若者が減るうえ、元々少ない公的支出は依然増えず教育の劣化も進んでいる。
    対策(案)は、循環モデルを片方向から両方向にするというもの。現状分析に比べると、割かれたページ10ページ足らずで、論理展開もあいまいで迫力不足。
    日本社会の現状を把握する上で、非常に有効な本だと思う。
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    投稿日:2020.11.08

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