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赤川次郎 / 集英社文庫 (1件のレビュー)
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ただ
いつもの図書館の新刊コーナーにあったので、借りてみたら、ちょうど前回読んだ「吸血鬼は殺し屋修行中」の次に当たる、シリーズ第26弾の新装版でした。表紙がすごくファッショナブルで驚いたが、これはこれでいい…ですね。 今回も、本家(?)の吸血鬼「フォン・クロロック」と、その娘「神代エリカ」は大活躍で、収録されている三篇それぞれも、バラエティ豊かで面白い。 表題作は、先生にあたるデザイナーに、自身のデザインを盗作された女性の悲しみを、クロロックたちが聞くのだが、ここですぐに感情的にならずに、『まあ冷静になりなさい。今すぐどうするというわけにはいかない』と言う、クロロックって実はすごい、というよりは、赤川さんの人柄なのではないかと思うんですよね。本当にその人の為になることは、何だろうと考えてるというか。こういうところ、好きです。 また、その後の女性の、『生きていく上で、絶対に譲っちゃいけないことがある』という台詞も印象的でした。 「吸血鬼は魔女狩りの季節」は、このシリーズでは珍しい、ややシリアスな雰囲気で、十七世紀の魔女狩りや宗教裁判を絡ませた展開に、ミステリーの要素が含まれているのが、初期のファンとしては嬉しいところで、終わり方も素敵でした。 また、『彼らにとって、自分の敵は人間でなく、悪魔なのだ。人間でなければ、殺しても罪にはならん』という台詞は、クロロックだからこそ言える台詞ですし、悪魔と思い込めば人殺しも許されるのかと、考えさせるものがありました。 「吸血鬼円舞曲」は、これまた珍しい、ホラー要素のある内容で(吸血鬼シリーズで、ホラー要素が珍しいというのもなんですが)、冷静に考えると、犯人の心理がとても怖い。そう捉えるかなと思ってしまうが、これも人間心理の闇の部分なのかもしれない。 ただ、その中での、クロロックの後妻、涼子の「帰りに、和風ドレッシング、買ってきて!」には、和むものがありましたがね(笑) そう、事件の内容が凄惨なように見えても、クロロック一家は、いつも通りのマイペースで気楽な感じというか、彼らの半生に比べたら、きっとこれらの事件も、なんてことの無い些細な出来事なのかもしれないが、それでも、人に対する接し方が、常に紳士で温厚なクロロックに教えられる事も多く、何より、エリカとの親子関係の良さは清々しいものがあり、見習わなきゃなと、いつも感じております。続きを読む
投稿日:2022.07.14
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