【感想】長い別れ

レイモンド・チャンドラー, 田口俊樹 / 創元推理文庫
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
9
3
2
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ブクログレビュー

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  • ビー玉

    ビー玉

    力強く、わかりやすい文体。そして、ウイットに富んだ会話。私立探偵フィリップ・マーロウは、たまたま出会ったテリー・レノックスと友人になった。ある日、マーロウはテリーにメキシコに行くのを手伝ってほしいと頼まれる。ここから、マーロウは事件に巻き込まれて行く。かなり難関な事件が二重三重になってマーロウに襲い掛かる。しかし、マーロウは怯むことなく立ち向かっていく。マーロウの中心にあるのはテリーとの友情かもしれないけれど、真実を曲げない姿勢にぐっと来る。そして、この本に惹き込まれた、もう一つの理由は田口氏の訳文がとても魅力的だった点だ。何度でも読み返したくなるページが何ヶ所もある。
    読み応えのある本です。
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    投稿日:2023.08.16

  • tomojuju

    tomojuju

    あぁ、美しい。

    翻訳との相性も良かったのだと思いますが、とてもロマンのある作品でした。
    テリーのマーロウに宛てた手紙がとても情緒的で、原文も読みたい、と思って図書館に走りましたが、翻訳の素晴らしさを改めて実感。

    会話がオシャレすぎてわからない、と艶っぽさを感じるラインのちょうど良いラインを攻めてくるんですよ。ここは感じ方が人それぞれなので、私的な感想です。

    事件の全貌がわかるシーンも探偵が明かさない、という推理小説としてはユニークな流れだが、あまりに多くを語らないマーロウらしく物語の流れとしてカッコ良い。リンダとの2人の会話は出会いも別れも結構感情的なのにセンチメンタルで下世話な感じがなく美しい。

    そして最後のお別れのシーンも、マジで数ページ前まで想像していなかった展開がきて、ゾクゾクしたのと、一歩間違えれば感情的なぶつかりになりかねないやり取りを、気の利いた会話のおかげでシーンのトーンを落ち着かせていて最後のお別れまでの流れが美しい。

    ハードボイルド、という言葉のイメージほどマーロウはカッコつけではない。感情的にもなるし、行動は地味なところもある。超絶頭がよく立ち回りが上手いとかでもない。そういった人間じみたところがまた愛おしい。

    もう、私の、美しい、の語彙力を鍛えたい。
    この美しさを語る言葉を持っていない自分が悔しい。

    2023.8.14
    127
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    投稿日:2023.08.13

  • 茶山

    茶山

    素晴らしい。ほんとに素晴らしい傑作(翻訳も)。

    昔、村上春樹訳を読んだとき、途中で挫折してしまったので、たいした作品じゃないんじゃないかと、邪推していたのですが、こんな面白い物語だったんだなぁと、しみじみ感慨にふけっています。
    本気で人生棒に振るつもりの登場人物たちを描くには、それにふさわしい訳語が必要なのかもしれません。

    チャンドラーは、全部田口俊樹訳でお願いしたいです。
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    投稿日:2023.03.30

  • MURAKMISYUGISYA

    MURAKMISYUGISYA

    『長いお別れ』レイモンド・チャンドラー著 田口 俊樹 (翻訳)P578を読了した。もう午前1時だったけど、
    (読書期間2023年1月18日PM9:50~2023年1月29日 AM1:00読了)時間はかかったけど、併読するからね。『ポワロと私』と、『グレン・グールド』と、でも、ゆっくり読めた。清水さんや春樹ちゃんの訳で6回以上読んでるのでね。何よりもマーロウを愛でる、テリーを眺める。良い感じだ。自分が老いてから読むチャンドラーもなかなか渋い。やんちゃさも目立つ。些細なところばかり気に入る。
     夜中に書斎に入りベンジャミン・ブラック著の『黒い瞳のブロンド』を持ってきた。映画になるとか言ってたげど、少し楽しみにするかな。映画といえば『長いお別れ』も原作に忠実な作品を作って欲しかったな。アメリカでさ。ロバート・アルトマン監督の映画も悪くはないが求めているものと違う。ここに愛はあるのか(笑)。
     評判は芳しくないがNHKが作った土曜ドラマ『ロング・グッドバイ』は戦後に日本が舞台という荒技は別にして。俺は気に入ってる。原作に近いちゃ近いだろう。そうむげにするほどではない。2019年に読書企画「レイモンド・チャンドラーの4ヶ月」というのをやった。集められるものを集めて16冊。
     スペンサーの書いた続編2冊も入れてあるんだ。それに先程の『黒い瞳のブロンド』と後で追加したローレンス・オズボーンの『ただの眠りを』を入れて17冊とした。俺はこの最後の72歳のマーロウが気に入ったのだが何故か図書館で済ましている。買えばよかったのだがな。
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    投稿日:2023.01.29

  • あくら

    あくら

    客観的かつ簡素な文体の作品がこれほどドライに感じるなんて、読むまで分からなかった。
    探偵モノだけれど友情に主軸を置いたストーリー。
    感情移入できるような場面でも傍観者の立場で眺めている気分になる。
    の反動か、“別れを告げるということは、ほんの少し死ぬことだ。”の一文がとてつもなく感傷的に思えた。続きを読む

    投稿日:2023.01.25

  • こうへい

    こうへい

    主人公マーロウだけでなく、警部補オールズ、作家ロジャーなど、魅力的な登場人物がたくさんでてくる。オースター作品でも思ったが、登場人物としての作家には著者の思想が色濃く反映されていて面白い。

    263
    「私は飲まないんだ。で、飲んでいる人を見れば見るほど、自分が飲まない人間でよかったと思ってる」

    305
    電話というものにはどこかしら強制的なところがあるものだ。機械に振りまわされているわれらが時代の者たちはそんな電話を愛し、忌み、恐れる。そして同時に敬意をもって取り扱う。たとえ酔っているときでさえ。現代人にとって電話は呪物にも等しい。

    365
    大量生産に質は求められない。そもそもそういう質を誰も求めなくなったのだよ。長持ちするものなど誰も欲しがらなくなったということだ。結果、スタイルを交換するようになった。これは商業的な詐欺みたいなものだ。スタイルを変え、いずれ流行遅れになる製品を次々とつくり出すというのは。

    368
    私の本は長い。大衆は長い本が好きだからね。馬鹿な大衆はぶ厚い本にはそれだけいいものが詰まってると思ってる。

    556
    別れを告げるということは、ほんの少し死ぬことだ。
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    投稿日:2022.10.26

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