【感想】崩壊の森

本城雅人 / 文春文庫
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • ko2ba

    ko2ba

    このレビューはネタバレを含みます

    産経新聞の駐ソ特派員であった斉藤氏をモデルとした「東洋新聞 土井垣」記者が,ペレストロイカ半ばのモスクワに赴任し,改革派と保守派の抗争,ベルリンの壁崩壊,保守派クーデターとエリツィンの台頭を経て,ソ連が解体されロシア共和国が設立されるまでの5年間を描く.
    ゴルバチョフのペレストロイカは,国民の民主化運動よりも,むしろソ連構成国の民族運動に火をつけ,それはゴルバチョフらの予想を上回るスピードで進行し,グリップを失った共産党は70年間に及ぶ統治者の座から降りざるを得なくなる,
    一方,赴任当初は当局発表の行間を読み取り,各方面を刺激しないような記事を作成することが特派員の業務であったのに対し,チェルノブイリ事故の隠蔽に端を発して始められたグラスノスチによって,土井垣らの取材活動は次第に自由度が増し,ついには大スクープをものにすることもできたのであるが,それは新生ロシアに根付くことはなかった.「私はあなたに『ソ連という国は変わらない』とも言ったはずですよ.」(p.408)

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    投稿日:2023.01.02

  • 鹿の子

    鹿の子

    ゴルバチョフの壮大な夢と試み。ペレストロイカ、グラスノスチに代表されるソビエト連邦の行く方。そしてエリツインの野心。ゴルバチョフの失脚とエリツィンの台頭。やがてプーチンに引き継がれる。
    それをあたかも本当にいたかのような、その下の人物たちが動き、悩み、もがく。主人公の土井垣という記者ががむしゃらに情報集めに動き、やがてソビエト、ロシアの本質に触れていく。今、ウクライナに戦争を仕掛けてる理由が見えてくるような小説だ。続きを読む

    投稿日:2022.09.29

  • 魔

    ロシア、ウクライナの件もあり購入。
    崩壊直前のソ連と、その外や中にいる人の会話。
    同じような会話は実は様々な企業の内側でもありそう。
    その企業は滅びないことを祈る。

    ※評価は常に3にしています

    投稿日:2022.07.01

  • sarrygo

    sarrygo

    この本を手に取ったのは、今のロシアによるウクライナ侵攻が、表だって発覚する前。本城雅人作という一点のみ。
    しかし、こんな状況になって、ロシアという国の、歴史や、時代背景、社会主義等深く、実態を知る術になるとは、思わなかった。
    ソビエト社会主義共和国連邦の、崩壊が、今に、繋がり現状を、知る一端と、なる。良質な一冊。
    続きを読む

    投稿日:2022.04.19

  • adach2k

    adach2k

    2022/4/1読了。本作を手に取ったのは書店の店頭だったが、この時期3月28日はロシアのウクライナ侵攻から1ヶ月が経過し事態は長期化の中で混沌としていた。ウクライナ東部の港湾都市マリウポリはロシア軍の猛攻で荒廃しウクライナから周辺国への避難民の数はなんと400万人を上回った。ロシア軍も人、物の損傷は予想以上でこの理不尽で唐突とも言える侵攻はロシア政権内部にも西側諸国からの金融制裁や資本の相次ぐ撤退で混乱が見られ始めた。
    本作は東洋新聞記者土井垣がモスクワ支局に赴任する1985年ゴルバチョフが党書記長に就任したある時期からソビエト連邦崩壊の1991年12月迄の5年間余りの時期の混沌とする政治情勢の中で記者としての眼を通したスリリングな取材活動と当時の世相を喝破する。最後は社会主義体制の終焉により自由な社会の到来を予測するのだが、2005年社会部長として出世した土井垣が見たモスクワは…。
    表面は西洋資本進出による華やかさの影にスターリニズムの再来と思わせる混沌とした社会があった。
    急進的なゴルバチョフによる改革、エリツィンによるゴルバチョフ追落としによるロシア共和国の設立と周辺国の相次ぐ連邦からの離反。しかし短期での失脚、それらを見ながら守旧派による反攻。その中心にあったKGB(いや温床としてあったロシアの政治的体質風土か)まさに今のプーチンの登場である。彼は着々と元KGBや軍出身者で身内を固め始め反対する者は容赦なく逮捕排除した。
    独立を望む周辺国の少数民族の争い。そして最後は中央政権による力による弾圧。どこにでも火種はあり一触即発状態が続いていた。今のウクライナの侵攻もそうだが併せて西側(NATO)の東への進出も忘れてはならない。物語性としては期待するほどのサスペンス性はないが、今の戦争と混乱を見るとその予兆が驚くほど表現され作者の緻密な資料読み込みと想像力が見事に詰め込まれていた。読後感ありの一冊。
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    投稿日:2022.03.31

  • 文藝春秋公式

    文藝春秋公式

    【これぞ本物のインテリジェンス小説】日本人記者が赴任したソ連は「特ダネ禁止」の土地だった。謎の美女、尾行、スパイ……ソ連崩壊を巡る情報戦を圧倒的リアルさで描く。

    投稿日:2022.01.21

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