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イタロ・カルヴィーノ, 関口英子 / 岩波少年文庫 (20件のレビュー)
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「自然を愛する都会人の悲喜こもごも マルコヴァルドさんは大家族のお父さん。並木の下にはえたきのこに心おどらせたり、寝苦しい夏の晩に公園のベンチで寝てみたり、大都会のかたすみの自然を愛し、空想ゆたかなマ…ルコヴァルドさんの切なくておかしな日々。ちょっぴりほろ苦くてふしぎな読後感のおはなしが春夏秋冬×5回分そろっています。」 (岩波壮年文庫創刊70周年特設サイト テーマ「朝読におすすめセレクション」より)続きを読む
投稿日:2023.10.09
白湯
話の内容自体はごく単純だけどシビアな表現で書かれた文章です。気分転換に気軽に楽しめるかと思って読み始めたら、意外と考えさせられることの多い短編集だった。 作者による解説によると「産業社会」というあまい…夢だけでなく、「いなかの生活」というあまい夢も、攻撃の的となっているそうで、「昔にもどる」ことができないだけでなく、その「昔」自体が、じっさいには存在したこともなく、幻想にすぎないとのこと。 マルコヴァルドさんの自然に対する愛着は、都会に住む人だけが持つもの、都会で自分のことを「よそ者」と感じているマルコヴァルドさんこそ、ほんものの都会人、という作者の言葉にすごく納得できた。続きを読む
投稿日:2023.07.09
うまばく
笑えるというか「こんなことしていいのかよw」という話が多かった。ラスト2話が怖い。中之条ガーデンの森の図書館で読んだ。
投稿日:2023.04.30
ゆまち
「この本は、子どもの本なのでしょうか?若者むけの本?それとも、大人むけの本?」 ー作者による解説より 「マルコヴァルドさんの四季」というタイトルと表紙を見て、どんな内容のお話だと思いましたか? 私は…マルコヴァルドさんという男性が四季おりおりの情景の中で何か素敵なものを見つけ、小さな幸福とふれあう物語を想像しました。 …これが遠からずも当たらず。 この本はマルコヴァルドさんとその一家が過ごす四季×5年分の20話を収めた短編集。 マルコヴァルドさんは、イタリアのどこか知らないけど都会の街で8人家族を養う大黒柱。 そしてどんな仕事をしているのかさっぱり分からないけど、低賃金労働者で家計は苦しい。 ひもじくて野生で生えてるキノコを採りまくろうとしたり、寒さに震えながら薪を買うお金がないから森で薪を調達してきたり、スーパーで他の客がパンパンにカートに商品を詰め込んでいるのが心底羨ましくて買う気はないけどカートを品物でパンパンにしてみたり。 そんなこんなで田舎から出てきたマルコヴァルドさんは、田舎の自然に思いを馳せ、都会の汚らしさにため息をつきながらも、その街で家族と暮らしていきます。 さて、その短編一話一話の展開なのですが、どれも一話ごとに起承転結がしっかりしていて皮肉と哀愁とちょっとした希望に富み、面白いのです。 ただ悲しいかな、物語の最初に街の中でマルコヴァルドさんが小さな幸せや生きがいを見つけることは、読む前の想像通りなのですが、ラストはいつも悲しい結末に突き落とされ、こちらは読みながら呆然とします。 …ええっ!?ここみんなで笑ってハッピーエンドじゃないんだ!!? 救いようがないとまではいかないけど、ちょっとつらい。 割と毎回、そんな感じ。シビアな終わり方も。 どんな展開でそうなるのかは読んでのお楽しみということにして…。 この、何かいいことを見つける→なんやかんや盛り上がりの展開がある→切ないラスト、という展開は、どうやら作者のカルヴィーノが意図的に織り成していたらしい。 完全に術中にハマる。 けれどあまり悲壮感なくページをめくり読み進めてしまうのは、マルコヴァルドさん含めマルコヴァルドさんの子どもたちがめちゃくちゃ逞しくて、次みつけた希望に目を輝かせられるガッツがあるから。 そしていつもマルコヴァルドさんが幸せだ、素敵だと思い焦点を当てるのは、街中のネオンでも喧騒でもなく、植木鉢でぐんと背を伸ばしている植物や、星が輝く夜空、きれいでおいしい空気。 そんなマルコヴァルドさんの感性は、「都会の暮らしにふさわしくない目」と解説などで表現されています。 なるほど、ふさわしくない。 たしかにそうかも。 でもそれと合わせて印象深かったのは、田舎から出てきたばかりのマルコヴァルドさんには都会の街の風景がキラキラして見えたということ。 これも対比として表現しているのかな。 個人の感想だけど、マルコヴァルドさんはちょっとなよっとした感じがあるけど、その子どもたちはめちゃくちゃパワフル。 自分たちは食うに困る生活を送っているのに、裕福だけど日々をつまらなさそうに送っている男の子を見て「恵まれない子どもだ」と感じるというタフネス。 一連の物語で輝いて主人公然としていたのは、案外子どもたちの方なのかも。 あとはこれが書かれたのは1950〜60年代初期というのに、古びた感じが一切しない。 つい去年書かれたばかりですよと言われても納得してしまいそうな新鮮さ。 マルコヴァルドさんが過ごす四季は、はちゃめちゃな展開もあるけれど、今の私たちの生活と照らし合わせて共感を呼ぶものだと思いました。 なんだかついまた読みたくなる、そんな本。 ちなみに特に好きだなーと思ったのが、 「高速道路ぞいの森」「牛とすごした夏休み」「毒入りウサギ」「月と《ニャック》」「けむりと風とシャボンの泡」「がんこなネコたちの住む庭」「サンタクロースの子どもたち」 です。 以下備忘録がてら目次をば。 春 都会のキノコ 夏 別荘は公園のベンチ 秋 町のハト 冬 雪に消えた町 春 ハチ療法 夏 土曜の午後、太陽と、砂と、まどろみと 秋 お弁当箱 冬 高速道路ぞいの森 春 おいしい空気 夏 牛とすごした夏休み 秋 毒入りウサギ 冬 まちがった停留所 春 川のいちばん青いところ 夏 月と《ニャック》 秋 雨と葉っぱ 冬 スーパーマーケットへ行ったマルコヴァルドさん 春 けむりと風とシャボンの泡 夏 都会に残ったマルコヴァルドさん 秋 がんこなネコたちの住む庭 冬 サンタクロースの子どもたち 作者による解説 訳者あとがき 続きを読む
投稿日:2022.12.17
fukayanegi
このレビューはネタバレを含みます
『梨の子ペリーナ』の再話者となっていたイタリア民話編纂の巨匠イタロ・カルヴィーノ氏の手掛けた児童書。 ズバーブ商会の倉庫の人夫として働くマルコヴァルドさん。 思いついた妙案を熟慮せずに行動に移してしまい、いつも期待していたのとはちょっと違う結末(どちらかというと失敗)にたどり着いてしまう。 妻とたくさんの子どもらを抱え、かつかつな暮らしを送りながらも自然を愛でる心に溢れ、人並みな欲はあるけれど後先見ずに突き進んで窮状を脱せない様は返って善良さが滲み出ていてにくめない。 そんなマルコヴァルドさんの春夏秋冬季節にひとつのエピソードを5周繰り返す形での連作短編集。 比較的あっさりとはしているが、へんてこエピソード達の間に、「おいおい。。。」といった呆れや忍び笑いあり、人間の心の浅ましさを垣間見るものあり、ときには一抹の切なさを感じるものありと玉手箱的作品。 挿絵がいい感じ。
投稿日:2022.11.23
サマー
期待以上におもしろかった! おもしろさの方向性で言えば、「サザエさん」のようなおもしろさだ。 登場人物たちの思考や行動が容易に予想できて、その結果も予想できてしまう。 「あ~あ、またあんなことして、…もう、サザエは。」みたいな。 この本では、マルコヴァルドさんの春夏秋冬に関する短いお話がたくさん収録されていて、四季が何周もする。 四季が何周もするのに、マルコヴァルドさんは懲りない。まったく懲りない。 毎回、「マルコヴァルドさんか家族がなにかを見つける・思いつく→大喜びでそれにくいつく→うまくいかずにがっかりする」という展開だ。 個人的にとくに愉快だったのは、 スーパーの話(家族でスーパーに行ったけどお金がなくて何も買えないから、カートを押して買わない商品を入れることを楽しむ・・・) 洗剤サンプルの話(こども達が洗剤サンプルを大量にあつめて売ろうとしたが・・・) バスを乗り過ごす話(マルコヴァルドさんが知らない停留所で降りてしまい、目的のルートに戻るために四苦八苦・・・)続きを読む
投稿日:2022.09.10
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