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柚木麻子 / 小学館 (117件のレビュー)
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moji茶
このレビューはネタバレを含みます
明治を生きた女性たちからみた日本史。 道のエネルギッシュでありながら爽やかな人柄と生き様に惚れる。 人生の全てを女子教育と平和教育に捧げた彼女と、ゆりの献身的な日々に感動。当時としては珍しい海外留学をし、リベラルを経験した彼女たちが日本に帰国した時の絶望の度合いは計り知れない。 野口くんや有島くんや徳富くん、太宰くんが当時の頑迷な日本人男性を代表する役割に当てられているのが面白かった。 女は、愛は奪われるもの。不幸に酔うだけで疑問を抱きもしない男たち。時代はまだまだ女に風当たりが強かった。でも、封建的なこうあるべきっていう生き方に反発して、悩んで、自分たちの殻を必死に破ろうとしている男性陣の苦悩もわからないわけではない。 道たちはアメリカで学んだことをちゃんと実践に移し、女性解放に一石を投じた。そして、道が死ぬ最後のその瞬間まで2人が姉妹であり続けたのも、めっちゃ感動して泣いた。 女同士の友情、愛情は素晴らしいと思うが、この2人の様な魂レベルの結びつきは特殊すぎて私の理解を超えるけど、ゆりの献身に涙がこぼれたし、とても優しいラストで読後もしばらく余韻が収まらなかった。
投稿日:2024.05.11
シェーン
大好きな柚木麻子さんの長編小説でずっと読みたかった一冊。個人的には物語が好きだから史実に基づいたお話より全くの物語の方が好き。だけどやっぱり柚木さんの描く女性主人公の機転の効いたパワフルさが大好き。
投稿日:2024.03.16
オリ
女子には高等教育が必要ないとされていた時代。今となってはちゃんちゃらおかしいのだけど、まだその時代の名残りは職場での性差として存在していると思う。評価する側が圧倒的に男性多数だから当然なのだけど。 「…らんたん」の主人公が、『なぜ女が恋愛で狂って不幸になって死ぬ物語ばかりなの?』と嘆くシーンが、最近観た「アメリカンフィクション」という映画で、黒人作家が『白人が望む黒人の物語(ドラッグギャング貧困みたいなの)にはうんざり』と嘆くシーンと酷似していて、差別の根底は同じなんだなと感慨深かった。 女性が恋愛も結婚もせずに、明るく楽しく生きる物語を読めて良かった。 ただ、登場人物が多すぎて終盤これはどの人?ってなったから、一気に読んだ方がいいよ!続きを読む
投稿日:2024.03.09
ミスティ
母校である恵泉女学園の創設者の河井道先生の著書『わたしのランターン』は在学時に読んでいたが、柚木麻子さんが書かれた『らんたん』は、河井先生がとにかくキュートで、登場人物もみな生き生きしていて、全く違う…もののように感じながら、一気に読んでしまった。そうか、私がいた学校はこんな歴史を経ていたのかと、卒業して30年近く経ってその学校で学べたことを改めてしみじみとありがたく感じた。そして高校生活を思い起こして、懐かしく温かい気持ちになった。河井道先生が戦後の子女教育のためになしてくださったことを心から感謝して、尊敬と敬意を捧げたい。続きを読む
投稿日:2024.02.22
稲石浩司
恵泉女学園の創始者の河合道を描く大河小説。 恵泉OGの著者が描くことに意味があり、彼女の作品の根底にあるシスターフッド(シェアの精神)の根源にも触れた感じがする。 一色ゆりとの友情を縦糸にして、先人…、後人の女性権利に対する開拓者たちの活躍が織り込まれた良作です。 今は、ジェンダーレスだけでなくセクシャルマイノリティの権利も尊重される時代になので、昔のジェンダー差別のひどさは驚きだと思います。 自分はちょうどジェンダー差別の変革期を子供のころから体験してきていて、市川房枝の国会討論もよくTVで見ていたし、就職時には雇用機会均等法成立直前でジェンダー差別がなくなっていくさまを感じていました。 ちなみに、時代の役割が終わったのか恵泉女学園の大学は2023年募集停止で閉校するとのことで残念だが、中高は一貫校として続いていくようだ。続きを読む
投稿日:2024.02.08
まろび
明治時代から女性の教育に尽力した道先生とゆりさんのお話 たくさんのその時代に生きた歴史的人物が知り合いとなり登場するのが面白い。 特に新渡戸稲造や津田梅子などのかかわりや言葉に命を感じる。 良妻賢母の教育や家父長制が戦争をうみ、日本の発展を遅らせたのか らんたんの火を消さないことを続けていれば、長い年月をかけてでも世界は変わる。今の時代があるのははその火を守り照らし続けてきた女性達がいたからと強く感じた
投稿日:2024.01.26
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