【感想】きつねの橋

久保田香里, 佐竹美保 / 偕成社
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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ブクログレビュー

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  • あやごぜ

    あやごぜ

    読みやすい平安ファンタジー。

    “頼光四天王”の一人、碓井貞光こと平貞道が、まだ若くて源頼光の郎党になったばかりの頃のお話です。
    白狐の“葉月”との交流を中心に、因縁の盗賊・“袴垂”に煮え湯を飲まされたり、藤原一族の若君・五の君(後の藤原道長)の護衛や、“葉月”が守っている斎院の姫君を助けたり等・・と、貞道の京での経験と成長が素敵な挿絵と共に楽しんで読めます。
    真っ直ぐな気性の貞道と、人を化かす事もあるけど、斎院の姫君を大切に思う白狐・葉月、飄々とした性格で弓の名手である季武(後の四天王の一人・卜部季武)、五の君の従者で大らかな公友。といった、キャラのバランスも良いですね。
    本書は児童書(文字も大き目です)なのですが、あの上橋菜穂子さんの“守り人シリーズ”と同じレーベルだけあって、大人も楽しめる良作だと思います。
    続編も一緒に借りてきたので、読むのが楽しみです。
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    投稿日:2022.07.13

  • kuritanu

    kuritanu

    久保田さんの作品は『駅鈴』『氷石』『もえぎ草子』と読んだけど、これが一番いいのでは?と思った。
    私が読んだ中では唯一ファンタジー要素のある作品だが、それが久保田さんの中世をリアルに描く力、誠実な物語運びとうまい具合にミックスされてる感じ。
    頼光四天王の一人平貞道が、頼光の郞等となるところから話は始まる。妖狐葉月を助けてやったことが縁で、貞道と葉月はピンチの時にお互い助け合う約束を交わす。
    葉月は、賀茂神社の斎院である幼い尊子姫の女房をしており、斎院は葉月が狐であることを知った上で姉のように慕い、頼っている。幼くして母と別れ、実家に戻ることもままならない斎院を愛しく不憫に思う葉月は、何としても彼女を守ってやりたい、望みを叶えてやりたいと思っている。
    葉月の口調は丁寧だがそっけなく、特に女っぽくもなく(私は「彼女」と書いたが、そもそも雌狐であるかも不明。ただ、化けるときは女になる)、ツンデレというよりツンツンという感じで、そうでありながら、言葉や態度の端々から、どんなに斎院のことを愛しているかが伝わってくる。
    貞道は腕が立つとはいえ、まだ思慮深さには欠ける若者であり、何度も葉月に助けてもらううちに成長していくのも良い。
    今昔物語に出てくる盗賊袴垂れや陰陽師賀茂保憲も出てくるし、頼光四天王のもう一人平季武も、ちょっと軽めだが、いざとなると類い希なる弓の使い手として貞道とともに活躍する。
    幼い頃の藤原道長(五の君)もやんちゃな少年として生き生きと描かれている。
    これだけキャラが立ってるんだから(二次創作のネタに使えるくらい、アニメ化、マンガ化してもいいくらい)、もっとベタベタに友情、冒険、恋愛を書けば、もっとたくさんの読者を獲得できるのに、それをしないところが久保田さんらしい。挿し絵の佐竹さんもそれを重んじて、わかりやすい美男美女を描いたりしない。誠に上品。
    また葉月と貞道が活躍する物語を読みたいなあと思ったけど、久保田さんはそういうこともあんまりしなさそうな気がする。まあ、書いてくれたら嬉しいけど。
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    投稿日:2021.04.23

  • mofu

    mofu

    このレビューはネタバレを含みます

    『童の神』を読む前準備として読了。

    期待以上に面白かった。
    源頼光の郎党・平貞道が、妖怪の白きつね・葉月と助け合いながら、京の都を賑わす盗賊・袴垂を討伐する物語。
    史実にもののけなどの妖しを巧く絡ませたワクワク感もある上、弓の名手・平季武との友情、斎院の姫君救出など見どころもたくさんで読みやすい。

    また、少年時代の藤原道長(当時はまだ五の君)が読めるのも嬉しい。
    五の君が兄・道隆に叱られる姿を見ると感慨深いものがある。
    「兄君を見返すぞ」「わたしがのぞむのは、一の人(帝を補佐する摂政や関白のこと)だ」のセリフにはドッキリ。
    道長は小さい頃から上昇志向の強い子だったんだ。

    今回は源貞道目線のお話。
    これに対して『童の神』は盗賊・袴垂側目線の物語とあって、比較しながら楽しめそう。

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    投稿日:2021.02.24

  • さつき

    さつき

    平安時代の郎党の様子が丁寧に描かれていて、それでいて今時の雰囲気もあり、読みやすい。
    きつねを「悪いもの」としない、別れで終わりにしない。
    強く主張するわけではないが、自分に真っ直ぐな貞道のキャラクターと優しいラストが新しい。続きを読む

    投稿日:2020.10.06

  • barubarusan

    barubarusan

    平安時代の京の都。源頼光の郎党、平貞道は手柄をたてたいと思っていた。勇ましいがどこかやさしい貞道は、人を化かすきつねを捕まえたものの、いじめられているのを見過ごせず、逃がしてやった。その白きつね葉月と特別なつながりができた貞道は、互いに助け合うようになる。
    京都を舞台に、貞道ときつねの活躍を描く物語。
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    投稿日:2020.03.08

  • 雨巫女。

    雨巫女。

    《図書館-借》狐の葉月と貞道が、平安時代に、京都で、大活躍。斎院様を護る葉月が、一緒にいられたらいいなあ。

    投稿日:2020.01.21

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