【感想】インフルエンス・インシデント Case:02 元子役配信者・春日夜鶴の場合

駿馬京, 竹花ノート / 電撃文庫
(1件のレビュー)

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  • タカツテム

    タカツテム

    新たなインフルエンサーの春日夜鶴が登場する第2巻
    動画投稿サイトにて配信を行う事でフォロワーを増やしている人物である点は真雪と同様なのだけれど、真雪とは異なる点が幾つも見られる人物でも有ったね

    真雪は実社会において家庭的な繋がりも友人との繋がりも希薄な人間であった為に、繋がりをネット上に求める内にインフルエンサーとなった
    対して、夜鶴は元有名子役として知名度を持っていて別にコミュニケーション不全という訳でもない。そんな彼女がネット上で活動するのは何故か、そして活動する上で何が障害となっていくのか、という点がこの巻では描かれていたね


    この巻においても第1巻にて課題として提示されたネットの中と外、というかネット上で受ける印象と実際に会って受ける印象の差という問題点は夜鶴を中心として幾つかのシーンで描かれているね
    夜鶴は元有名子役としての顔も持っているけれど、その他にも粗野な言動が目立つ配信者としての顔、中学時代にドロップアウトしていた時期の顔などが存在する
    それらはネットを媒介として様々な憶測を交えて情報が拡散され、人々に無責任に受け入れられてしまう
    だから、炎上騒ぎなんて真偽も定かではない噂によってIMFへの参加も取り消されてしまう。非常に現代的な問題が発生しているね

    一方で夜鶴に降り掛かった問題には原始的な側面もあるんだよね
    一度正道から足を踏み外した人間が信用を取り戻すにはどうしたら良いか。玲華は夜鶴の依頼を断る際に「不良の更生物語」なんて方便を用いたけど、夜鶴がこの時点で直面しているのは正にそういった方面

    だからこそ、同じように一度の失敗からずるずると足を踏み外してしまった蓮水の存在が活きてくるね
    夜鶴の問題を考察する上でひまりも真雪も夜鶴による自作自演の可能性を疑っている。玲華が依頼を断り、更にその可能性を提示した事で尚更2人は夜鶴を無条件には信用しなかった
    対して蓮水は配信者としての夜鶴のファンでありながら、実際に会って話した印象を基に夜鶴が無実であり被害者であると信じた
    この描写からは動画とかネットなどに情報を求めるのではなく、実際に相手と向き合って話した時にこそ価値ある情報が在ると考えられるのかもしれない。
    だから真雪も夜鶴を信じた蓮水を信じるし、ひまりも真雪を信じて行動を開始する
    インターネットの情報に強い影響を受けている真雪達だけど、決め手となったのは対面で得られる情報


    夜鶴に纏わり付く問題の根幹は、断片的にしか夜鶴の事を見ていない過去のあれこれと言えるのかな。それは泥沼のように抜け出すのが難しい
    だからこそ、今の夜鶴を見て知って吠えてくれる蓮水は夜鶴を踏み留ませてくれる存在になるし、これからの夜鶴やフォロワーの為に配信を辞めるなとの真雪の言葉、それらは夜鶴が望んでいたIMF参加へと繋がる道となったのだろうね


    過去を乗り越えて未来を掴んだ夜鶴。中村真雪としてのこれからを考え始める真雪。そして過去の因縁と出逢ってしまったひまり
    非常に現代的なコミュニケーションが繰り広げられつつも、人としての原点も失っていないと感じられる本作。後書きを見るに、もしかして次巻で完結だったりするのだろうか?
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    投稿日:2021.09.24

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