【感想】動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか

フランス・ドゥ・ヴァール, 松沢哲郎, 柴田裕之 / 紀伊國屋書店
(20件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 橘 浩則

    橘 浩則

    異なる立場の考え方に対する攻撃的な口調に終始する。淡々と語ってくれたら興味深い内容なのだが、読んでいて怒りのはけ口にされている気分になる。

    投稿日:2022.05.27

  • マホ

    マホ

    賢さには、たくさんの種類がある。
    例えば、言語。
    人間は言葉を喋る。犬や鳥は、今のところ人間の言葉を喋らない。だから、犬や鳥は無能なのか?
    犬は人間の1億倍ほどの嗅覚をもつ。
    鳥は宇宙を駆ける翼をもつ
    どちらも人間にはない能力である。
    種によって、または人によって、賢さの基準は違うんだな、と考えさせられた本だった。
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    投稿日:2022.04.17

  • グアルデリコ

    グアルデリコ

    人間は、動物と同じ生物種としての連続性の中で理解すべきとし、ユクスキュル的な動物主観的視点から、動物の認知と知能に関して紹介した著作。

    投稿日:2022.01.28

  • とうや

    とうや

    宗教上の理由で無意識に人間と動物を分けて考えてる生物学者が多くて動物独自のIQの高さをきちんと研究出来ている学者が少ないって本。

    そもそもなんでチンパンジーのIQテストに人間の顔写真の識別をさせるのか、人間はチンパンジーの見分けがつかないのと同じでチンパンジーも人間の見分けはつけづらい。木登りに特化したテナガザルに何故かスプーンを渡して動作テストをしたり人間基準で考え過ぎてて動物の適性検査が出来ていない。

    無意識のうちに人間は他の動物よりも優れていると考える節がある為、人を動物のカテゴリーに含めるとそれを感情論で批判する学者がいる影響で動物行動学の発展が遅れているんじゃないかみたいな内容の本でした。
    動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか
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    投稿日:2021.05.28

  • すんすん

    すんすん

    非常に興味深く、面白い内容だった。かなり愚痴っぽいところがあり最初は辟易したが、それ以上に動物たちの行動が興味深く、どんどん読み進めていけた(とはいえ読むのにかなり時間はかかった)
    研究者の著書としては一般人にとてもわかりやすい文体で書かれていて、専門用語のオンパレードといった取っ付きにくさは皆無。ますます動物たちが好きになり、愛が深まった。
    収斂進化が思ってもみなかったところで起きていること、そもそもこれは収斂進化であるという気づきがあったのが、個人的なポイント。
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    投稿日:2021.02.23

  • Flooding Throne

    Flooding Throne

     辛島における猿の芋洗い行動の伝播は教科書に載るほどに有名だが、それがいかに衝撃的であったかは本書でも取り上げられている。いわゆる「サル学」の分野では日本は間違いなく先進国で、辛島の報告を行なった今西錦司、本書に解説を寄せた松沢哲郎などは本書内ではほとんどレジェンド扱いである。本書は、彼らに強く影響を受けた「サルと寿司職人」などの著者が、動物行動学と比較心理学を統合した新しい学問分野を紹介するもの。

     B・F・スキナーらが創始した比較心理学では、動物を人間心理のモデルとして扱いながらも、「連合学習」を重視するあまりそれぞれの動物の置かれた環境を軽視する傾向があった。これに対し、動物固有の「ウンヴェルト(環世界)」と動物の行動の因果関係を重視する動物行動学に、人間中心ではない動物たちの「認知」を研究の中心に据えるドナルド・グリフィンの知見を加えた「認知動物行動学」を対峙させつつ統合したのが著者の唱える「進化認知学」。これによれば、生物の認知機能はそれぞれの生き物の必要性に適応しつつつ進化した、ということになる(「生物学的に準備された学習」)。逆に言えば、必要とされるならば異なる生物に同じ(相似)能力が別々に現れる(収斂進化)のだ。

     著者は数々の有名な動物の認知に関わる実験を挙げ、人間の認知が特別だとする言説に改定を迫る。例えば、言語の使用が人間の思考過程を特別なものにした、とする定説を批判し、多くの動物はボディランゲージなどの自らの環境に準備された情報を学習して利用していることを見落とすべきでない、とする。同様に、他者の心理を推測する「心の理論」についても、ある行動の模倣の際、行為者の意図まで汲み取る「真の模倣」についてはむしろ人間よりも類人猿によく当てはまることを指摘する。また、動物実験の手法についても人間中心の環境設定をするのではなく、動物たちが通常置かれた生態的・社会的環境を考慮した設定にすることで、認知機能は人間にのみ発現した跳躍などではないことが実証されるはずだとする。
     
     アリストテレスの「自然の階梯」を著者がまるで人間を頂点とするヒエラルキーを表現したものであるかのように批判的に扱っているのが少々気になるが、アリストテレスの意図は勿論そのようなものではなく、「神は跳躍しない」即ち生物宇宙の構成には断絶はないことを表したもので、むしろ著者の意見とベクトルが同一だ。はじめから認知に関わる帰納的な一般論を探究するのではなく、それぞれの事例研究から認知に共通する構造を炙り出していくという進化認知学の手法も、偏執的なまでにフィールドワークに拘ったアリストテレスと通じるものがあると思う。
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    投稿日:2020.08.02

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