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佐伯泰英 / 文春文庫 (1件のレビュー)
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Sachi
「居眠り磐音」の続編シリーズ「空也十番勝負」、1巻の下巻であります。 上巻は、物語の舞台が薩摩周辺に移ったうえに、空也の旅もなかなかスムーズにいかないため、話のテンポがいまいちつかみ切れずにいたの…ですが、下巻に入ったとたんググッとおもしろくなりました。 東郷示現流を学ぶために薩摩に入ろうとする空也ですが、国境付近で暗躍する無法集団外城衆徒との戦いにより、狗留孫峡谷の滝壺に落ちてしまいます。意識を失い川内川に流されているところを、薩摩藩前藩主島津重豪の重臣だった渋谷重兼と、その孫娘眉月が乗った船が通りかかり、彼らに助けられます。年が変わり17歳になった空也は、渋谷重兼の麓館で野太刀流の稽古を始めます。 いやぁやっぱりおもしろいですね! 渋谷重兼じいじがすごく良い。いざという時のじいじがね、カッコいいのですよ。優しいしね。ああ眉月ちゃんがうらやましい。 「終章」ではめっちゃ泣いてしまいました。磐音とおこん夫妻の気持ちを思うともう、込み上げるものを抑えきれず、ヒックヒックとしゃくり上げて泣いちゃいました。磐音シリーズからずっと読んできてこんなに泣いたの初めてだわ。 そして「あとがき」と「決定版刊行によせて」がとてもすばらしい。佐伯さんのいろいろなお気持ちを知ることができてうれしかった。〈やはり「居眠り磐音」と「空也十番勝負」の二つのシリーズは、父と子の長大なひとつの物語であり、この父子ふたりを描ききることがひとつの作品として完全なる「了」へと導く〉と書かれており、ファンとしてはヒャッハーな喜び、そして今私がこの決定版を読んでいることはとてつもなく幸せなことだと思いました。 最後にもうひとつ、舞台が薩摩なのでセリフがちょくちょく薩摩弁なのですが、数年前に林真理子さんの『西郷どん!』を読んだのを懐かしく思い出しました。「〜もはん」とか「〜もす」とか、ちょっとかわいらしくて薩摩弁好きなんですよねぇ。 続きを読む
投稿日:2022.05.23
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