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九鬼周造 / 岩波文庫 (2件のレビュー)
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文体が難しすぎて読破できずに途中で返却期限になってしまった。 思いがけず利他 の参考文献にあったので図書館から借用。
投稿日:2024.02.06
nt
「偶然」の様々な様態を、本書ではひたすら分類する。偶然は必然と対であろうと、必然の分類に基づいて、その反照として偶然を区分してゆく。 九鬼周造は西洋哲学においてこれまであまり注目されてこなかった「偶…然」をしっかりと知的に定位したかったのだろう。この作業によって哲学史の隙間は埋まり、西洋的知が看過してきた部分が浮かび上がってくる。そう自負していたに違いない。 もっとも、本書の大半は偶然の分類に明け暮れており、偶然なる物への凝視がもつ知的意味については、最後の方でわずかに取り上げられる。特に芸術・文学において偶然性がいかに重要なファクターであるかを指摘している箇所はなかなか面白い。このような考察を深めて、もう1章付け加えてほしかったと思う。偶然性をテーマとした他の九鬼周造の小論を合わせ読むことが必要だ。 それでも、本書がたいへんな労作であることは確かだ。この努力がいかなる価値を持つのか、九鬼が切り拓いた知の領域は閉じていない。続きを読む
投稿日:2018.06.21
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