【感想】子どもの発達格差

森口佑介 / PHP新書
(10件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • レモン

    レモン

     中盤は専門用語が多く読みにくかったが、各章の最後にまとめがあり、さらに第9章でも全体の要約が挿入されていたのでわかりやすかった。巷で非認知能力が大事と持て囃されているが、実態は曖昧で人によって解釈が異なること。「未来に向かう」子どもより「今を生きる」子どもは貧困家庭に多く、他者との信頼関係が築けていないケースが多いこと。幼児期と成人期だけでなく青年期にも着目し言及されていることなど、興味深く読めた。特にモンテッソーリ教育の影響をみた研究にびっくり。感情をコントロールする力に差はなかったらしい。続きを読む

    投稿日:2023.12.06

  • 学びのブタ野郎

    学びのブタ野郎

    根拠の乏しい議論になりがちな子供の発育に関する本の中で、かなりフェアな語りをしてくださっていると感じます。
    教育や発達に関する研究はデザインやデータ、設定など素人目に見ても難しそうと感じますが、この中で紹介されているような一歩一歩がどこかで実を結ぶのだと信じて止みません。
    未来志向、現在志向の子供についても、有名なマシュマロ試験の問題点など共感できる部分が大きかったです。結局それぞれの子供の背景や行動の意図が違うため、科学としてデータに向かう面ももちろん重要なのですが、個別性に目を向けた人間の解像度を高める視点も重要に思えました。
    自分の家庭の子育てを考える上で大事な学びがあったと感じます。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.30

  • yakichobbi

    yakichobbi

    「未来に向かう」こども、「今を生きる」こども、もちろん未来に向かう子供の方が望ましいのだろうが、毎日を生き抜くことで必死な子供は、今を生きるしか、ない。この格差を埋めるのは、最終的には、やはり、育つ環境を整えてあげるしかない。その環境をつくるのは、その子供が生まれる前から、養育者となる人間が、どう生きていくかを考えてもらうこと。そのために、自分が今まで行ってきた「ライフスキル」を義務教育の段階で身につけてもらう、ということが大切だと思わされる。このことを、大人たちに知ってもらうように頑張っていくしかない。続きを読む

    投稿日:2023.01.03

  • はろうぃん

    はろうぃん

    非認知能力とは、自分や他者と折り合いをつける力。仲良くやる力ではない。

    この力をつけるための核はアタッチメントであり、これが環境的に満たされている必要がある。

    虐待、貧困やネグレクトなど家庭環境が悪く、保育園や行政が介入できないと、非認知能力が伸びないことがある。

    親は権威的である必要がある。応答性が高く、管理・統制も高くなければならない。温かさも必要だが、言いなりになるのもダメ。また、ご褒美や罰は逆効果なのでしない方がよい。
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    投稿日:2022.09.24

  • Go Extreme

    Go Extreme

    はじめにー子どもでみられつつある「発達格差」
    格差論からみえない子どもの姿
    非認知能力の功罪
    “おとなしい”データとして扱われる子どもたち
    発達科学からのアプローチ
    第1部発達格差の実態
    第1章今を生きる子ども、未来に向かう子ども
    子どもの発達は人それぞれ
    将来に影響を与える実行機能
    実行機能の影響は一部の子どもに限らない
    日本における「21世紀出生児縦断調査」
    「強さと困難さのアンケート」からみえる格差
    他者を思いやる向社会的行動
    向社会的行動が子どもの将来を左右する
    思いやりにみられる格差
    発達格差とは、今を生きるか、未来に向かうか
    前頭前野の重要性
    第2章発達格差はなぜ生まれるのか
    今を生きるA君の話
    「マシュマロテスト」は他者への信頼を表す?
    マシュマロテストをめぐる論争
    過熱する論争がもたらした新事実
    発達格差と他者への信頼
    発達格差と貧困
    貧困と前頭前野
    なぜ貧困が前頭前野に影響するのか
    今を生きることは、現境への適応
    棗境に適応する子どもたち
    能力だけではなく現境も支援すべき
    発達格差を生む他の要因
    性別格差は存在するか
    性別に関する思い込み
    女児は未来を制限されている
    第3章発達の道筋──青年期の重要性
    大事なのは発達の道筋
    青年期を考える
    双子の研究
    脳の発達経路も異なる
    発達は確率的なもの
    発達の生態学的理論
    発達の道筋は変わりうる
    向社会的行動も変化する
    格差は広がりうる
    支援はなぜ大事なのか
    第2部未来に向かうための力
    第4章非認知能力を批判的に整理する
    第5章実行機能の発達
    第6章向社会的行動の発達
    第3部発達格差を是正する
    第7章子どもの能力の支援
    第8章環境設計の支援
    第9章これからの時代の発達格差
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    投稿日:2022.01.17

  • rara16

    rara16

    ■メモ:
    ・貧困が子供の発達に影響を及ぼす。
    理由1:ストレスの影響。貧困家庭で生まれた子は生後半年で慢性的なストレスを感じがち。ストレスは前頭前野の働きを鈍くする可能性がある。
    理由2:親子のやり取りの少なさ。親子の会話や交流の少なさが、前頭前野を未発達にさせてしまう。

    ・子どもは無力で無能な存在ではなく、自分で世界を探索する活動的な存在である。(by ジャン・ピアジェ)

    ・「同化」と「調節」。
    同化は新しいものに出会ったときに、子供が既存の知識や概念の中に取り入れること。調節とは、新しいものに出会ったときに、子供が既存の知識や概念の中に取り入れることができなために、自分の知識や概念を変更すること。

    ・幼い子供にとって、責任ある大人からの温かい接触は極めて重要。

    ・中核は、アタッチメントにある。

    ・養育者は子どもにとっての初めての他者。養育者への信頼が、それ以外の他者に対する信頼につながっていく。

    ・養育者との関係は子どもの「自分」についての考え方の基礎になる。養育者との間に良好な関係を築けた子どもは「自分は他者から愛される存在だ」「他者は自分に優しくしてくれる存在だ」と考えるようになるが、養育者との間に良好な関係を築けない場合は、「自分は愛されない存在だ」「他者は自分に意地悪する存在だ」と考えるようになるかもしれない。

    ・子どもは、最初は誰にでも親切。次第に「誰に対して親切にしないか(向社会的行動をしないか)」を学んでいく。

    ・発達格差を是正するためには、子どもの能力向上だけでなく、周りの環境の支援が必要。親を含めた他者への信頼が確保された環境であり、貧困などにあたらない十分な経済的余裕が担保された環境設計が必要。

    ・発達格差は実行機能や向社会的行動として表に出てくるが、その根本となるのは他者に対する信頼。他者を信頼するには、最初の他者である養育者との関係が大事。
    虐待やネグレクトをしないことはもちろんのこと、精神疾患や抑うつ状態にある養育者が子どもに安心、安全の場を提供することは容易ではない。養育者への支援も重要。

    ・女性に限り、母親の子育ての仕方の影響を受けることが分かっている。(byダニーデン)

    ・適切な養育において大切な養育者の敏感性。ここでの敏感性とは、養育者が子どもの視点に立ち、子供の出す何らかのサインに気づき、正しく解釈し、適切に反応することを指します。例)おなかがすいて泣いていると判断し、ミルクを与える など

    ・幼稚園、保育園、こども園の重要性。
    →養育者にプロとしてのアドバイスが可能、子どもの能力を伸ばすことが可能、子どもにとって信頼できる存在になりうる。(アタッチメント)

    ・子どもとのかかわり方に関する支援が必要。
    例)子どもとのアタッチメントを築くことに困難を示す親に、かかわり方を教えるペアレントトレーニングを行う。
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    投稿日:2021.11.09

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