【感想】安全保障戦略

兼原信克 / 日本経済新聞出版
(3件のレビュー)

総合評価:

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  • MSTK

    MSTK

    《目次》
    第I部 国家安全保障組織論
    第II部 国家安全保障戦略論
    第III部 サイバー戦、歴史戦、日本の領土

    投稿日:2023.12.19

  • たけ坊

    たけ坊

    元外交官が安全保障戦略について同志社大学法学部の学生に対して行った講義をまとめたもの。実務者として実際に関わってきたことについてはもちろん、国家論や歴史など幅広い分野への深い知見があるなと感じた。特に第1部の組織論は秀逸である。
    55年体制下の日本では政治のリーダーシップを欠き、霞が関の各省が主権国家のように振る舞っていた。その後橋本政権以降官邸機能の強化が進む。小選挙区制の導入は派閥を弱体化させ、結果として族議員が弱体化した。これによって執行部、総裁の権限が強くなり、総理の力が強くなった。総理を補佐する官邸、内閣官房は政権と官界の結節点として重要となった。シビリアンコントロールの要となる国家安全保障会議と国家安全保障局が、機能しなかった大本営とは違って、常設された。今後は統合運用の深化が求められ、統合司令官ポストの創設、総隊司令官の四つ星への昇格、SCの強化を主張する。日本のインテリジェンスサイクル自体は回り始めた。今後はインテリジェンスコミュニティの風通しを良くし、内閣情報調査室を中心にオールソースアナリシスを実行しなければならない。
    筆者は個人の尊厳の平等、自由主義、民主主義、法の支配を普遍的価値と呼び、それは仏教や儒教の伝統が長い日本でも共有できるものであるとする。戦略は人間が力を合わせて生き延びるための実践的思考であり、安全、繁栄、価値観からなる国益を守るために必要なものである。そのために重要な日米同盟は冷戦の中で変遷を続け、平和安全法制でまた変化した。シーレーンは日本の生命線であり、地球規模の海軍戦略と自由貿易と地域経済統合が自由主義である。中国はナショナリズムという虎を乗りこなせないかも知れず、中国がピークアウトするまでいかに中国と向き合い関係を安定させるかという大戦略を考えねばならない。韓国も重要な隣国だが、まだナショナリズムが若く、国内冷戦が始まったばかりという内実をよく押さえたうえで付き合わなければならない。
    サイバー、宇宙、技術覇権争いが米中の間で起きており、日本の産業も安全保障への無関心を改め、必要な技術を守り、育て、活かすことがさらに重要となっている。歴史戦も米中韓とそれぞれの国内事情がある。
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    投稿日:2022.02.27

  • にっしゃぁん

    にっしゃぁん

    安全保障に最近まで従事していたからこそ、書ける内容だなぁと感じた。途中筆者の思想が入る部分があり、中弛みを感じてしまうが、日本という国が置かれている現状を知ることが出来るので良い本だと思う。

    投稿日:2021.12.12

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