【感想】水俣病を知っていますか

水俣病は2016年に公式確認から60年を迎えた。それでも今なお、なのか、今だからか「知っていますか」と呼びかけなければならないことがある。僕も知っているつもりだが知らないことが満載だった。



谷川…健一は水俣生まれであり、水俣というのは、国の果てが持つ一種の桃源郷だった、と語った。牧歌的なものの中に、反牧歌的なものが突然爆弾のように投げ込まれたのが水俣病だ。



本書自体は薄いブックレット形式をとるものの、多くの関係者の言葉と考察に厚みがある。ただただつらい、企業の責任を問う、というものばかりではない。運動の最前線から、制度化した水俣病に疑問を覚えて認定申請を取り下げる人もいた。



とはいえ、既存の枠組みに疑問を掲げるだけの本ではない。知っていますか、と現代の本読みたちに緩やかに挑戦をしてきてくれるわけだし、応えてみたいと思う。来月、熊本に行くよ。ささやかな予習として。続きを読む