【感想】深夜薬局 歌舞伎町26時、いつもの薬剤師がここにいます

福田智弘 / 小学館集英社プロダクション
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • Karen✲*゚

    Karen✲*゚

    フィクションと思って手に取ったら、まさかの実在の薬局のお話だった。本当に大変だと思うけど、こうやって利益追求でなく、心や身体を支えること、守ることを医療人として指名にされている方がいること、本当に救われるし、頭が下がる。そして、それを表に出していないのがまたいい。いい意味でゆるいと言うか、身構えないで行ける空気感が本越しにも伝わってきた。

    p.88 「高校の時からかな、心と体のことを気楽に相談できる場所って、絶対必要だよなとはずっと思ってたんですよ。みんなが相談しやすいのは薬局かな。薬局みたいなところに、いつも相談できる同じ人がいればいいのにな」

    p.109 確かに椅子があれば、ない時に比べて長い出来るようになる気持ちはわかる。お医者さんにお伝えられなかった、ちょっとしたことを、喋ってみようかなと言う気持ちになるかもしれない。「まぁちょっと座りなよ」と言える。立ったままの状態でどうしたのと言われたところで、実は子とはいかない。道端にある占いの店にも、教会の告解部屋(いわゆる懺悔室)にも、椅子がある。人間、立ったままでは、体も揺れるし、気持ちってしまうし、なかなか踏み込んだ話ができないだろう。だから、中沢さんは、座って向かい合うことができる、ちょっと隔離されたような、こっそり、そして、じっくり話せるスペースを作ったそうだ。こうした小さな工夫の積み重ねが、落ち着ける場所、心の武装を解ける場所を作り上げてきたのだろう。

    ちなみに、もう一つ、メンタルバランスを崩した人は多くやってくるだろうと見越して工夫したものがある。壁紙の色を柔らかいピンクにしたことだ。肌色と桃色の間のような天川色。これは精神的に安心感のある色、なんだそう「ともかく、ここに来れば安心と思ってもらえたら、嬉しいです」

    p.116 そんな顧客のニーズに応えた、かゆいところに手が届く商品選定のだ。バラ売りすることで、気楽に購入でき、きっちりと否認する人が増えるのならば、社会的に有意義な商売だと言えるだろう。

    p.127 「例えば、キャバ嬢の子が、処方箋の順番待ちをしながら電話誰かと喧嘩をしていたとします。内容的に、ホストの彼氏と揉めているのだなとわかった。でもそういう時も、ダイレクトに彼氏と喧嘩したの?とは聞かない。ただ何かあったって軽く尋ねる位にする。そこで、相手が、ぼかしたり話したくなさそうだったら、それ以上深掘りしません。逆に話したそうにしたら…、その時は、相手が言葉にするのを待ちます」

    p.131 「夜の仕事の人で多いのは、個人事業主が入る国民健康保険で、かつ扶養家族。20代半ばの人でこれに該当していたら夜の仕事かなとあたりをつけます。会社員だと社会保険の本人になりますから。後は保険者番号の左端の数字ですね。中小企業だと01006 =組合がある所なので、しっかりした大企業が多いとか、いろんな情報が得られます。その他にも、番号欄に書かれた数字が1だと、創業者、といったこともわかるのだそうだ」

    p.150 弱っていない、困りごとを抱えていない相手には、きちんと対応する。しかし、薬局内で人と接する時は、あえて言葉を崩す。この場で必要とされるためには、言葉から変えようと言う、明確な意識の表れなのだと言う。

    p.171 「患者とは、心を串刺しにされているもののことで、看護とは、手と目を使ってみることだ」としばしば言われる。
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    投稿日:2023.07.30

  • suzuka

    suzuka

    2023/06/28予約
    新宿・歌舞伎町の一角に、夜8時から朝9時まで営業する薬局。
    いつも同じ人がたったひとりで営業する。
    キヨーレオピンのボトルキープ(液体をボトルから付属のカプセルに注ぎ入れすぐにカプセルごと飲む、という商品だと知らなかった)や、コンドームのバラ売り。
    処方薬の自転車配達(無料だそう)やバイク便などの独自サービスが好評。
    なかなか興味深いノンフィクションなので、もっと深く知りたかった。
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    投稿日:2023.07.11

  • じょー

    じょー

    深夜薬局なるものが、新宿歌舞伎町にあるなんて知りませんでした。でも読むほどに薬剤師さんの中沢さんの人柄が伝わり、そしてこの街になくてはならない薬局であることが分かりました。

    何でも相談出来る薬局ってなかなかないよな。特に都会では。でも都会だからこその孤独や悩みを抱える人達もいるはずで。そんな人達の悩みを、話したければ話してもらう、駄目なことははっきり言うけど、基本聞く姿勢でいてくれる。すごく貴重な存在だと思いました。

    夜の街がコロナの影響で、次々に休業して生活に困る人達が大勢いたこと。ニュースでしか知らなかった私だけど、それを間近で見ていて、その人達のために、コロナ禍でも開けていた中沢さん。本当に困った人達に寄り添っていることがこのことからも分かりました。

    そして1番心に残ったのは、疾患ではなくてその人をみること、そしてその人に寄り添った方法を一緒に考えること。これはたくさん言われてきたけれど、働いていると忘れてしまいがち。また改めてそうだなと思い知らされました。
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    投稿日:2023.06.10

  • 546

    546

    おもしろい!まるでドキュメンタリー。
    デュラ好きとして、同じにおいを感じた。
    実際にある非現実感。
    中沢さんに会ってみたくなる。

    投稿日:2022.11.08

  • マヌルネコ

    マヌルネコ

    『ザ・ノンフィクション』で拝見してからずっと気になっていました。
    番組をみていて「お客さんとの距離感が良いな」と思っていたのですが、心理学やマインドリーディングを勉強して実践されているとこの本で知りました。
    「自分の意見をはさまず人の話をずっと聴く」というのは大変だと思うのに飄々とそれができているように見えていたのですが、やはり色々勉強されていたんだと感服しました。
    また、自転車での薬の宅配、バイク便での配達など、深夜にしんどくなっている患者さんにしっかり寄り添われていて、とても頼りにされている理由がよくわかりました。
    ニュクス薬局、この本を読むと一度は行ってみたくなりますね。中沢さんとお話してみたいです。
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    投稿日:2022.05.24

  • ayatsuka

    ayatsuka

    このレビューはネタバレを含みます

    興味深く読んだ。私は「真夜中のパン屋さん」を思い出してしまったけど、「深夜食堂」と言われて、確かに!と思ってしまった。

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    投稿日:2022.03.06

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