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リチャード ロイド パリー, 濱野 大道 / ハヤカワ文庫NF (14件のレビュー)
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usaco
東日本大震災、特に津波被害のあった東北地域について、日本に長く滞在するイギリス人の視点で見ているのが興味深い 家族を亡くし、家を失くし、その辛さに大小なんてなくてよいのに、まわりに比べたら、、と我慢…と忍耐をしてしまう日本人 日本のらしさが、復興を促したけれど、閉塞感、苦しみを増大させたのかもしれない 大川小の件は、深く知らなかったので、とても考えさせられた 大川小の父母たちのそれぞれの行動が胸を打った 子どもたちのほうが親を支えてくれている、本当にそう 今生きていることに意味がある 精一杯、生きよう続きを読む
投稿日:2024.05.12
久乃庵
海外の方が書かれたとは思えないほど、正確かつ詳細な取材に基づく作品だと思いました。被災者それぞれが置かれた立場に起因する感情の機微にまで触れられており、震災がもたらした二次的な被害についても具体的に理…解することが出来ました。続きを読む
投稿日:2024.05.04
hisa
わたしは、実は日本列島は数多くの自然災害の歴史的事実と脅威を考えれば、世界でも有数の過酷な自然環境の国土ではないのかなとも思います。 さらに湿度の高い暑さなども含めまして。 この本はイギリス人ジャー…ナリストの方の本です。 妙な話かもしれませんが、例えば戦国時代以前の色々な日本人の権力者、支配者、庶民、人々の暮らし、生活、習慣、文化、風習などを一番正しく知ることができるのは古代中国や宣教師たちが残した記録の文献がかなり信憑性が高いそうです。 江戸時代以前もそうだった部分もあるでしょうが、江戸時代以降に残されている記録はそのほとんどが改竄されたりしている可能性が高いそうです。 自然災害の話をするとき、予想される犠牲者の数があまりに多いと、現実感を薄めてしまうことがある。 すべての学者たち全員が、そう遠くない将来、東京ではかなりの高確率で大地震、地震による広範囲に破壊は不可避であり、町の広い範囲を破壊し、何万人も命を奪う、火災や津波を惹き起こす地震が発生することは不可避であり、地質学的に見てもその時期は差し迫っているという結論を導き出している。 南海トラフ地震も同様の予測で、地震と津波で太平洋沿岸で32万3000人が死亡し 62万3000人が負傷する恐れがあるという。 いつ起きてもおかしくはない南海トラフ巨大地震によって原子爆弾 4つ分以上の死者が出るかもしれないというのだ。 3.11の震災による死者は、100人を除く、ほぼすべて 残りの全員99%以上が津波に呑み込まれた溺死によって亡くなった。 人々はあらゆる種類の不満、要求、苦情を抱えていました。 でも苦情が口から出てくることはなかった。我慢と忍耐力によって人々はそういったことをすべて内に抱え込んでんでしまった。それは正しいこととは言えません。 私は時々、なぜ日本ではもっと単純な結論に至らないのだろうと不思議に思うことがあった。ある程度の不正不満の吐露、混乱などもう少し多めに見てもいいのではないか? "がんばろう"という言葉にも私はいつも違和感を覚えた。「彼の辛い経験も、長期的には糧になる」という 言外の意味によって苦しむ人たちとの共感が逆に薄まる気がしてならなかった。 被災者の紫桃さよみさんは「子供達は見えない魔物に殺された」「表面的なものにしか目を向けることができない、日本人特有の何か」と言った。 ご主人様の隆洋さんは 全国各地から招待を受け 大川小学校の悲劇を語り継ぐ、講演活動を行ってきた。しかし 正直ショックを受けられた。参加者の意識はあまりに低かったことに。 「参加者にとっては将来また起こるようなこととは考えていませんでした。別の誰かの問題でしかなかった。まさか自分に起きるなどとは思っていなかったんです。誰もが危険性を見くびっていた。大川小学校でも教師たちはすべてを見くびり、何も真剣には考えていなかった」 「この機会を逃せば、多くの人が亡くなった今というタイミングを逃してしまえば、考え方や行動は変わることはないと思います。だから私たちは悲劇に本当の原因を突き止めようとしている。この災害について考えつつ その学習に迫ることを拒否すれば同じ悲劇が繰り返されるでしょう。けれどそういうふうに日本は機能している。それを変えることはできないんです」 日本人の美徳とされる、礼儀正しさは、自主性のない礼儀正しさではないのか。 私は日本人の受容の精神にはもううんざりだった。過剰なまでの我慢にも飽き飽きしていた。 大川小学校の児童の死は、宇宙の本質にあらたな洞察をもたらすものなのだろう。ところがそのレベルよりもずっと前の地点ー生物が呼吸し生活するー世界では児童たちの死は他の何かを象徴するものでもあった。人間や組織の失敗、臆病な心、油断、優柔不断を表すものだった。 宇宙についての真理を認識し、その中に人間のための小さな場所を見いだすのは重要なことに違いない。しかし問題はこの国を長い間抑圧してきた"静寂主義の崇拝"に屈することなく、それをどう成し遂げるかということだった。 日本に今必要なのは怒りに満ち、批判的で、決然とした人々、死の真相を求める戦いが負け戦になろうとも、自らの地位や立場に関係なく立ち上がって戦う人々だった。 世界中の多くの読者が疑問に感じることの一つが 2011年の震災から何が変わったのかという点だ。 どんな教訓が学ばれ、どのような新しい措置が取られたのか?似たような災害が再び起きたらーいつか必ず来るそのときが訪れるからーこれまで何が違うのか? 大川小学校での出来事は全体的な効率の悪さと準備不足が招いた悲劇的な例外だった。そこで起きた事例は日本全国の教師たちと地方自治体への注意喚起 となり マニュアルと避難計画の見直しや修正を促したはずだ。 震災の教訓から学び、変わっていかなくてはいけません。続きを読む
投稿日:2023.06.26
てつ
英国出身で東京在住のジャーナリストが著した東日本大震災に関する渾身のルポルタージュ。 ルポの核になっているのが、74人の児童が津波に呑み込まれた大川小学校の一件。裏山に逃げられる時間的余裕があったのに…、学校側は運動場で約50分、生徒を待機させた。そして、避難を始めた1分後に津波に襲われた。その避難も川沿いの津波の来る方向へ誘導したものだった。 著者は、この事件について、実に綿密な取材を行い、死亡した家族の苦しみや葛藤など、生々しい証言を集めている。 かけがえのない我が子を失った親たちが、納得のいかない説明ばかりする学校側や教育委員会にぶつける怒りが強く伝わった。また、助かった子どもの親族、子どもの遺体が見つかった親族、見つからない親族おのおの違う立場から生じる機微や憎しみ、諍いも、十分な取材で鋭く分析されており、読んでいて、いたたまれない気持ちになった。 この本で著者がもう一つ強く伝えたかったのが、震災後、頻繁に起きた心霊現象。多くの人が幽霊を見たと訴え、交霊や除霊を行ったりしたという。遠野物語やイタコに象徴される東北地方の民族性や東北人特有の忍耐強さにも触れ、外国人の視点から、再三、津波に襲われてきた彼の地の特性をスピリチュアルな側面も含め、表現したかったのではないだろうか。 それにしても、最高裁の判決で、市、県から14億円以上の賠償を勝ち取りながら、大川小学校長の行動や問題となった教諭の証言の真偽、説明責任について言及がなかった点はふに落ちず、勝利感を味わえなかった原告団に対し同情の思いを持った。 続きを読む
投稿日:2023.05.25
kikko999
12年前の震災で児童74人が津波の犠牲になった大川小の悲劇と、遺族による県・市を相手取った訴訟の行方を、外国人ならではの視点で追ったルポ。特徴的なのは、幽霊目撃、憑依など被災地に頻発したという心霊現象…にも着目している点。地元住職が主宰する移動傾聴喫茶「Cafe de Monk」の活動を初めて知ったが、最後に語られる除霊のエピソードには心が痛んだ。 どれだけ時が経っても、当事者にとってあの悲劇の幕が閉じることはない。遺族の中にも忘れたいと願う人と、忘れてはいけないと思う人がいて、そこに葛藤が生じ、一つの結論で片付けられなくなる。誰かの是は誰かの否でもある。一枚岩に見えるグループの中でさえ、個々の目標はバラバラで方向性が食い違っていたりする。子どもの遺体捜索や、逃げ遅れの真相を求める活動の現実を知るにつけ、物事を一面だけで判断してはいけない、という思いも改めて強くした。そもそも海外向けらしいので、できるだけ多くの国の人に読んでもらいたい良書。続きを読む
投稿日:2023.03.11
MR
小川糸さんの本を読んで、この本の存在を知りました 先日のNHKでは南海トラフが起きたらという番組もしていました。たまたまこの時期に読み終わることになりました。 仙台空港にも行ったことがあるし、松島や…福島にも行った テレビで津波のニュースを見た時、信じられなかった。大川小学校のドキュメンタリーも見た 人災だと思った さらにこの本。 外国人目線からの道北、事実、生き残った人たちの苦悩、真実を知りたいだけなのに何年もかかること、震災の後の人間関係、霊の存在 12年経つ今も、苦しんでいる人がたくさんいる 本当に起きたことだと知っている事と、現実は違いすぎて、本当の理解はできないと思う だからこそ、忘れないようにだけはしたいと思った 続きを読む
投稿日:2023.03.08
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