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野口悠紀雄 / 文春新書 (11件のレビュー)
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ドラソル
文字通りリープフロッグ、つまり経済における逆転現象について書いた一冊。 最近の中国やアイルランドの話などはとても勉強になった。 反面、結果ありきで書いてるから、過去の歴史の話などはあまり参考にならず…という感じ。続きを読む
投稿日:2023.07.02
tokyobay
経済史の本として中々面白い視点を提供しているように思える。最後は「1940年体制が問題」という著者のお決まりのパターンになってはしまうのだが、そのオチに至る歴史的経緯が、欧米日中の経済史を紐解く形で論…じられている点が興味深い。続きを読む
投稿日:2023.05.27
matsunokaori
一人一人が逆転勝ちの可能性を信じて、実力を蓄えること。 【感想と私見】 中国の発展を語るときの視点として、海亀族がある。国外で技術を究めた人材の還流とそれを引きつけるポジションと金銭的見返りである。 …日本は古来から、亡命者、渡来人という名のお雇い外国人をもてなしながら、技術発展してきた国である。出島戦略でも良いと思う。今こそ、国を心を外に開き、交わろう。 最後に、政治に対して関心を持って、すぐに忘れないようにしよう。選挙には必ず行って投票しよう。未来のために。続きを読む
投稿日:2022.01.09
aya00226
リーフフロッグ=遅れているものが逆転する。 イギリスがドイツやアメリカに追い抜かれた=ガス、蒸気機関に適した社会が電気に対応できなかった。 中国の電子マネー=アメリカは小切手やクレジット、日本は現金…(ATM)、口座振替が発達していたため。 電子マネーは匿名性がない=ビッグデータとして解析できる。 デジタル通貨は、民間の送金システムがいらなくなる。政府に情報が集まるためプライバシーがなくなる。 AIの軍事利用、EVが石油産業を不要にする。 自動運転は、社会制度の変革が必要。 道路清掃ロボットの導入も、既存の業者との競合があるため容易ではない。 いずれも中国なら可能。 精華大学は、文化大革命で大学が破壊されたからこそ、新システムに対応できた。ビルは更地に立てるほうが楽。 固定電話も飛び越えた。 リープフロックは、キャッチアップとは違う。中国は両方とも成し遂げた。 ルイス転換点=中産国の罠、を中国は通過したのではないか。 周辺論=後発国のほうが不利という考え方=自由貿易になると後発国は低生産性の物資だけを生産することになるから。 アイルランド=一人当たりgdpは、ドイツ、アメリカ、イギリス、日本より高い。 アメリカのアイルランド移民は貧しい、の代名詞。 最初はコールセンターから。コールセンターがインドに移るとデータ処理など。 アイルランドは教育水準は高いが国内産業がない。工業社会を経ずに情報社会の発展に乗ってリープフロッグした。 ドイツは、日本と同じく、世界経済の大転換に対応したとは言えない。 ITの登場で、製造業に執着したドイツ、日本が転換できていない。 ルクセンブルグも同じ。金融センター。 アイルランドは工業化社会をほぼ完全に飛び越えた。 かつては中国のリープフロッグされた。 紙、印刷術、(紙幣)、羅針盤、火薬は、中国の4大発明。 明の時代以降、鎖国。中国では大航海は貿易ではなく政治的なもの。 アヘン戦争で、清の植民地化が始まった。 ヨーロッパでは、イタリアを追い越してポルトガルが大航海時代を築いた=エンリケ王子。 ポルトガルのアフリカ進出。パスコダガマの喜望峰発見。それまでは、熱い海になって人は入れないと思われていた。 ポルトガルは、スペインによってリープフロッグされた。コロンブスの提案を受け入れなかったから。 アメリカの名前の由来は、ヴェスプッチのファーストネームから。 中南米で、銀が算出=フェリペ2世の時代。王費と軍拡に使われて、生産力向上には使われなかった。 イギリスの海賊ドレークが、銀を奪ってイギリスがスペインをリープフロッグした。 スペインの無敵艦隊を破った。エリザベスの演説のおかげ。 エリザベスは、戦争に使わず、経済成長に使った。 オランダが、スペインから独立して、商業国として発展。株式会社制度=東インド会社=有限責任制=中国にはない発明。 分権化している社会だからこそ、能力が発揮できる。 中国は、新しい可能性に挑戦する社会ではなかった。 産業革命のイギリスもガス灯から脱却できず、アメリカ、ドイツに変わられた。 アメリカの垂直統合ビジネスモデル、スタンダードオイル、フォードなど。 放送を商業的に成り立たせたのは、無料にして広告料を取るモデルが発明されてから。インターネットの前からこのモデルがあった。 インターネットでリープフロッグするには、技術だけでなく収益を上げるビジネスモデルが必要。 Googleを収益かした方法は、広告。検索料は取れない。 検索連動型広告は、オーバーチェアが最初だったが、これは検索エンジンが有料だった。Googleは無料にして成功した。 Googleはトロイの木馬と同じ。無料で使っているうちそれなしでは生活できなくなっている。 アリペイは新しいビジネスモデルを作った。決済データを収益化した=信用スコアリング。決済サービスは無料、そこから集まるデータを収益化する。広告でもない。 リープフロッグには、遅れているだけでなく、新しいビジネスモデルが必要。 アリババは、出品料も取引手数料も無料。売り手と買い手をひとつのプラットホームで結びつけることを目的とした。販売に役立つソフトやツールを有料にした。広告費も有料。アリペイも収益源。無料で人を集めて、どこで稼ぐか。続きを読む
投稿日:2021.07.16
杉浦 亮
「超」整理法などで知られる著者による、経済に関する一冊。 タイトルである「リープフロッグ」という言葉は始めて聞きましたが、著者によれば蛙跳びの意味で、遅れていた国が、ある時、急激に発展し、先を行く国を…飛び越えて、世界の先頭に躍り出ることを言うそうです。 現在の中国、アイルランド、明朝時代の中国、大航海時代のポルトガル・スペイン・イギリスの興隆の歴史を振り返り、日本におけるリープフロッグの可能性を探っていきます。 そのためには、「今の日本の遅れを取り戻すために政府は何をすべきか」という質問自体に、現在の日本人のメンタリティが現れていると批判し、政府主導ではない、民間の組織が行うことを求めています。また、初頭教育の公平性や職業の世襲制もないことは基本的な構造にいて逆転可能な社会と説きます。現状は、人々が獲得した豊かさに満足し、逆転しようとする意欲を喪失しており、小市民的な生活に安住してしまっている人が増えていることが問題としています。 結論が若干理念的なものになり、具体的な提案がなかったことが物足りない印象ですが、歴史を振り返りながら、今後の将来を考える重要性に気付くことができる内容です。 ▼リープフロッグとは、蛙跳びのこと。蛙が跳躍して何かを飛び越えるように、それまで遅れていた国が、ある時、急激に発展し、先を行く国を飛び越えて、世界の先頭に躍り出る。そして世界を牽引する 歴史のダイナミズムを包括的に説明しようとするマクロ歴史理論の一つ。段階的な発展論と対照的な考え。「キャッチアップ論」と似たところがあるが、先進国に追いつくだけでなく、逆転するとしているところが重要。 ▼歴史は、様々な主体間の相対的な関係が不変のままで連続的に変化していくのではなく、時として相対的な関係を逆転させつつ、不連続的に変化していくのです。 ▼「リープフロッグ」の特徴は、「遅れていたことが有利に作用した」ということ。これは「後発的利益」と言われることの一種。 逆転が起きるのは、技術の導入には社会的制度が対応する必要があり、古い技術体系に適応してしまった社会は、新しい技術に対応できない場合が多いという理由による。先進国の立場からすると、キャッチアップされるだけであれば、大きな問題とはならない。しかし、リープフロッグされると、自分たちのほうが立ち遅れてしまうわけで、大問題。中国とアメリカの間で、AIなどについて、まさにその問題が生じようとしている。米中経済戦争の根底にあるのは、それに対するアメリカの強い危機感である ▼日本が最も栄えた1960年代において、人口は9000万人台でした。国の活性化とは、人口を増やすことではありません。達成すべき何らかの目標を持つことなのです。 ▼分権が認められている社会では、一部分が失敗しても、全体が失敗することはりません。リスクに挑戦すれば失敗する商人が出てきますが、リスクが分散されているので、社会全体が崩壊してしまうことはありません。こうして、分権化されている社会では、能力と意欲のある人々が、その能力を発揮できる機会が与えられるのです。「株式会社」が、その具体的な形です。 人間の能力は、どんな社会でも似たようなものです。しかし、社会構造が違えば、社会全体の力は違ってきます。大航海の成功によって人間の経済活動の範囲が急激に広がった時、リスクに挑戦する仕組みを持つ社会と、持たない社会との差が顕在化したのです。 ▼インド植民地化によって、多くのイギリス人に新しいフロンティアが提供されたという事実がある。そうした可能性があるとき、多くの人が可能性を求めてさまざまな活動をし、社会は活性化する。ある国が他の国をリープフロッグして世界の最先端に立つときは、経済の一部だけが活性化するのではなく、国全体が沸き立つような興奮状態に包まれるもののようだ。ある面での躍進が別の面での進歩を引き起こしていく ▼GPT(General-Purpose Technology:汎用技術):広範な用途に用いられる技術であり、経済全体に影響を与える可能性のある技術のこと。電気はその典型例。汎用技術は、現存する経済や社会の構造への影響を通じて、社会を劇的に変化させる可能性を秘めている ▼リープフロッグは、インターネットや電気のような新しい技術、しかも一般的に広く使われる技術(GPT)の登場によって生じる。ところで、新しい技術さえあれば必ずリープフロッグができるかというと、そうではない。新しい技術を収益化するビジネスモデルが必要 ▼明治の急速なキャッチアップは成功したが、国家関与の問題がある ①中央集権化:中央集権政府の下での画一的な社会となり、急速な工業化の実現には有利に働いたが、新しいものを生み出すという面からすれば問題 ②キャッチアップに満足し、おごりが生じた ③政府依存志向を強めた ▼この時に形成された日本企業の基本的な形態は、戦後の日本にそのまま受け継がれた。この仕組みは、高度経済成長期においては、うまく機能した。なぜなら、その当時の経済状況を考えると、労働者が一つの企業に定着し、仕事を通じて技能を高めていくという方式が、生産性向上に寄与したからだ。 これは、製造業が中心的な産業である経済の特徴。そして、「キャッチアップ型」の経済成長を実現している経済の特徴でもある。こうして、高度成長期に、「会社第一主義」が形成されていった ▼いま求められているのは、デジタル化の問題だけでなく、日本型組織の基本に関わる問題。これが解決されるためには、つぎの2つが必要 ①組織間の人材の流動性の実現。専門家が必要に応じて組織間を移動できるような労働市場のが形成されなければならない ②経営者が組織間を移動すること。アメリカでは経営者は専門的な職業であると考えられており、経営者が組織間を移動することは頻繁に行われている ▼一人一人が逆転の可能性を決してあきらめないこと。どんな場合でも逆転の可能性を信じること。偶然のチャンスに期待するのではなく、実力を蓄えることで逆転すること。それに向かって努力すること。勉強して、新しい技術を身につけること。常に自分の能力を高めようと努力すること。こうしたことがなされるなら、日本は、世界最先端のグループに復帰することができるでしょう。 <目次> 第1章 中国急成長の秘密はリープフロッグ 第2章 ヨーロッパ最貧国が世界のトップに 第3章 世界最先端にいた中国は、リープフロッグされた 第4章 リープフロッグが次々に起きた大航海時代 第5章 産業革命をリードしたイギリスが、リープフロッグされる 第6章 リープフロッグにはビジネスモデルが必要 第7章 日本は逆転勝ちできるか?続きを読む
投稿日:2021.07.11
やどかり
■本のポイント アイルランドのIT化 明の鎖国による停滞と保険と株式会社を発明してリスクを分散した大航海時代のヨーロッパ 地中海か締め出され喜望峰、インド航路を発見したポルトガルの発展 新大陸を発見し…たコロンブスのスペインは、資産を王室が浪費した。 イギリスはエリザベス女王のもとで発展。ドレークにより世界一周、財宝確保し大英帝国を築いた。 産業革命が起きたイギリス、その後石炭メインだったため、アメリカドイツの電気化に遅れた 現金、固定電話、内燃機関、大学教授が文革でいなくなった ビルは更地のほうが立てやすい 少なかった中国 リープフロッグはキャッチアップとは違う ルイス転換点、中所得国の罠を克服している ■示唆 リープフロッグ、技術+ビジネスモデルが必要 メインフレーム、労働組合など、レガシー(既得権益)が邪魔をしている アメリカでできている理由はなにか? 日本、個人でリープフロッグするためにはどうすればいいか? →逆転しようと努力することが大事、という結論続きを読む
投稿日:2021.06.28
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