【感想】境界線

中山七里 / NHK出版
(102件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
8
51
27
9
0

ブクログレビュー

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  • kojirok1222

    kojirok1222

    「護られなかった者たちへ」続編。

    2件の遺体発見事件から、東日本大震災の行方不明者のデータが戸籍乗っ取りに使われていることが判明する。

    大々的な組織犯罪に発展するかと思いきや、突如高校の同級生のエピソードが挿入され、津波で両親を失い、多くの人間の死を目撃した向上心溢れる実直な青年が、人生に絶望し犯罪に手を染めたことが示される。

    大風呂敷を広げた後で小さくまとまるのは作者にままあるとはいえ、この作者は被災者に真摯に寄り添い続けようとしている。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.25

  • のんたタイ

    のんたタイ

    『護られなかった者たちへ 』に次ぐ中山七里の東北大震災三部作の第2作。
    震災の不明者の戸籍を買った者(名前を変えないと生きていけない哀しさ)二人の死。一人は自殺で一人は殺人。自殺した女性が買った名前は、今回主人公の刑事の奥さんだった。なぜ行方不明者の名前を売買するのか、その犯人も震災で自分の生き方を喪失していく哀しさも描かれている。哀しい!続きを読む

    投稿日:2024.04.20

  • かな

    かな

     「護られなかった者たちへ」の宮城県警シリーズ第二弾です。同じシリーズなので、前作にも登場した人物が描かれていることと、2つの作品の背景には東日本大震災が大きく関わっていることなどは共通してます。

     宮城県警捜査一課の笘篠は、東日本大震災で妻子が行方不明となりその後も見つかることはなく、年月のみ無常に流れ7年が経過していた。そんなある日、笘篠のもとに亡き妻の身分証明書を持った遺体が発見されたとの連絡が入り、部下の蓮田とともに駆けつけると全くの別人だった…。後日、新たに全く別人の身分証明書を持った男性が殺害された事件が発生したことを受けて、笘篠は2つの事件にはつながりがあるのではないか疑問を持ったうえで、捜査を開始することになるのだが…。

     身内や自身の前科により新しい戸籍を欲する人たちと、震災で行方不明になりその悲しみや現実を受け入れきれず失踪宣告ができずに戸籍はそのまま残してる人たちがいる…。そこから生まれた戸籍売買…。突然家族を震災で奪われた家族には、どんなに年月が流れようとも受け入れきれない思いがありますよね…。そして、震災を機に人生観が変わってしまった方もいる…。読めば読むほど、なんとも言い難い、重い感情が湧いてきます。前作で登場した名簿屋の五代とその同級生の鵠沼…このあとのふたりの関係性がよいものになりますように!そう思わずにはいられない作品でした。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.12

  • まこと

    まこと

    『護られなかった者たちへ』に続く、宮城県警のシリーズ第二作。


    2018年宮城県警の刑事笘篠誠一郎は東日本大震災で妻と長男が行方不明のまま七年が過ぎ、失踪宣告を出していませんでした。

    気仙沼港の近くの海岸で、女性の遺体が発見され、その女性が笘篠奈津美という免許書を持っていたという報告を受けます。
    しかし、死体は全くの別人であると笘篠は判断し、遺体がデリヘル嬢の鬼河内珠美であることを突き止めます。

    鬼河内珠美の両親は犯罪者で東日本大震災被害者キズナ会から戸籍を買ったのではという疑いが持たれます。

    そして、もう一人、天野明彦という男性が刃物で心臓を刺されて亡くなっているのが見つかりますが、やはり名前は他人のものであり、本名は真希竜弥という前科者であり戸籍を買っていると思われ戸籍を買った者が二人続けて死んでいるので笘篠らは戸籍を売ったものを捜し始めます。


    以下ネタバレしています。これから読まれる方はお気をつけください。





    そして、戸籍を売った者は見つかり、逮捕されます。
    笘篠は妻の戸籍が使われたことを非常に悔やみます。
    自分が失踪宣告を出さなかったばかりにと。
    七年間行方不明となっていた笘篠の妻も子もすでに亡くなっていたのにと。
    震災はまだ、終わっていなかったのです。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.11

  • kamiya-kun

    kamiya-kun

    流れもテンポも良く、読み応えありました。
    東北人として震災の描写はこころ暗くなり…
    まぁ難いとこであります。
    「護られなかった〜」と比べると少し尻すぼみな展開かな。

    宮城県警シリーズの今後に期待。

    投稿日:2024.03.29

  • メイプル

    メイプル

    「護られなかった者たちへ」の宮城県警シリーズ二作目。
    ミステリー物としておもしろいのは当然ですが、この作品は東日本大震災による、想像を絶する体験や人々の心情が丁寧に描かれていました。特に印象に残ったのは震災が起こった時、堅牢な刑務所にいた犯罪者たちは助かり、罪のない市民たちが津波の被害に遭ったということでした。なんともやるせないことだと思います。筆者の作品はそういった世の中の不条理に問題提起するものが多く、読み応えがあると思います。続きを読む

    投稿日:2024.03.10

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