【感想】肥後の石工

今西祐行 / 岩波少年文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「熊本の緑川に美しいアーチ型の霊台橋が築かれたのは,さむらいの時代が終わりをつげようとしていたころ.そこには,命をかけて弟子たちを育てた職人・岩永三五郎の物語がかくされていた.」
    「肥後(今の熊本県)の石工頭、岩永三五郎には、つらい過去がありました。美しいアーチ型の石橋に秘められた物語」続きを読む

    投稿日:2024.03.21

  • gakudaiprof

    gakudaiprof

    有名すぎて今まで読まなかった児童文学である。薩摩に橋を架けに行った石工がその秘密を守るために殺される。その頭のみが殺し役の武士から逃がされて、熊本に戻って石橋を架ける話である。そこには自分の身代わりとなった乞食の娘と息子、殺し役の武士のその後、自分の弟子など様々な人々が描かれている。ほるぷこども図書館選定委員推薦図書に選ばれている。朝日新聞の文学紀行の熊本県で紹介された本である。たまにはこうした児童書も選んでいる。続きを読む

    投稿日:2024.03.07

  • ca4

    ca4

    何年か前に友人から薦められていた本。
    やっと読めた。

    お城に架けられた橋の秘密。
    その秘密が外に漏れないよう関わった
    石工たちは、、

    石で橋を架ける技術。
    めがね橋は色んなところで見ることが
    できるけれど、いつか熊本のめがね橋
    もこの目で見てみたい。
    続きを読む

    投稿日:2022.12.19

  • mario3

    mario3

    教科書「一つの花」でおなじみの今西さんの作品。
    江戸時代後期に石造りのめがね橋を架けるために尽力した人々のドラマ。
    主人公、岩永三五郎の職人としての気持ち、薩摩に呼ばれた後に❮永送り❯されてしまった同僚たちの家族への贖罪の気持ちへの、揺れる感情が苦しい。
    人斬りの徳之島の仁(なんという名前、なんという人生、しかも子供時代の作者に身近な大人がモデルになったという)、宇吉、里と吉、みんなの思うままにならぬ、それでも生き抜く強さに感心させられた。

    橋をつくるために奔走する、庄屋や、総庄屋、その上の役人たち、それぞれの胸のうち。

    九州の山のなかで、こっそり京の大商人に通じながら、ロウやハゼの密造、密売で儲ける豪商がなんだか怖い。

    作者のあとがきにも、心が揺さぶられた。
    たまたま、生き残ったという戦中の体験が、三五郎のなかに生きているのだろう。
    現在では、三五郎の手による、これらの素晴らしい橋は、人の手によって失くなってしまった、とサラリと締められる一文。
    悲しい、寂しいことです。
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    投稿日:2022.08.14

  • Yuka

    Yuka

    #肥後の石工
    #今西祐行
    #岩波少年文庫
    #児童書
    #読了
    「一つの花」で有名な今西祐行さんの作品。時代小説。難しかったが、ふしぎな魅力で読破。実在する人物と架空の人物が混じる。 なぜ自分は殺されなかったのか、殺された人の家族に恨まれているのでないかと悩みながら生き、橋をかけ続けた三五郎。続きを読む

    投稿日:2022.07.02

  • kuritanu

    kuritanu

    1965年に刊行された本なので60年近く経っている。
    日本の児童書の中ではこれほど長く売られ続けている本はそうそうないので、名作なのだろうと思うが、実際にこの本を読んでいる小中学生を見たことがないのもまた事実である。
    私の子どもの頃にも学校図書館にあったことを記憶しているが、タイトルといい表紙の絵といい、あまりに子どもの好みから外れていて、読みたい気持ちにならず、読まず。(結構読書好きな子どもだったにもかかわらず。)幾星霜。
    数十年前の子どもですら読みたいと思わなかったのに現代の子どもが読むのかとは思うが、同じく敬遠していた『TN君の伝記』も良かったし、これもやはり良いのではないかと読んでみた。

    いや、立派な作品でした。

    時代小説だが、ちゃんと児童文学であるし、だからといって子どもを「未熟な読み手」とバカにしているようなところは一切ない。本当に高い志を持って書かれた児童文学である。

    現代的な目で見れば徳之島の仁の生い立ちや宇助の複雑な思いをもっと詳しく書いた方が物語が盛り上がったのではないかなとも思うが、そうなると長くなるし、やはりこれくらいまとまっていた方が児童文学として読みやすいだろう。
    宇助と里の恋愛なんかも現代なら書いたかもしれないが、そこも昭和の児童文学、さっぱりしている。

    人物と物語が上手く絡み合い、飽きさせない。
    歴史に名を残すことはなかったが、私利私欲ではなく人のために、また贖罪のために立派な仕事をのちの世に残した三五郎、父を殺され流浪して奴隷労働に身をやつす里と吉(「山椒大夫」のイメージ)、貧しさと両親を殺された恨みから刺客となった徳之島の仁という主要人物がとても鮮やかに描かれている。

    巻末の「あとがき」の、作者自身の戦争中の経験と「三五郎を書くことによって私は、自分の意志とは関わりなく何ものかによって生かされている命というものを、もう一度生き直してみたいと思いました。」(p239)という言葉も心に響く。実際に戦争を経験した作家の作品を読むという経験も今はめったにないので、本当に貴重だと思う。

    まあなかなか子どもにすすめるのは難しいかもしれないが、読めそうな子どもにピンポイントで紹介するのもいいかもしれない。
    絵も、もうこれはこれしかない、という気がする。イマドキのイラストだったら興醒め。
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    投稿日:2022.05.08

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