【感想】国際人権入門 現場から考える

申惠丰 / 岩波新書
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • しょうちゃん堂

    しょうちゃん堂

    法務省:第74回人権週間 令和4年12月4日(日)~12月10日(土) https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03.html

    投稿日:2022.12.04

  • もさ

    もさ

    このレビューはネタバレを含みます

    昨今の多様性の受け入れの流れを踏まえると、どこまで認めるべきかという議論になってくる。最近でいうとマスクをしないことの多様さやワクチンを受けない人を受け入れること。かれらを受容しないことは、自由からかけ離れる行為であるようにも思うが、ウィルスという脅威の前には自由は語りえなくなるのだろうか。人の自由、すなわち人権という言葉は知っているが、きちんとした意味で理解はできておらず、今まさにその意味を理解すべき状態にあると思い、この本を手に取った。この本によって、人権の国際的な位置づけ、現状の問題などについて一定の理解や学びがあった。ここから掘り下げて考えるべきだと思い、本書後半に記載の参考文献を読んでみようと思った。国際人権に関する現状と課題認識を理解するには、間違いなくお勧め。

    以下本文内容含む。

    すべての人が享受すべき人権を国際的に取り決めているのが国際人権であり、明文化された世界人権宣言。
    条約ではないため、法的義務を課すことはできない。一方で、逆に条約ではないからこそ、批准した国に適用されるようなものではなく、少なくとも国連加盟国であれば、守るべきと主張ができる。また人権を侵すのは、国家権力だけではなく、企業、個人もありうる。そこに対してもアプローチできるようになっている。
    条約もあるし、人権理事会(委員会よりも格上で、安全保障理事会と同レベル)も設立されている(2006年)。ただ、国家の代表たちによる理事会のため、政治的な思惑が働く場になってしまう現状もある。また、第3者的な存在として、人権NGOの参加も認められている(彼らの出すレポートをパラレルレポートというらしい)。定期審査が設けられていて、国家が提出する情報と第3者提供の情報とを勘案するといことも重要な視点である。
    継続的な対応や対処、再発防止措置を取る必要がある息の長い取り組み。
    報告のフィードバックとして、「総括所見」「一般的意見」がある。法的拘束はないが、一読のようはある。(障碍者条約とか自由権とかそれぞれに対して総括所見があるっぽい、障碍者のやつは2022年9月に発表されたらしく、かなりナウいトピックであったぽい。ただまあ、法的拘束力がないため、言われただけで特に次のアクションがないように感じるのがもやもや。)
    また個人通報制度もあるが、日本は受け入れていない。
    条約は法的拘束力を持ち、国内法に優位する。例えば入管法に違反した移民でも国際人権条約に守られた人権は保障されなければいけないということ。
    マクリーン事件(在留更新をベトナム戦争反対運動に参加していた理由で拒否されてしまった事件)での判決文では、「人権は保障されるが、保証された人権が在留更新のような場面で消極的な要素として考慮されてしまうことをダメとは言っていない。それは入管法の範囲である。」という内容だった。
    難民の定義にいう迫害の定義は法律上、通常人にとって受忍できない苦痛をもたらす攻撃または圧迫であって、生命また身体の自由の侵害になるものという狭い定義であって、ロヒンギャの人が足を軍人に蹴られたとしてもそれが迫害に至るとはいえないと裁判所が判断したケースもある(2012年).
    結論として非常に少ない難民申請者が難民として認定されている現状がある。海外では万単位だが、日本では数人レベル。そもそも国から宗教的な理由などで十分な補償が受けれないような場合に難民として入国するので、情報がそろいにくいという実情もある。

    (こういった人権的に間違いがある状態はだれでもだめだとはわかる。ただ、現在の新自由主義的な政治経済環境下でそれが治りづらいことも誰でもわかる。結局じぶんらでマーケットいわば問題提議を盛り上げるしかないのだが、それを自分たちでできれば難しい話ではない。そもそも割を食ってる人がマジョリティではない場合、自分ごととしてとらえる人が少ないので、社会全体としての関心は小さく、結果として議論が前に進みづらいだろう。他人のことを慮れるほどみんながいい人というわけでもないし。政府に対して勧告をするだけでいいのかも不明、もっと文化とか思想とかそういう話のようにも思う。また法で規定するというのが最善の手法なのか?人権を守るべきはわかるし、国連の機能としてレビュー、フィードバックの機能があるとして、それに法的拘束力もないとなると、優先度は自然と低くなるだろう。となると、どうすればいいのか。現状だと、ビジネスに紐づけることがまあ、分かりやすくマスに訴求できそうな気がする、SDGsがそうであるように。国連の例としてアパルトヘイトの撤廃の一助になったというがそれはなんというか大きすぎるというか大ごとすぎる、もっとミクロな問題に対して、何ができるのか、障碍者、子供、自由権、ヘイトスピーチ、人権が脅かされているケースは数えればきりがない。あと、明らかに難民の問題はおかしく見えるが、政府側の意見も聞いてみたい感じはある。)

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    投稿日:2022.10.11

  • Yasumitsu Shimada

    Yasumitsu Shimada

    最近話題になっている題材なので興味があった。
    日本の行政、司法及び基本的人権に関する考え方の後進性を強く感じた。これで、世界3位の経済大国というのは恥ずかしい。

    投稿日:2021.08.26

  • early-autumn1965

    early-autumn1965

     勉強になった。国際条約について自分はほとんど何も知らなかった。
     国内法の動向についてもきちんと整理しないと。
     憲法・国際条約・法律の関係が少しわかった。

    投稿日:2021.07.10

  • yunonchan*358

    yunonchan*358

    日本における、入管やジェンダー、教育(奨学金)問題といった人権侵害について詳細に知ることができた。
    新書なので読みにくい部分もあったが、何が問題なのか理解することができて良かった

    投稿日:2021.04.18

  • こば

    こば

    【要約】
    日本では様々な人権問題があり、それを国際人権基準に照らして論じた本。
    具体例として、入管収容施設の外国人、人種差別、女性差別、経済的に困窮する学生の学ぶ権利などについて語られている。

    【感想】
    聞いたことのあるものも、聞いたことのないものもあり、日本でこうした人権問題が今なおあるという事実に悲しい気持ちになった。
    逆に、こうした人権問題の解決に抵抗する側はどういった論理に基づいて動いているのかは気になった。
    問題解決に向けて行動するということは問題があることを認めることに繋がり、自らの非を認めることに繋がるからなのだろうか?それともその問題を放置することで何かしらの利益が発生するのだろうか?問題解決によるコストや新たなデメリット発生を懸念しているのだろうか?
    この本は一貫して人権問題の解決を訴えており、国など問題解決を行っていない相手に対しての批判的な口調が強い。正しいことを言っている(ように見える)からこそ、相手の立場も慮って冷静に議論を進めることが、問題解決を前に進めるために必要なのかなと感じた。
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    投稿日:2021.02.20

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