【感想】悪人 新装版

吉田 修一 / 朝日文庫
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
14
21
8
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • はるパパ@ファミコンしようぜ

    はるパパ@ファミコンしようぜ

    楽しい。この描写の奥深さ。
    たとえば、腕をつたう洗剤の泡、だとかそのかゆみが全身にうつる、とか細かな描写から人物の心の内をのぞかせてくれる。宮部みゆきさんとかもそう。余韻というのか、想像の余地を少し残してくれている。
    よくファミコンなんかが再評価される時に使われる、表現しすぎないというプレイヤーの自由。

    ああ、吉田修一さんは『国宝(上)(下)』に震撼させられた方じゃないか。本作もまた、シーンと深い思索に落ちていくような感覚を味わった。
    祈るしかないようなフィナーレの迎え方が、人間という余韻すら残してくれる。


    うん、なんかいいこと言った気がする。
    生きたという余韻。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.21

  • あさ

    あさ

    この方の作品は強烈な没入感を与えてくれる。「怒り」が大好きだが、この作品も並びました。男性作家なのに光代の心理描写がすごいです。終わり方もたまりません。

    読み終わった後に感じたこと、
    悪に利用されない為に、強くあり、賢くあらないといけない。自分を軽視する人間とは関わるべきではない。必死に生きている人を見下し、馬鹿にする人間にだけはならないように生きていきたい。そして誰かから語られる様々な自分はどれもちょっとずつ自分なのだということ。

    「悪人」は誰か?
    私にとっては、彼は優しすぎたのだと思いたい。衝動的に殺人を犯してしまった彼は悪でなければならない。なぜなら、殺人を許してはいけないから。でも人として、あの大学生や傲慢さを撒き散らす被害者女性より、思いやりと情のある人間でもあると思う。登場人物を善と悪のどちらかに分類することは私にはできないが、好きと嫌いに分類するならば、間違いなくあの大学生だけは嫌いだ。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.26

  • ぬぬ

    ぬぬ

    あらすじ
    小説、映画ともに大ヒットした不朽の名作。

    福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、
    出会い系サイトで知り合った土木作業員に殺害された。
    二人が本当に会いたかった相手は誰なのか?

    佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、携帯サイトにアクセスする。
    そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、彼は殺人を犯していた。
    彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。
    光代を駆り立てるものは何か?

    その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。
    悪人とはいったい誰なのか?
    事件の果てに明かされる、殺意の奥にあるものは?

    毎日出版文化賞と大佛次郎賞受賞した著者の代表作。─Amazon概要より



    感想
    ときどき自分が誰かわからなくなることはありませんか?
    誰を、何を求めているのか?
    何に駆り立てられているのか?
    自分でも計り知れぬまだ見ぬ裏の自分…
    その扉が開いたとき、人は本気で誰かを愛するのかもしれません。
    読んでいると、祐一も光代も自ら闇の中に飛び込んでいる、それはまるで後先考えずブラックホールに飛び込んで、あとはバラバラになろうがどうなろうがふたり一緒なら構わないといった強固な絆を感じました。
    悲劇のふたりであり、人生一度でいいからこんなに夢中に愛し合える人、何も言われなくても理解できる人とただただ情熱のままに流されていたいと思いました。
    でも、忘れてはいけない。
    祐一は人を殺めていることを。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.21

  • チャッピー

    チャッピー

    このレビューはネタバレを含みます

    初めの三瀬峠の説明が難しかったけど、後は読みやすかった
    前半までは犯人がどっちだと思った
    逃げるほどビビってたのに無実とわかると態度がひどい大学生の男が嫌だった、本当に無実だと思えるのだろうか
    被害者も殺されそうな女だったので仕方ない面もあるのかもしれない
    でもそれは一面で、父や誰かにとってはみんな大切な人
    犯人も、誰かにとっては大切な人
    ラストは思いやりによる嘘だったならば、相手にも勘違いされて悲しいような、逆に救いになったのだろうかどっちかわからない結末だった

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.12.10

  • nenkan100satsu

    nenkan100satsu

    悪人とは誰なのか?犯罪を犯した者は悪人なのか?色々と考えさせた。殺人事件の背景には色んなストーリーがある。

    人が人を殺めること。これ自体は全く許される行為では無いが、その背景には色んな想いがある。そう思った。続きを読む

    投稿日:2023.11.29

  • 頼む

    頼む

    もうずいぶん前に読了したのだが、記録していなかった。

    読後の素直な感想は、怒りである。

    無思慮で傲慢な暴力と悪意が、弱く柔らかなものを踏みつけていく様。
    慎ましく小さなものの声が、ついに届かない様

    信じたくない現実。

    無力感。。。

    すごく好きな作品だけど、もう一度読む力が僕にあるだろうか。

    続きを読む

    投稿日:2023.10.03

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。