【感想】いのちの初夜

北條民雄 / 角川文庫
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
4
3
2
0
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ブクログレビュー

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  • 紙魚坊主

    紙魚坊主

    ★4.6

    苦しく、辛い小説でした。
    高校生の時に、破戒に出会った時と同じだ。あの時も丑松さんあなたはなにも、悪くない。と悔し泪を流したものですが、いのちの初夜も同じ感覚でした。
    私の故郷にも、ハンセン病の療養所があり、今まで手を出すのが正直怖かったのかもしれない。
    子供の頃にそれに罹患された方にあったこともあるので小さな頃だったので、ただただ、怖かった。驚き怖かった。それが、凄まじい差別を伴っていることを知ったのは、だいぶ後になってからだったが、その差別を知った上で、この作品に触れると、苦しく、辛い、ものかたりでした。
    常に自死と隣り合わせ、死を見つめて生きる、辛く悲しいものかたり。
    ちゃんと向き合わないといけい、そんなものかたり。
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    投稿日:2023.10.03

  • 年越しそば太郎

    年越しそば太郎

    これほど心を揺さぶる本はなかなかないのでは。

    ハンセン病を患った人々の生命の力強さがひしひしと伝わってくる。徐々に肉体を冒していく病の恐ろしさ、それに立ち向かい、なんとか生きる意味を見出そうとする精神の尊さ。
    たんにハンセン病を主題にした作品ではなく、人間とは、いのちとは、生きるとはという根源的な問いを投げかけているように感じた。
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    投稿日:2023.08.14

  • ゆぅま

    ゆぅま

    人間として死んでいて、生命だけがある状態。
    この言葉に当時のハンセン病に対する理解や
    本人たちの感じ方など、様々なものが含まれていて、どろどろと渦巻いている気がした。

    投稿日:2023.04.01

  • workma

    workma

    ハンセン病を煩い隔離施設に入った著者、北條民雄。
    隔離施設に入り絶望し死のうとしたが果たせず…。夜が明けて「一瞬だけ生きてみよう」。文学に一条の光を見つけた著者。どんなに悲惨な状況でも書くことはできた。最期まで希望はあると。
    病を得て「いらないもの。忌避される自分」しかし、「食べて寝る、ただ生きる、ということへの敬意」「自分が生きているという事実は誰にも否定されない」というメッセージは、とても力強い。
    「100分de名著」の中江有里さんの解説では、
    隔離施設から川端康成へ手紙を出し、川端康成から作品を認められた著者。自分の存在を肯定してもらい、どんなにうれしかったことでしょう!
    川端康成からの手紙には、「文壇の評価は高いけれどもそのことは気にせず、古今東西の名著に親しみ、今のあなたの世界を見つめるがよろしい」「お金は足りてますか?原稿用紙ありますか?」という内容の手紙が残っているようで、これも、作品を通じて、いる場所は違ってもお互いに尊敬しあっている…よい師弟関係だなぁ…と…じんわりしました。
    23歳で亡くなった北條民雄さん。作品は復刻され、今 読める。北條民雄さんとの対話ができる。どん底にいる人も勇気がもらえる作品です!
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    投稿日:2023.02.28

  • みめい

    みめい

    この本に出会わなければ一生ハンセン病というものをきちんと理解できていなかったと思う。
    療養所での生活があまりに壮絶で、この敷地内だけで世界が完結している……いや、せざるを得ないほど忌避されることが当然だったのかと思うと暗澹たる気持ちになった。続きを読む

    投稿日:2023.02.27

  • mei2cat

    mei2cat

    このレビューはネタバレを含みます

    NA図書館本
    ハンセン病を発病し、23歳で夭折。ハンセン病ではなく腸結核と。
    いのちの初夜 は、最初の一夜を川端康成が改題。川端康成のあとがきも良かった。この原稿を、川端康成が読んだのだなと、感慨深い。

    いのちの初夜、眼帯記、癩院受胎など8篇の短編。
    いのちの初夜の佐柄木の存在感が線の細い男の人だけど芯のある人間のイメージ。
    目を覆いたくなるような癩病の人たちの記述。あの人たちは、もう人間じゃあないんですよ。決して人間しゃありません。生命です。生命そのもの、いのちそのものなんです。あの人たちの『人間』はもう死んで亡びてしまったんです。ただ、生命だけがびくびくと生きているんです。略
    癩になった刹那に、その人間は亡びるのです。略だけど僕らは不死鳥です。新しい思想、新しい目を持つとき、全癩病者の生活を獲得するとき、再び人間として生きかえるのです。復活です。
    びくびくと生きている生命が肉体を獲得するのです。略
    あなたの苦悩や絶望は、略 ひとたび死んだ過去の人間を探し求めているからではないでしょうか。

    めっちゃ迫力。

    ハンセン病の方々及びご家族のこれまでとこれからに。
    さまざまにフラットな世に、そしてそんな自分であることができるように。
    しっかり心に刻みたい一冊。

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    投稿日:2023.02.12

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