【感想】別冊NHK100分de名著 ナショナリズム

大澤真幸, 島田雅彦, 中島岳志, ヤマザキマリ / NHK出版
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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ブクログレビュー

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  • samwo360

    samwo360

    100分de名著シリーズ、コンパクトに物事の争点が把握できるので(深さとか、広さについて異論はあるでしょうが)、いいですよね。「ナショナリズム」という概念、私には、なかなか把握の難しい代物で、理解するためにいろいろと試行錯誤が必要でした。まだ、考えはまとまっていないものの、この一冊は、視点を与えてくれるものでした。続きを読む

    投稿日:2024.03.03

  • ジェシー

    ジェシー

    4人がそれぞれ一冊ずつ紹介するスタイル。
    アンダーソンという人の想像の共同体が面白かった。

    過去と正しく決別できていないからこそ、未来の日本人に対する無関心がある。

    ===

    第二に、歴史家の客観的な目には国民(ネーション)は近代的現象に見えるのに、ナショナリストの主観的な目にはそれは古い存在と見える。要するに、新しいのに当事者には古く見える。これこそ、ナショナリズムの最もふしぎなところです。


    逆に、ヨーロッパのいずれかの国に植民地化され、まとまった行政単位として扱われたという事実が、結果的に、植民地の人々に「我々 ○ ○人」という意識を植え付ける結果となった、と考えるほかありません。



    現代の日本は、実際、そのような状況にあるのではないでしょうか。しかし、現在、僕らが直面している重要な問題のほとんどが、現在生きている人たち以上に、これから生まれてくる人たちに関わっています。人口問題にせよ、環境問題にせよ、安全保障や憲法の問題にせよ、すべてそうです。これらの問題についての現在の日本人の意志決定の影響を受けるのは、主として、現在の日本人の大半が死んだ後に現れる将来世代です。  自分たちの後にくる未生の世代への異様な無関心。これが現代の日本人の特徴であるように思えてなりません。その原因はどこにあるのでしょうか。少なくともそのひとつの原因は、戦後の日本人が「我々の他者」を失ったことにあるのではないか。これが僕の仮説です。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.18

  • ゆわさ

    ゆわさ

    ナショナリズムに関連する4冊の本が紹介されている。
    アンダーソン『想像の共同体』
    マキャベリ『君主論』
    橋川文三『昭和維新試論』
    安部公房『方舟さくら丸』
    Amazonのレビューなどを見ていると、『君主論』を読むために買ったが『想像の共同体』の解説が面白かったというコメントが複数あり、私もその口。出版資本主義がナショナリズム成立の重要な要因となり、「国民」の登場と時を同じくして「小説」文化が花開いたとする見方は面白い。『想像の共同体』を読み、またこの解説に戻ってきたい。続きを読む

    投稿日:2023.04.01

  • い。

    い。

    このレビューはネタバレを含みます

    想像の共同体 ベネディクト・アンダーソン
    大澤真幸

    想像の共同体を想像している共同体と読みかえると日本は想像させられている共同体と表現できることが驚きであった。しかしながらクレオールの役人は東大出身官僚の比喩になるなと皮肉である。脱魔術化したと思われた世界は天皇や靖国神社の死者を崇拝しており、再魔術化した空虚な世界だった。(マルクス・ガブリエル なぜ世界は存在しないのか?に繋がりそうな感ある)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.06.23

  • 9678

    9678

    どの本もとても示唆に富んだもの。各解説者も深い考えを持っていて、大変勉強になりました!番組も含めオススメです

    投稿日:2021.12.08

  • nakaizawa

    nakaizawa

    「ナショナリズム」大沢真幸・島田雅彦・中島岳志・ヤマザキマリ著、NHK出版、2020.09.30
    167p¥990C9436(2020.10.16読了)(2020.08.27購入)

    【目次】
    はじめに 熱狂にとらわれる前に
    第1回 ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』 大澤真幸
    第2回 マキャベリ『君主論』 島田雅彦
    第3回 橋川文三『昭和維新試論』 中島岳志
    第4回 安部公房『方舟さくら丸』 ヤマザキマリ

    ☆関連図書(既読)
    「ふしぎなキリスト教」橋爪大三郎・大沢真幸著、講談社現代新書、2011.05.20
    「夢よりも深い覚醒へ」大澤真幸著、岩波新書、2012.03.06
    「メディアと私たち」堤未果・中島岳志・大澤真幸・高橋源一郎著、NHK出版、2018.12.05
    「君主論」マキャヴェッリ著・黒田正利訳、岩波文庫、1935.08.15
    「マキャベリ『君主論』」武田好著、NHK出版、2011.10.01
    「オペラ偏愛主義」島田雅彦著、NHK知るを楽しむ、2008.06.01
    「徒然王子」島田雅彦著・内澤旬子絵、朝日新聞・朝刊連載、2008.11.30
    「「幸せ」について考えよう」島田雅彦・浜矩子・西研・鈴木晶著、NHK出版、2014.05.30
    「ソポクレス『オイディプス王』」島田雅彦著、NHK出版、2015.06.01
    「大岡昇平『野火』」島田雅彦著、NHK出版、2017.08.01
    「ヒンドゥー・ナショナリズム」中島岳志著、中公新書ラクレ、2002.07.25
    「ガンディー『獄中からの手紙』」中島岳志著、NHK出版、2017.02.01
    「オルテガ『大衆の反逆』」中島岳志著、NHK出版、2019.02.01
    「壁」安部公房著、新潮文庫、1969.05.20
    「けものたちは故郷をめざす」安部公房著、新潮文庫、1970.05.25
    「飢餓同盟」安部公房著、新潮文庫、1970.09.25
    「第四間氷期」安部公房著、新潮文庫、1970.11.10
    「反劇的人間」安部公房・キーン著、中公新書、1973.05.25
    「榎本武揚」安部公房著、中公文庫、1973.06.10
    「水中都市・デンドロカカリヤ」安部公房著、新潮文庫、1973.07.30
    「人間そっくり」安部公房著、ハヤカワ文庫、1974.10.15
    「内なる辺境」安部公房著、中公文庫、1975.07.10
    「砂の女」安部公房著、新潮文庫、1981.02.25
    「箱男」安部公房著、新潮文庫、1982.10.25
    「テルマエ・ロマエ(Ⅰ)」ヤマザキマリ著、エンターブレイン、2009.12.08
    「テルマエ・ロマエ(Ⅱ)」ヤマザキマリ著、エンターブレイン、2010.10.05
    「テルマエ・ロマエ(Ⅲ)」ヤマザキマリ著、エンターブレイン、2011.05.07
    「テルマエ・ロマエ(Ⅳ)」ヤマザキマリ著、エンターブレイン、2012.01.05
    「テルマエ・ロマエ(Ⅴ)」ヤマザキマリ著、エンターブレイン、2012.10.05
    「テルマエ・ロマエ(Ⅵ)」ヤマザキマリ著、エンターブレイン、2013.07.04
    「国境のない生き方」ヤマザキマリ著、小学館新書、2015.04.06
    「for ティーンズ」ヤマザキマリ・瀬名秀明・若松英輔・木ノ下裕一著、NHK出版、2018.08.01
    (アマゾンより)
    唾棄すべき軍国主義なのか? それとも誰もが持つべき愛郷心なのか?
    かつて「21世紀には滅んでいる」といわれたナショナリズム。ところが世界はいまも、自国ファーストや排外主義にまみれている--。今年の元旦に放送され、話題となった特別番組「100分deナショナリズム」。4人の論客がナショナリズムを読み解くための入り口となる名著を持ち寄って議論した。大澤真幸氏が『想像の共同体』(ベネディクト・アンダーソン)を、中島岳志氏が『昭和維新試論』(橋川文三)を、島田雅彦氏が『君主論』(マキャベリ)を、ヤマザキマリ氏が『方舟さくら丸』(安部公房)を。この番組をベースに追加取材をして編んだ本書は、これら4つの作品を通して「国民・国家」とリアルな「わたし」との関係を考えてゆく。
    続きを読む

    投稿日:2020.10.14

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