【感想】オリバー・ツイスト

ディケンズ, 唐戸信嘉 / 光文社古典新訳文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • すこべえ

    すこべえ

    このレビューはネタバレを含みます

    名前は知ってたけど、こんな話だったとは知らなかった。ミュージカルも見たことあったはずだけど、たまたま見たのが英語のままだったから、歌以外は記憶にない。
    800ページ以上もあったので、まず、読み終えたのがすごい達成感。

    このお話が展開したころ、日本はまだ江戸時代だった。訳にもよるだろうけど、その時代のものが古さを感じずに読めたのがすごいなって思う。まだ日本で小説が誕生する前。

    最初に気付いたのが、イギリス的というか皮肉と思われるような修飾語が使われていたこと。
    結構、登場人物が多いので、全員識別できるかな・・と心配していたけど、しっかり描き分けられてた。
    悪人がぞろぞろ登場する割には、凶悪な事件が起こらない(つまり殺人)のかなあ‥と思ってたら、残念ながらかわいそうな展開が待っていた。スコットランドヤードという名の機関がまだ誕生する前の話。この小説が後の探偵小説などにも影響を及ぼしているらしい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.02.12

  • katsuya

    katsuya

    200年近く昔の本、しかも文庫本で800ページを超える大作だが一気に読み終えた。救貧院で生まれたオリバー・ストーンの物語。今でいう孤児院だが、今とは比べ物にならないくらい劣悪な環境で、下層階級出身かつ親のいない子供は社会のお荷物で、「運河に捨てる方がマシ」などと言われていた時代。オリバーも、孤児院から売られ、親切な老人に助け出されるが、悪党一味に連れ去られる。その後、強盗の下働きで侵入した家で執事に撃たれ、怪我をするが、運よく家の令嬢に救われ、そこで事態が一変する。前半に仕込まれたいろいろな伏線が、最後の数章で一気に回収され、気持ちよく読み終えることができる。最下層の人々の生活を表現する上での差別的な単語も多いが、19世紀中盤〜後半は実際にそうだったのだろう。力を持たないオリバーが周囲の紳士淑女たちの献身的な支援で悪の淵から救い出されるのだが、女々しすぎてちょっといただけないと思うのは僕だけだろうか。続きを読む

    投稿日:2022.02.17

  • pina22

    pina22

    オリバーは、全てが包括された"人生ガチャ"のハズレをひいただろう。サラサラと読めるこなれた翻訳だがそれ故に物語の理解度が高くなり、少々キツい。だが流石は文豪ディッケンズ(と新訳)、読ませ方が上手いのだ続きを読む

    投稿日:2021.10.07

  • Mira

    Mira

    途中、作者がオリバーをいじめるので、つらくて休み休み……つかの間の安らぎを手にしたときも、残りの長さを見ながら、あーこのまま幸せになるはずないと絶望したり(笑)。当時は連載だったから、先を見とおすなんてこともなく、読者は毎回胸をときめかせて読んだんだろうな。

    わたしこれまで、ディケンズは、主に翻訳にはばまれて何度となく挫折してきたんだけど、これは本当に読みやすかった。と同時に、ディケンズのちょっともってまわった、皮肉と風刺に満ちた言いまわしや、ほろっとくるような描写なんかも堪能することができた。

    ストーリーは、ある意味びっくりするくらいご都合主義なんだけど、この物語に関して言えば、予定調和万歳だよ(笑)そして、多くの人たちが指摘しているように、悪人たちの実在感のすごいこと。狂犬のようなサイクス(飼い犬可哀想だった(:_;))、美しい心を持ちながら掃きだめから逃れられないナンシー(DVから逃げられない女性の典型のようで、ディケンズすげーとなった)。彼らに対してディケンズは相応の報いを与えているけど、まなざしは決して冷ややかではない。むしろ、社会的地位にあぐらをかいて弱い者をいじめる教区吏のバンブル氏や救貧院のおかみを徹底的に軽蔑しているように思える。

    でもって、少し前なら、こういう人間のいやしさに対して、「むかしだからね」とか「ヴィクトリア時代のイギリスってこんなだったんだ」という人ごとのような感想を持ったかもしれないけれど、コロナウィルスが蔓延して、毎日、人間のいやしさと恐ろしさを伝えるニュースやら、困窮した人に対してまったく同情心のない施策のかずかずを目にしていると、ディケンズ時代と変わらないじゃん! という気持ちしか湧いてこないのであった。
    続きを読む

    投稿日:2020.04.30

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